
(これは2019年3月現在の記事です。「ないない島通信」より転送)
ご無沙汰でした。
実は白内障の手術を二回受けたのですが、二週間たってもまだ右眼が見えない状態です。(濃い霧の中にいるような感じ。ぼんやりと人の姿は見えるけど顔はわからない)
細かい文字は読めないので、PC画面(デスクトップの大型画面)で映画やドラマを見て過ごしています。
白内障で見えにくくなってきたので手術を受けたのに、もっと見えなくなるってどうよ? と思っていますが、今はまだ経過観察中です(左眼は見えます)。
というわけで、こういう時は、ロビン・ウィリアムズの映画に限る。「グッドモーニング・ベトナム」に続いて、2本見ました。
「今を生きる」(1989年)
アメリカの全寮制進学校(厳格なことで有名)に新任でやってきた文学の教師ジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムズ)は、厳格な規則に縛られていた生徒たちに自由な視点と自由な発想で世界を見ろと指導します。
彼の破天荒な教育は少年たちを刺激し、彼らの能力を引き出すのですが、同時に悲劇をも引き起こしてしまいます。
「シャイン」や「ギフテッド/gifted」と同じように、保守的で子どもの気持など考えない親が登場します。そして、少年は、若さと温室育ち故の脆弱さにより自分自身を追いこんでいきます。これって誰もが一度は通った道だよね、という思いにかられること必至。
ここでくじけてはいけない、他にも道はあるはずと強く思うわけですが、彼はこうすることで生き残った者たちに強いインパクトを与えるのですね。残された者たちは彼を忘れず、生きていくしかない。
キーティングの教育が間違ってはいなかったことが、最後のシーンで明らかになり、涙なくしては見られません。
ロビン・ウィリアムズって若い子たちの指導者にはうってつけの役者なのだなあ。そういえば「グッド・ウィル・ハンティング」でも先生だったし、「パッチ・アダムス トゥルーストーリー」では病気の子どもたちを励ますクラウンだったし。
一方、「フィッシャー・キング」(1991年)はテリー・ギリアム監督作品で、一風変わった映画です。

ロビン・ウィリアムズの役柄は銃乱射事件で最愛の妻を失い、精神的におかしくなった男パリー。このパリーのクレイジーさをロビン・ウィリアムズは見事に演じています。
パリーがたまたま命を救ったジャック(ラジオのDJ)は、銃乱射事件で犯人が彼の番組を聞きながら銃を乱射した、という事実にショックを受け、DJを辞めて、しがない貸しビデオ店の女主人のところにころがりこんでいます。
銃乱射事件で妻をなくし心に傷を負ったパリー、そのパリーに助けられたジャック。
ジャックは、パリーの不器用な恋に付き合い(この恋人がまたおかしいほど不器用)、彼の妄想が生みだした「聖杯伝説」にも付き合おうとします。ジャックを居候させている貸しビデオ店の女主人もいい。
彼らは皆社会からはみ出した人たちですが、それぞれが個性的で魅力的です。
パリーの妄想部分の迫力はすさまじく、さすがテリー・ギリアムという感じです。
しかしながら、ロビン・ウィリアムズ本人は、悲しいことに回復の見込みのない病に侵され2014年に自死してしまいます。
人を笑わせ楽しませてくれた彼が自分自身を救うことができなかった、というのは悲しい皮肉です。
それでも、彼が残した映画は私たちに勇気と力を与えてくれます。
病気のとき、落ち込んだ時、彼の映画を見ることをお勧めします。
