暇人映画

映画嫌いが映画を見まくる地獄のサーキット

裸足の1500マイル Rabbit-Proof Fence

2009年09月07日 22時48分22秒 | 洋画>★★
2002年/豪/フィリップ・ノイス監督/エヴァーリン・サンピ ローラ・モナガン ティアナ・サンズベリー ケネス・ブラナー デヴィッド・ガルピリル
2009年9月7日 テレ東午後のロードショー〔ノンフィクション・インパクト〕

【あらすじ】
舞台は1931年のオーストラリア。当時の豪政府は、アボリジニと白人の混血児を親元から隔離し、白人社会に適応させ(て奴隷化す)る政策を実施していた。
西オーストラリアのアボリジニ集落ジガロング。ウサギ避けフェンスが延々と張られているこの地区に住む14歳のモリー(サンピ)と8歳の妹デイジー(サンズベリー)、そして従姉妹で10歳のグレイシーは、混血児。モリーは既に狩りの免許皆伝であった。
そんな3人が、いきなり有無を言わさず拉致られた。連行された先は、ずっと南方にある政府の混血児収容所。広くはない施設に収容された児童たち。トイレはバケツ、英語を強いられ、キリストを拝まされ、不味い飯を食わされ。子供たちから<悪魔>と呼ばれる役人ネビル(ブラナー)の目に留まると、もう一生故郷へは帰れない!?
たまりかねたモリーは妹たちを連れ、ジガロング目指して歩き出した。但し!脱走を完遂するためには、腕利き追跡者ムードゥ(ガルピリル)の手を逃れなければならない。モリーは狩人としての知識を駆使し、空腹と、体力の限界と、暑さなんかに耐えながら北を目指す。
はたして少女たちは、政府の追跡を逃れ、1500マイルもの徒歩逃避行を成し遂げ、母の元へ帰ることが出来るのか…!?


この作品をこの時間帯で放送するのか、というのが一番の率直な驚きだった。本来「バリ・シネ」で扱うべき作品なんだけど、番組が終わっちゃったからな。
しかし、私が母に対する情がないからか、感動なんて微塵もなかった。14歳だったらまた違ったのだろうか。
それよりも、折角こういうテーマなのだから、もっとその収容所の悲惨さ、政府のえげつなさ、先住民族の立ち位置や思想なんかを掘り下げていただきたかった。もっと汚くていいのでは。
<実話に基づいた再現ドラマ>でなくていいから、インタビュー主体のドキュメンタリーにした方がこういう話は良さそう。それじゃ、NHKスペシャルか。ラストの<ご本人様登場>は、いい演出だと思う。
ところで、レビューを見ると「白人て酷い」と思惑通りに憤慨している方が多い。
が、この作品の白人(特に<ネビル>と名指ししても良い)は、勘違いながらも善意と使命に基づいた、任務としての真面目な行動な訳で。今の日本(というか、どこの先進国でも)、ネビル以下の輩が掃いて捨てるほどいるよな。人種が違う訳でなく、使命や役割を担っている訳でもなく。ただ「自分の優越感を満たすため」だけの<イジメ>っちゅー奴、謂れのない差別の決定版ではないだろうか。
そこのところにまず気付き、自分はネビル的加害者になっていないか、改めてみることが重要であろう。動物にしていることを振り返るだけでも、<良かれ>と思って<酷いこと>をしている可能性は大いに、あるのだから。
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