夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

TBSテレビ「病院の不正」で分からない事がある

2009年07月07日 | 社会問題
 TBSテレビ「朝ズバッ」で奈良県の山本病院の不正を採り上げた。その中で二つ、分からない事があった。
 一つは患者の半数が生活保護者であるのはおかしい、と言う論理である。その後で、確か横浜だったと思うが、東京の三谷や大阪の西成と並ぶ貧困な生活の人が多い地区で80歳の女性医師が「女赤ひげ先生」と呼ばれて慕われているとの報告があった。そこでは9割以上が生活保護者だと言う。先の話と矛盾しているではないか。
 もう一つは、カルテを電子化すると不正が防げるとの論理である。そうだろうか。電子化くらい訂正や変更の簡単な事は無いだろう。私は25年以上も前から自分の会社の経理を電子化しているが、何度でも訂正をする事が出来るので非常に便利に思っている。
 不正をするためではない。仕分けの間違いとか金額の間違いが意外に多いので、それを訂正出来る事は非常に便利なのだ。紙の帳簿でやっていた時は、きちんと赤の二重線を引き、その上に正しい金額を書く。それが何度も重なると、もう見られたもんじゃない。素人の経理だから、馬鹿馬鹿しい間違いも一杯ある。貸方と借方を取り違える事など日常茶飯事である。
 経理ソフトも良いソフトになると間違いも発見し易くなる。そして訂正した跡はまったく残らない。もちろん、紙の場合でも新規に作り直せば訂正の跡は残らないが、そんな大変な事をするのはとても難しい。だが、電子化だと一瞬の内に完了する。
 カルテの電子化は他の病院と比較する点では有利だろうが、不正を防ぐ手だてになるのだろうか。

 非常につまらない事を二つ。
 字幕で「署名する」が「書名」となっていた。
 女性リボーターが横浜の医師の紹介で「患者が医師を育て」と言う箇所を、確か「医師を見て」と言った。「そだて」と「みて」は言葉の数が違うから、聞き間違えるはずが無い。事前にテロップを読む事はしないのか。
 私は校正の仕事をしているから、こうした事が非常に気になる。間違いその物も気になるが、それは視聴者の頭の良さで何とか解決が付いている。そうではなく、こうした間違いをすると言う情況がとても気になるのである。私らがそうした雑な仕事をしたら、間違いなく仕事は減るか無くなる。だが、そこつなリポーターの地位は安泰だ。字幕を作る人はお役御免になって、他の人が代わっているのかも知れないが。いやいや、そんな事は無いだろう。多分、担当者達も間違いに気が付いていないのだろう。あまりにもいい加減な字幕が多過ぎるから、そうとしか考えられない。そして放送での訂正もされない。

 先の分からない事二つを挙げたのは、こうした事は基本的な事柄だから、そこに疑問があれば、全体の検討にも疑問が出る。もしも基本事項に間違いがあれば、ああだのこうだの、と言った事がすべて無駄に終わる。
 この番組でのテーマはどうしたらこうした不正を防ぐ事が出来るのか、なのだから、そうした細かい一つ一つをきちんとやってくれなければ、何にもならない。単に司会者の正義感をぶっつけられたって、何の役にも立たない。