夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

世論調査での計算の仕方に疑問

2009年07月02日 | 社会問題
 東京新聞が東京都議会議員の選挙で世論調査をした。6月5日~7日。その結果が10日の朝刊に載った。
 調査の結果は、自民支持19・3%。民主21・2%。公明7・3%。共産3・8%。社民0・8%。生活者ネット0・7%。その他0・3%。支持政党なし44・1%。
 衆議院議員選挙の前哨戦と見て、世論は「民主に傾斜」との大見出しを付けた。そしてやはり見出しで「支持政党 無党派の25% 民主」と付けた。
 
 だが、記事では次のように書かれている。
 無党派層では86・1%がまだ投票の予定先を決めていないと回答している。その人達に「あえて」と聞いたところ、25・7%が民主だと答えた。

 つまり、無党派層の25%ではなく、無党派層の86・1%の25・7%になる。それは22・1%である。
 25-22・1=2・9%は無党派層の民主党支持だ、と言う訳には行かない。それは立派に民主党支持であって、無党派層ではない。

 それに投票先を決めていない人間に「あえて」どうなのか、と聞いたのである。調査の時点で決めていない、と答えたのは答えられないからだろう。では、「あえて」聞いたら答えられるのだろうか。そんな事は無い。それなら調査の時点で答えられているはずだ。
 「あえて」と言われて答えられるとするなら、あまりにもいい加減な人々を対象にしている事になる。この世論調査は調査の対象がいい加減である事と、調査その物もまたいい加減である事を明白にさらしてしまった。

 ただ、この記事は非常に難しい。民主支持は21・2%、支持政党なしは44・1%である。だが、記事には「民主支持層の投票予定先をみると、90・9%が「あえて今投票するとすれば」を含めて、「民主」と回答」とあるのだ。
 21・2%の90・9%は19・3%になる。「支持層」と「投票先」は同じなのか、違うのか。そうした事が皆目分からない。

 これは自民党も同じ。
 自民支持層では、どの政党に投票するかを決めている人の85・7%が自民と答えた。
 まだ決めていない人に「あえて今投票するとすれば」と聞くと、70・1%にダウン。
 さらに9・4%は投票先を「民主」と回答した。
 16%は「分からない・無回答」だった。

 つまり、どの政党に投票するかを決めている人の14・3%は自民党支持ではない。自民支持層は19・3%だから、その70・1%が自民党に投票する事になる。それは13・5%に過ぎなくなる。
 70・1と9・4と16を足しても95・5にしかならない。

 普通は支持政党と投票する政党は同じだと思う。それがここでは大いに違っている。では「支持政党」の意味は何なのか。今までは自民党支持だったが、今回は支持しない(投票しない)よ、と言う人までも自民支持に含めているのか。この調査ではそうなる。でもそれでは調査は正確を期せない。
 私には算数の能力が無いのか、どうにも分からない。どなたか教えて下さい。以前、アンケートではないが、同じように記事の分からない事を二つの新聞社に直接問い合わせた事がある。一社は、なるほど分かりませんねえ、でおしまい。もう一社は、そうした事にはお答え出来ない事になっています、と言われた。それでその新聞は購読をやめた。