夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

ガザ支援運動で東京新聞の分からない報道

2009年01月27日 | Weblog
 パレスチナ自治区ガザへの支援金要請運動と言うのがある。イギリスの13の慈善団体が共同で計画した。そのニュースを英BBC放送が報道機関の中立性を楯にニュース番組などで取り上げない方針を決めた。それに対して批判が集中し、市民による抗議デモのほか、現職閣僚が再考を促す異例の事態になっていると、26日の東京新聞夕刊が伝えている。他紙も同じだろう。
 BBCの言い分は、「イスラエルとパレスチナの二つの当事者がある中、パレスチナ側だけを取り上げれば、報道機関として中立性が損なわれるので放映しない」である。更には「戦争と自然災害による被害は違う」と正当性を主張しているとも言う。
 これに対する批判は、「人道支援と政治問題を履き違えている」と言うもの。国際開発相がBBCトップに見直しを求め、テレビ各局も放映を決めた、と言う。
 記事の終わりは次のようだ。

 イギリスの各紙はサンデー・テレグラフが「ガザの子どもたちにはわれわれの支援が必要だ」、オブザーバーが「もし今後放映を決めれば政治圧力に屈したとみなされる」と批判を強めている。

 さて、この最後の記事が私には分からない。サンデー・テレグラフの批判は分かる。しかしオブザーバーの批判が分からない。大臣がBBCに見直しを求めたと言う。それは言うならば、政治圧力になる。それに屈して放映を決めて何が悪いのか。今は放映をしないと決めている。だから放映すると決めるのは「今後」に決まっている。それが政治圧力に屈したのだと言われてしまうと、放映しないを貫き通すしか無い。
 何とも分からない。「圧力」とは悪い事を言う。普通には単に物理的な事柄だが、こうした場合に使われるなら、「自由な精神活動や恣意的な行動を抑えつけようとする、強い力による働きかけ」(新明解国語辞典)である。
 この記事のタイトルから言っても「BBCの“無視”市民らが非難」である。非難、批判は決して「圧力」ではない。記事は批判する側が正しいと見ているのである。大臣も批判する側に立っている。それが「圧力」になるはずが無い。

 東京新聞に聞いてみようかな、とは思ったが、過去、二度、そうした事で嫌な思いをしている。毎日新聞では、電話に出た読者相談の窓口氏は「そう言えば分からない記事ですね。担当に伝えておきます」とだけしか言わなかった。どうすれば分かるような記事になるのかは、皆目分からないままだ。読売新聞では、「そうした事にはお答え出来ない事になっております」だった。私の聞き方が悪かったのか。

 もしかしたら、オブザーバーの話は、「政治圧力に屈するのではなく、今すぐに自発的に放映を決めろ」と言っているのかとも考えてみた。それでも「圧力に屈する」の言葉はおかしいし、こんな分かりにくい言い方をする事も納得が行かない。それに先述したように、「今すぐ」だって「今後」と同じになるではないか。いったん決めた事を覆すのはすべて「今後の事」になるはずだ。
 この記事が分かった人がいたら、どうか教えて頂きたい。