夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

「小規模飲食店は禁煙対象外」神奈川県の方針に疑問

2009年01月16日 | Weblog
「小規模飲食店は禁煙対象外」
 このタイトルの事を神奈川県は決めたと言う。不特定多数の人が集まる公共的施設に禁煙または分煙を義務付ける仮称「受動喫煙防止条例」の素案について、100平方メートル以下の小規模飲食店やパチンコ店などの施設を規制対象から外す修正案を発表した。
 これらの施設を「特例施設」として、「禁煙・分煙は努力義務にとどめ、未成年者の立ち入り制限も努力義務とした」のである。何と言う後退振りか。しかも既に「3年間の適用猶予」もされているのである。
 県の言う理由は次の通り。
 「小規模飲食店は分煙設備設置が物理的に難しく、資金負担が重いとし、パチンコ店など風営法対象施設が分煙設備を設置する場合は、構造変更の事前許可などが必要で営業停止を余儀なくされる」
 更には、「旅館などの宴会場は、施設管理者が〈喫煙〉も選択できると変更した」との修正のおまけ付きである。

 これは実質上の骨抜きである。神奈川県知事は「経済状況が大変悪くなり、一部事業者に配慮が必要となった。禁煙の実現へ、強制的でなく、皆さんの自助努力を引き出すアプローチが必要と判断した」と言う。
 何と言う言い訳か。カネのためなら人々の健康など問題にはならないのだと言う。恐れ入った感覚である。しかも、分煙設備の設置が物理的に難しいとは何事か。分煙が絶対に必要だから、本当は禁煙に踏み切るべきなのだが、設備を設置するのである。それについて物理的に難しいも何も無いのである。物理的に難しいと言うのはそのために客席とか営業の施設に負担が掛かるからである。
 確かに客席の数も制限を受けるだろう。だが、根本的な事が間違っている。営業ありきではないのだ。客の健康ありきなのである。そうでしょう。どの店だって「お客様のために」をモットーにしているはずだ。それともそれはほんの体裁だけで、単なる客引きのためのキャッチフレーズだとでも言うのか。
 更に更に。
 パチンコ店などは「構造変更の事前許可などが必要で営業停止を余儀なくされる」とは何たる言い分か。それなら、事前許可の制度を改めれば良いではないか。それともこれは国の法律で決まっていて、地方には手が出せないのか。それだって、何らかの方法はあるはずだ。それに、事前許可が何で営業停止になるのか。営業停止にならない事前許可の方策を考えれば済む事じゃないか。

 ねえ、規模が小さい店だからこそ、喫煙が他者に大きな影響を与えるんですよ。だから小規模飲食店こそ、禁煙を実行しなければならないはずである。
 そして飲食店と並んで、パチンコ店が規制の対象外になっているのが腑に落ちない。最近テレビにパチンコのCMがのさばり始めた。聞く所によると、小沢民主党党首が韓国を訪問した際、韓国側から規制を緩めて欲しいとの要望が出されたのがその理由だと言う。おかしいね。小沢氏は単に野党の党首に過ぎない。テレビCMの規制にまで力があるとは思えない。
 要するに、韓国人の経営者が多数であるパチンコ店の経営をもっと安定させろ、との要求に日本は屈服したらしい。こうした事と神奈川県と言い、どうしていつも庶民を足蹴にするのか。政治の権力を握る者は常に権力者側にしか顔を向けていない。それが如実に分かる。