夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

ペットショップはペットの事を考えよ

2009年01月08日 | Weblog
 ペットショップに行くと、本当に可愛らしい子犬や子猫が売られている。誰が見たって可愛いとしか言いようが無い愛らしさだ。子供がよだれを垂らしそうになって食い入るように見詰め、揚げ句は親に買ってくれとねだっているのが無理無い事だと思えてしまう。しかしあまりにもペットが幼い。本当に育つのかとの疑問としつけが出来るのか、との疑問がある。
 我が家のペットは雄のポメラニアン。家に来た5月初旬には生後二カ月だった。だが、息子はもう一カ月ほども前からこの犬に目を付けていた。
 「ねえ、コロにそっくりな犬が居るんだ。飼おうよ」と熱心に訴える。コロとは六年前に12歳で死んだ同じくポメラニアンである。この犬は大人しく、育て易かった。それでも店は「下手をすると死んでしまう事もありますよ」と言った。
 私達は二度も犬の死に目に遭うのは嫌だった。だから容易には承知しなかった。だが、あまりの熱心さにとうとう折れた。そして息子は買い主にはなったが、飼い主にはならなかった。世話は親に任せっ切りなのである。
 今度の犬はポンタと言う名前を付けた。この犬はペットショップに、それこそ生後一カ月も経たない内に売られた計算になる。どんなにか母親恋しく、寂しく、怖く、辛かった事だろうか。野生の場合だって二カ月や三カ月、いや、もっと長いかも知れないが、母親とべったりで暮らすはずだ。その間に色々と学ぶ事もある。兄弟が居る事で学べる事も多い。そして母親の愛情たっぷりの育て方で健全な成長が出来るはずである。

 家のすぐ前にボルゾイ犬のブリーダーが住んでいる。その人が言う。「私の所では、少なくても二カ月は母親の下で暮らさせます。それから欲しいと言う人に来てもらって犬をよく見てもらい、そして私もその家族としっかりと話をします。そしてこの家庭なら、と思える人だけに犬を売ります。ペットショップには売りません」と。
 ポンタは一カ月も経たない内に母親から引き離された。だからだろう、臆病で甘えん坊である。臆病だからよく吠える。必要の無い時にまで吠える。つまりきちんと育っていない。それを我々人間がやれるとは思えない。我々は犬の母親役は出来ないし、もうその時期は過ぎてしまっていた。一番大事な時に母親が不在なのである。
 可愛い内に売りたいとの気持は分からなくはない。だが、その後の責任を考えたら、そんな商売っ気だけではやっていてはならないのだ。相手は生き物なのである。それも家族同様に育てられる事がほとんどの生き物なのである。

 前のコロは私が都心の事務所に通勤していたから、育てるのはほとんど妻任せだった。しかし今度は家が即事務所になっているから、私は一日中犬と一緒に居る。いや、犬が私と一緒に居る。散歩に連れて行くのやブラッシング、風呂に入れるなどの事を私がしているから、つまりは私は犬の母親代わりなのである。だからいつもついて来る。
 パソコンに向かっている事が多いが、その間、ポンタは椅子の下で寝ている。だからうっかりと椅子を動かす事も出来ない。席を離れてちょっと時間が経つと、心配になるのか、探しにやって来る。ちょっと買い物に出ただけでも、帰ると飛び付き、はしゃぎ、大騒ぎをする。風呂が沸くとすぐに私の所にやって来て、早く入ろうよと催促をする。
 そんな訳だから、寝ても覚めても一緒で、気持も分かってしまう。私が何を考え、何をしようとしているかをポンタは察知してしまうし、彼が何を考え、何をしたいと思っているかを私は分かってしまう。
 人間と犬とは結局、それくらいの間柄になるのである。だから、安易に金儲けだけを考えて簡単に売り飛ばすような事はして欲しくないのである。大体、可愛い子犬を簡単に手放せると言うその気持が理解出来ない。本当は生まれた子供全部を育てたいのではないのか。それは大変な事だから泣く泣く他人に譲るのである。それが、金のためだ、そうれ持ってけ、みたいな事になっているのではないかと危惧するのである。
 ブリーダーとペットショップの方々、あなたがそんな風に親から引き離されたとしたら、どうですか? ペットと一緒にするな、なんて言いませんよね。あなたがたは、我々よりももっとずっとペットと一緒の立場に立っているはずなんですから。