竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
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奈良県洞川を舞台にした物語:富安陽子『菜の子ちゃんと龍の子』を読みました!

2015年07月18日 | 民話
台風11号が去りました。
奈良県も大雨に見舞われました。
みなさまの地域はいかがでしたか?

さて、今日のブログは、修験道のメッカ、奈良県天川村洞川(ほりかわ)を舞台にしたファンタジーの紹介です。
梅花女子大学でも教鞭をとっておられる富安陽子先生の近作『菜の子ちゃんと龍の子』です。



富安陽子作、YUJI画、1200円(税別)、福音館

この絵を見て、お気づきの方もおられるでしょう!

大きなまん丸メガネに、くるりんカールの髪の毛の「菜の子先生」、
ある日ふっと現れて、学校をひととき不思議空間に変身させては、
また去ってゆく謎の先生。



菜の子先生は「学校ふしぎ案内シリーズ」でおなじみのキャラクター、
今度は、なんと奈良県天川村の小学校に現れるのです。
でも、菜の子ちゃんは、菜の子先生の子どもの時の話かな。

まあ、それはさておいて、物語の発端は:
季子(ときこ)のクラスに現れた一日だけの転校生の「菜の子ちゃん」は言う。
「日曜日、龍泉寺のお祭りの夜、手伝ってもらいたいことがあるの。
空に昇れなくなった龍の子を、助けてやらなくちゃならないから....」
それから始まる大冒険! 屋根に引っ掛かってしまった龍の子を空に帰すために
必死に行動する季子と菜の子ちゃん。



YUJI先生の描く「龍の子」も実に可愛い。


私は日常世界にふと現れる異界の世界を物語る伝説をたくさん、フィールドワークで聴いてきました。

ある男に魚を籠ごと売って、お金を数えると木の葉だったという「キツネにだまされた魚屋さん」
月夜の晩、妖精に会い、楽しく踊って、瘤を取ってもらった「せむし男」
魔女の呪文を聞いて、ミルクを増やしたが、欲が高じて、ミルクに溺れてしまう「牛飼い」
これらは、村で語られて口伝えの物語。

それに対し、富安先生は、大和の伝承に基づいて、現代の小学生を主人公にした素敵なファンタジーに
よみがえらせました。

是非、この本をとって、しばし、子どもさんと不思議な世界に遊んでください!

これは、「日本全国ふしぎ案内」シリーズの第1作だそうです。

まさに、これから日本じゅうに菜の子ちゃんが現れて、
妖怪・異界の世界に誘って(いざなって)くれるでしょう!

今日のブログは、子どもに大人気の富安先生の創作童話シリーズの案内でした。

では、また、次週末にブログでお会いしましょう!