竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

「メルヘン学」ファイナル講義・いよいよ4月14日開講!

2011年04月11日 | 日記
今年は入学式に合わせて桜も見事に咲きました。



いよいよ新学期、長年勤めた奈良教育大学での最後の1年が始まりました。
初級ドイツ語 、ドイツ語会話クラス 、グリム童話の購読クラス 、それに「メルヘン学」入門講座を担当します。

メルヘン講座には、これまで本学の学生のほか、市民のみなさまもオープンクラス聴講生として
何人かの方々が聴講してくれました。
今回はオープンクラスの講座とはなっておりませんが、ファイナル講座となりますので、
特に気合を入れてお話しようと思います。

正式の授業名は「言語文化交流論」 です。
今週木曜日(14日)から15回シリーズです。
木曜日午後2時40分~4時10分、講義棟1階104教室です。

講義の概要
ペルシアのガラス工芸品が正倉院に伝来して所蔵されているように、
無形文化財である説話も、遙かオリエントからシルク・ロードを通じて日本に伝えられた可能性がある。
本講では、いくらかの具体的な説話を取り上げて、世界各地に伝わる類話を紹介しながら、
その発生、成立、伝播の問題を考察し、言語文化の東西交流の素顔に迫りたい。
あわせて民話・メルヘンのさまざまな研究方法を学ぶ。

授業計画・シラバス
① 伝承文学とは?(神話、昔話、伝説、笑話など)
  口承文芸(音声)と書承文芸(文字)と電網文芸(ネット・フォークロア)
  『古事記』、『グリム童話』、『世界百人村』
② 日・英・独の最古の説話資料(『古事記』、『ベオウルフ』、『ヒルデブラントの歌』)
③ グリム兄弟と『子供と家庭のメルヘン集』の成立事情
④ グリム童話の文体変遷(「聴くメルヘン」から「読むメルヘン」へ) 
  『星の銀貨』、『蛙の王様』
⑤ メルヒェン『いばら姫』、『白雪姫』について(グリムとペローとバジーレ)
⑥ 柳田國男『日本昔話名彙』とアアルネ=トンプソン『民間説話のタイプ』
⑦ 日欧昔話比較論(『こぶとり爺』と『こびとの贈り物』)
  地理歴史的方法・説話の起源と伝播 時代と地域によるジャンル変遷
⑧ 昔話と伝説の様式について(リュティ理論)
  『灰かき娘』と『かもしか撃ち』
⑨ 昔話の構造主義的研究(プロップ、ブレモン、ジェイスン)
⑩ 昔話の心理学的研究(フロイト-ベッテルハイム、ユング-フォン・フランツ)
⑪ 世界のシンデレラ(『米福糠福』、『灰かぶり』、『鉢かつぎ』、『藺草の頭巾』ほか)
⑫ 現代民話と「電網」文芸とケータイ小説(『口裂け女』・『電車男』・『恋空』)
⑬ 伝承の語り手と現代のストーリーテーラーと絵本の読み聞かせ
⑭ メルヒェンの本質に迫る(『三本の金髪の王女』をめぐって
⑮ 奈良町の民話(良弁杉』、『采女の恋』、『十三鐘の石子詰め』、『蓮長寺の竜』ほか)

では、聴講生とは教室でお会いしましょう!