壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『大往生』(2)

2011年03月23日 | 読書(文芸、フィクションほか)

『大往生』(永六輔著)より。

「ご臨終です……。これが上手に言える医者になりたいと思います。昔は心臓が止まって、呼吸が止まって、瞳孔が開けばいいんですが、今は心電図ですからね。死んでいても、何かの拍子に(電図の針が)動くことがあるので困ります」

(しばらく間をおいて)「だから上手に(心電図の)スイッチを切っておいて……ハイ」

「人さまの前で『人の世話にはならない』という人がいますが、自分で墓の穴を掘るんでしょうか」

『大往生』は、前後2部構成。前半は、旅暮らしの永さんが、日本各地で聞いた市井の人の言葉を集めています。言葉の主は、医者、看護士、介護師、施設の高齢者、在宅の高齢者などなどです。「ご臨終です…」は医者の、「人さまの前で…」は在宅の高齢者の言葉でしょう。

後半は、自分の父の死を巡り考えたことや、ご自身が参加された死をテーマにしたシンポジウムの再録です。

輪廻転生。死んでも、また生まれる。だからこそ、この世で元気の出し惜しみせず、いまを燃えて生きることが大切なんだ。同書はそんなメッセージだと、ぼくは解釈しました。人生のベテランの方に、ぜひ。


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