壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『赤目四十八滝心中未遂』

2011年06月03日 | 読書(文芸、フィクションほか)

『赤目四十八滝心中未遂』を読みました。

東京で身を持ち崩したエエ大学出の34歳が、姫路、京都、西宮と流れ、尼崎にたどり着く。アマでは、進駐軍相手のパンパンをしていたという焼き鳥屋のおばちゃんの世話になり、1串3円で肉を串に刺す仕事をする。

肉加工をする仕事場は薄暗いアパート。隣室は、エエ年の立ちん棒が客を引くのに使っている。向かいは、冷徹な目をした入墨師、彫眉さんの仕事場。アパートには、彫眉さんの子どもの晋平ちゃん、イロのアヤちゃんらが出入りする。

アヤちゃんの兄が、組の金を使い込み、金庫馬券に突っ込むも、摩ってしまう。借金の形に売り飛ばされそうなアヤちゃん。「ウチと一緒に逃げて」……。

とまあ、そんなストーリー。

魂の清らかさ。ラストが圧巻でした。このラストのため、著者は何百枚も原稿を重ねてきた。そんな感じがします。

著者は、車谷長吉さん。同作で直木賞を受けておられます。

久々に小説らしい小説を読みました。物語の世界にドップリつかりたい方、偽善に染まり切った己が魂を浄化させたい方は、ぜひ。


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2 コメント

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Unknown (ウーロン)
2011-06-03 10:50:09
あやちゃんは私にとって理想の女です。
ああいう女に惚れられたら、小説の主人公同様「心中してもいいや」と思ってしまうかもしれません。
ああ、女は怖い(笑)。
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Unknown (ぐるぐる)
2011-06-03 16:07:06
コメント、ありがとうございます。
ほんと、ああいう女と一緒なら、死んでもいいやという気になりますね。
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