壁際椿事の「あるくみるきく」

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『原子炉時限爆弾』を読んだ

2011年06月07日 | 読書(文芸、フィクションほか)

『原子炉時限爆弾』(広瀬隆著、ダイヤモンド社)を読みました。同書の発行は2010年8月。今まさに渦中の福島第一原発事故の起こる半年ほど前のことです。

地震学に関して、プレートテクトニクス理論や断層の実地調査をした学者の説を元に、分かりやすく解説されていました。この部分(第2章)だけを読んでも、勉強になります。地震学に加え、原発の発電の仕組み、放射能の危険性、原発が増えた理由などについて、とてもよく理解できました。

それにしても、広瀬さんが望んでいない予言が的中してしまいました。こんな確度の高い政策提言の本が出版されていたのに、原発推進側は「想定外」と言って逃げようとする。不勉強きわまりない。たぶん、著者に何らかのレッテルを張り、はなっから読もうとしていなかったのでしょう。

「それでも地球は回る」という言葉を残し処刑されたガリレオ・ガリレイ。いつの時代も正しい者が正当に評価されることは少ないのかもしれません。

同書には、原発推進派の学者、斑目(まだらめ)春樹さんのことを「デタラメハルキ」と書かれた部分がありました。つい先日、国民新党の亀井さんが「デタラメ」と言って、ウケたことがあります。その時は「亀井さん、センスあるな」と感心したのですが、先に広瀬さんが書いていた。亀井さんは、きっとこの本を読んでいたに違いありません。であれば、3・11の前に声を上げて欲しかった。残念です。

高レベルほしがる町議の低レベル(引用)

電源三法交付金は、「止められない止まらない」スナック菓子のようなものかもしれません。いや、それなら、まだかわいい。覚せい剤なのかもしれません。

著者の広瀬さんは、もう20年も前に『東京に原発を』を著し、以来長く原発問題を調べ、警鐘を鳴らしてこられた方です。「(いざ大地震が起きて原発から漏れる放射能の)被害者になるのは、現在の若者より下の世代である。被害を受けるのは、決して、私のように六十七歳になった世代ではない」(引用)。

理工系の知識がなくても、中学生でもスラスラ読めます。ぜひ、若者に読んで欲しいと望みます。



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