質量の国際基準が2018年にほぼ130年ぶりに変更される見込みという。昨年11月にパリ近郊で開催された「国際度量衡総会」でその方針が打ち出されたそうだ。●現状の基準は、1875年に総会の下部機関が作った「国際キログラム原器」という合金製の重りが、1kgの基準とされ、各国には原器の複製品が配られているそうだ。(日本では産業技術総合研究所が複製品を管理)しかし、1988年に行った各国の複製品と原器の質量比較で、最大60μg(1億分の6Kg)の差が見つかり、各国は新しい基準作りが急務という点で一致しているそうだ。●新しい基準としては、物理的なデータに基づく2つの方法が研究されているそうだ。1つは、原器の複製品と照らしながら、高純度のシリコンで1Kgの球を作り、球の体積と原子間の距離から球内のシリコン原子の数を算出し、シリコン原子の数で表す方法(アボガドロ法、日米独など)で、誤差は1億分の3Kgより小さいという。もう一つは、複製品に基づいて作った1Kgの重りを電磁石で引っ張り釣り合わせ、その電磁石の力を電気の力に換算して、電気の力で表す方法(ワットバランス法、米加など)で、誤差は1億分の4.5~1.8Kgという。産総研・計量標準総合センター藤井室長によれば、両方の方法が新基準として採用される可能性が高いそうだ。 ⇒ 2/28読売新聞
計量標準総合センターのサイトで陽子の質量を調べてみると、1.672621777/10^27Kg、標準不確かさが0.000000074kg(=7.4/10^8kg)となっており、現状の質量の誤差(最大6/10^8kg)とオーダー的に一致している。