【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

神は畏れられているか?

2019-12-23 06:52:20 | Weblog

 「神をも畏れぬ行為」と言いますが、そういった行為が全世界に溢れていませんか? ということは、実は人類は神をちっとも畏れていない、ということになりません?

【ただいま読書中】『アーサー・ランサムのロシア昔話』ヒュー・ブローガン 編、フェイス・ジャックス 絵、神宮輝夫 訳、 白水社、1989年、2200円

 アーサー・ランサムがまだ『ツバメ号とアマゾン号』で世に出る前、物書きの修業時代、たまたま出会ったロシア昔話集の面白さと英訳のひどさに驚き、「ロシア語を学び、ロシアに行って昔話を採集し、それを自分で英訳して世に出そう」と決心し、それを実行しました。出版された『ピーターおじさんのロシアの昔話』はロングセラーとなりましたが、ランサムの遺稿にはまだまだたくさんのロシア昔話が眠っていました。それを掘り出して出版したのが、本書です。

目次:「鳥とけものの戦争」「白鳥の王女」「オメリヤとカワカマス」「高価な指輪」「キツネ話」「貧すれば貪するという話」「小さな家畜」「ジプシーと聖ジョージ」「天国のかじや」「兵隊と死神」「二人の兄弟」

 本書に登場する「ロシアの昔話」には、何か人生や社会に対する諦念が見える気がします。一見ハッピーエンドに見えても、なんだか素直に喜べないんですよね。ロシアの厳しい気候風土、昔の残酷な農奴制度などが、こういった「昔話」に大きな影響を与えているのでしょうか。
 「高価な指輪」には、後を追いかけてくる恐ろしい存在に対して、糸つむぎのつむを後ろに投げると山になり櫛を投げると黒い森になり鏡を投げると広い海になってその追跡を邪魔する、というシーンが出てきます。おやおや「古事記」では伊弉諾尊が黄泉の国から脱出するのに後ろに櫛の歯を投げるシーンがありましたが、古代人にとって世界に共通する「元型」が何かあるのかな。




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