【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

リンクの節約

2014-02-10 06:35:44 | Weblog

 スピードスケートでよく思うのが、一度に2人しか走れないんだなあ、ということ。たしかに追い抜くときに接触したら危ないしセパレートコースにするのも難しいから陸上のトラックと同じようにはできないでしょうが、短距離ならともかく長距離の予選で「2人だけ」が延々とリンクを占領しているのは、大変もったいないことのようにも思えます。
 そうですねえ、ストレートの「表」と「裏」から同時に2人ずつスタートさせたら、一度に4人が勝負できますから、競技時間が半分にできませんか? もし予選と本選があるのだったら、予選だけ4人で、というのでも良いです。

【ただいま読書中】『表紙裏の書誌学』渡辺守邦 著、 笠間書院、2012年、3500円(税別)

 和本の表紙には芯紙が貼られて丈夫になっていますが、それは出版業が軌道に乗った1640年頃からで、それまでの和本の表紙裏には「反古」が使われていました。「刷りやれ」と呼ばれる刷り損なった「損紙」や、試し刷りに使われた紙です。本書は、そういった表紙の裏に潜んだ反古を明るみに引っ張り出し、当時の出版事情や出版に関する常識を「現物」をもとに明らかにし、さらにその作業を「ワークショップ」として公開することで、古書の魅力に一般人も引き込もう、という壮大な意図をもって作られた本です。
 でも、扱っているのは、虫食いだらけの古びた和書なんですけどね。
 そうそう、この「虫食い」もまた重要です。表から裏まで貫通した穴は、綴じ糸を切って表紙から外してしまった反古の天地がわからなくなったときに、貴重な「ガイド」として機能したのです。
 しかし、仏書がでたり史記が出たり、表紙裏にはなかなか面白い世界が隠れています。
 著者たちの活動は、新しい問題を生みます。「古書の修復とはなにか」という。本来の姿に戻すのだったら、反古もまた元の位置(表紙裏)に戻すべきです。しかし、反古には反古の価値があります。それを閲覧不能にして良いのでしょうか。しかし表紙裏から反古を抜いたら、それは「修復」でしょうか?
 本書を読んでいて感じるのは、著者の「こんな面白いものが見つかったよ」という「わくわく感」です。畳替えのときに畳の下から出てきた古い新聞紙を思わず読んでしまう個人的感覚の学術版、といったところでしょうか。そういえば文学では「四畳半襖の下張り」なんてのもありましたね。“お宝”はまだあちこちに潜んでいるような気がします。



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