【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

コストカット

2012-04-18 20:47:10 | Weblog

 赤字の場合、ろくに仕事をしていないでぶらぶらしている者を首にするのが一番効率的なコストカットです。では、「ろくに仕事をしない(ある一定期間出動をしない)消防署は、無駄だから廃止」と言うのは、“良い”コストカットでしょうか?

【ただいま読書中】『マンガ 量子力学』石川真之介 原作・漫画、講談社(ブルー・バックス)、2011年、820円(税別)

 私が初めて量子力学について知ったのは、高校の図書室にあったブルーバックスででした。もちろん漫画ではありません。一つの光子が二つのスリットを同時に通り抜けたり、電子の位置を決めたら運動が決まらず、運動を決めたら位置が決まらなくなる、というのには、頭がくらくらしましたっけ。
 で、極力式を使わず、マンガで量子力学を説明してしまおうという入門書です。
 登場するのは、フェル美ちゃん。「にゃー」と鳴く犬のフォト丸に導かれて「量子化(クオンタイゼーション)!」という呪文と共に、魔法少女になってしまいます。あやつる魔法はもちろん量子力学。目的は……ありません。
 ところがそこに「敵役」が。ニュートン力学を信奉する古典力学魔法少女(古典ちゃん)が、フェル美ちゃんを襲ってくるのです。古典ちゃんがフェル美ちゃんを襲う理由は……ありません。強いて言うなら、気に入らない。量子力学のような怪しげなことを平気で言うのが許せない。
 で、二人の“戦い”を通して、波動関数・不確定性原理・プランク定数・トンネル効果などが解説されます。そしてもちろん最後は「シュレディンガーの猫」ですが、ここでは本当に猫を箱に入れちゃいます。ところがこの猫、知性があって口がきけます。すると、オリジナルのシュレディンガーの猫とは、少し事情が異なってくるんですよね。
 二人の魔法少女の戦いは中途半端でぬるいもので(だって戦いの動機がありませんから)、それと同様に本書も中途半端な入門書となっています。ただ、中途半端でもその中にはけっこう物理学的に面白い指摘が含まれていて、初心者はもうちょっと詳しい本を読んでみようか、と思えるようになっています。いやあ、こんな本が登場するようになるとは、日本の文化も以前よりは成熟してきたのではないでしょうか。私はこんな本(と、こんなものが登場するようになった日本の状況)が好きです。




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