素数は下から「2、3、5、7、11、13」ですが、これはあくまで「十進法」での表記です。二進法で表現すると「10,11,101,111,1011,1101」、三進法だと「2,10,12,21,102,111」、五進法だと「2,3,10,12,21,23」……
なんだか規則性があるようなないような。というか、何か規則性があったらものすごく面白いことになりそうです。
【ただいま読書中】『家計簿と統計 ──数字から見える日本の消費生活』佐藤朋彦 著、 慶應義塾大学出版会、2020年、1600円(税別)
「家計簿」で見えるのは「その家庭の経済状況」です。しかしそれを国レベルで調査すると「国の経済状況」がリアルに見えてきます。日本で最初の近代的な家計調査は、1916年(大正五年)の「東京ニ於ケル20歳工家計調査」だと言われています。政府としてきちんとした調査は、1926年〜27年の1年間、あらかじめ条件を示して公募した数千世帯で開始されました(俗に「大正15年家計調査」と呼ばれます)。この調査は昭和19年途中まで行われています。
戦後は1946年7月に調査が再開されていますが、ここでの目的は「闇市の実体価格調査」だったようです。この闇市の物価の高さはとんでもないものです。そのせいでしょう、二人世帯の46年のエンゲル係数はなんと70%!
そういえば「エンゲル係数」は「エンジェル係数」などにもじって使われることはありますが、エンゲル係数そのものが問題になることは最近あまり聞きません。昭和半ばにはけっこう取り上げられることがあったのに、現在の日本は豊かになったのでしょうか?
「項目」自体も面白いものがあります。たとえば2018年の国連統計委員会の「COICOP 2018」では「アルコール、タバコ、麻薬」が一つの項目で扱われています。日本だと「食品、飲料、タバコ」なんですが。日本で重要な「祝儀」(移転的支出)はCOICOPでは「消費」とは扱われないので、国際比較の時には注意が必要です。
消費者の行動が変化する(たとえば「購入する」ではなくて「レンタルですませる」ようになる)と消費支出に変化が生じます。これは同時に企業活動の変化ももたらします。つまり家計簿の統計から日本経済の構造も見えるのです。
1985年(昭和60年)と2015年(平成27年)とを比較すると、最も上昇したのは「交通・通信」でした。自動車関連の費用と携帯電話です。逆に減少したのは「その他」で特に「小遣い」次いで「交際費」でした。これだけ見ても「日本人の生活」が様変わりしたことがうかがえます。テレビ購入費は年々増加し、特にアナログ放送全廃の2011年直前の10年と09年にはそれぞれ対前年比30%以上の増加となっています。反対に長期凋落をしているのが新聞。このままだとじり貧→滅亡の道であることが、グラフを見ていると感じられます。もっとも、ネットだってこの先どうなるかはわかりませんが。
消費の主体である「世帯」もまた時代によって変遷します、というか、世帯の変遷が「時代」を作って(変えて)いる、とも言えるでしょう。世帯の人数は減り、無職世帯が増加しています。それによって国全体の消費性向はまた変化します。
年金は偶数月に二箇月分支給なので、「月ごとの比較」をする場合には注意が必要、なんて細かいことも指摘されています。でもこういった「細部」が統計を見る場合に重要なんですよね。
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