AV女優やAV男優は、プライベートセックスにも「仕事」を持ち込むのでしょうか。それともきちんと区別できる?
【ただいま読書中】『白い病』カレル・チャペック 著、 阿部賢一 訳、 岩波書店(岩波文庫赤774-3)、2020年、580円(税別)
「ロボット」の命名者として有名な著者が1937年に発表した戯曲です。
戦争が間近に迫る世界に「雪崩のように」流行し始めた「白い病(ペイピン病、チェン氏病、ジーゲリウス症候群)」。まず皮膚に白い斑点が発生、ついで内臓が腐り始めます。原因は不明、治療法はなし。人々は「ペストだ」「ハンセン病だ」と恐れ、中国を悪者にし、権力者は責任逃れに没頭しています。COVID-19に出会ったときの人々の行動を思い出すと、著者はまるで予言者のようです。さらにCOVID-19でも「若者はかからない」とか「かかっても軽い」というデマが出回りましたが、「白い病」も興味深いことに若年者は侵さず、中年以降(四十代以降)が病気のターゲットとなっていて、世代間の対立も引き起こされます。
そこに「治療法を見つけた」という開業医ガレーンが登場。まずは大学病院に乗り込み、前の教授との関係を上手く使って病棟に入り込みますが、肝腎の治療法は秘密です。人々は「どうせ食わせ物だ」と冷ややかに対応します。ところがガレーンの治療はすばらしい効果を示しました。すると人々は「どうせ金儲けが目的だ」と冷ややかに対応し、「なんとか秘密の注射の中身を盗んでやる」「名声は自分のものにしてやる」と画策し始めます。
そこでガレーンは「秘密を公開する条件」を示します。それは「戦争をやめること」。戦争をやめない限り特効薬の秘密は明かさない、というのです。人々は「人が生きたまま腐っていくのを放置するつもりか」とガレーンを非難します。ガレーンは言い返します。「戦争で人を殺すのを放置するつもりか」。
『山椒魚戦争』で著者はナチズムを風刺・批判していますが、その精神は本書でも当然健在です。そしてその批判精神は「世界そのもののあり方」「人間性」にも及んでいます。だからこそ本書に登場する人物の言動は、現在の世界の人間のものと重なって見えるのでしょう。
……ということは、約100年で、人間は進歩していない、ということに?
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