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足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1664 ~ 大きな ヤマカガシ ~

2019年08月28日 | 野生動物

観察月日  2019 8.18.晴 30.3℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 昨年カヤネズミの巣が見つかった広場は、ススキの原に成長した。

 中央に付けられた道を歩くと、メマツヨイグサ、オトギリソウが花を

付け、バッタの仲間が足元から飛び立った。

 ススキの原を出た所で職員の二人に出会い、「今朝、ヤマカガシの

轢死体が、道路にありましたよ」と坂本さんから声を掛けられた。

 その時とっさに、私の頭に浮かんだものがあった。

 「それは、2004年10月17日同じく“ミニ観の日”、センターの敷地を

二分している今回と同じ道路、ほぼ同じ位置に、大型のヤマカガシの

轢死体があった。そして、それを教えてくれたのは、今日と同じ“坂本

さん”であった。メジャーで計ると、体長150cm、胴周りは13cmであ

った。」

 さて、轢死体のあったその場所へ行くと、既に、道路際の草叢に片付

けられていたが、見るからに大きなヤマカガシであった。体を整え計

測すると、体長は134cmであった。

 戦後、日本にやって来た“ヘビの神父”で有名なリチャード・ゴリス氏に

よれば、ヤマカガシの平均体長70~80cm位で、手にした最長は134.

3cmで、飼育しているヘビは20~30年生きると言う。

 以前と比べ「生き物の姿が、少なくなった」と言われたりするセンター

だが、ヤマカガシにとって棲息環境がよいのか、この谷戸で何年位過

したのだろうか。交通事故の連続で、不運な結末であった。

すっかり、 ススキの原に広がった。

前回のヤマカガシ。 丹沢大山山麓便り(続)よりコピー。

今回のヤマカガシは、既に片づけてあった

体を 整えてから 計測した。

頭の部分。

先端に近い 胴の一部。

谷戸は こんな環境。

 ★ ミニ観の 1コマ。 みんな楽しそう!

 


No. 1660 ~ 一本の松の木から (ミニ観) ~

2019年08月05日 | 野生動物

観察月日  2019 7.21.曇 25.5℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 樹木観察園の一隅に、深く傷つき、脂の流れ出た、松の木がある。

 今日のミニ観察会ではこの木を取り上げ、参加者と私たちフィールドスタップ

が考えを出し合い、動植物の生き行くドラマに迫ろうと考えた。

 松の木の前に来て、その惨状を見た人達は、「ひどい傷だ」「松脂がひどい」

「松が気の毒」等の声が上がった。樹幹の外皮は削られ、材が露出、樹脂が

流れ出ている。又すぐ上方の外被には、鋭利な刃物で直線状に傷つけられ

ている。

 「こんなひどい事、誰がやったんだ!」の声が後を追い駆けた。

木を中心に半径1mの円の中は草が踏まれ、湿った土が露出している。「土に

は、ひずめの跡が付いている」「シカかな?」「イノシシかな?」

 樹の幹に、褐色の獣毛の付着しているのを発見した人がいた。どうやらシカか

、イノシシだろう事になり、では、“何故やっているのか”と、その理由に絞られ

“松脂”が、キーポイントになった。手で触れてみた。粘着力がすごい。土やごみが

付いたら取れない。私はその手でカメラを掴んでしまい、大変な事になった。動物

が体に付けたらどんな事が・・、方向が見えて来た。

 が、その時「松の木の周囲には、他の木があるし、動物の行動も広く見たい」Yさ

んから、私達の頭に無かった疑問が出された。 “さあー、あなたならどうする?”・・・・。

☆ 参加者のミニ観への感想。

・すぐ答えを出すのではなく、皆さんの考え方を出し合って、考える事の大切さを

知ることができました。(K.M)

・答えをすぐ出さない、討論型の観察会、勉強になります。生き物の発見のポイント、

解り安く伝えて頂いた。(Y.I)

傷ついた一本の松の木。

一本の 松の木に 集まった。 幹には動物の毛が。

木の周りの土に 動物の足跡が。

その時 わたしたちが頭になかった疑問が・・・・。

”あなたなら どうする?”


No. 1633 ~ ニホンリスに出会う ~

2019年04月30日 | 野生動物

観察月日  2019.4.2.晴 12℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 街の中にばかり居ると、サクラは咲いたのか、満開は何時頃

なのかと、TVの情報に頼る事になるが、野山を歩いている私

達にとっての春は、ミミガタテンナンショウが芽を出すのを、季

節の一つの区切りとして楽しみにしている。

今日も林道を歩いていると、道の片隅に葉を重ねた葉鞘の先

に佛炎苞を開き、中を見ると棍棒状の付属体が怪しげに覗い

ていた。

私達の山歩きは、何歩か歩いて花が咲いていれば止まり、虫

がいれば見つめ、鳥がいれば双眼鏡を取り出し、中々進まな

い事もある。

私達の歩きと前後しながら、高校生の男の子と母親の二人が

歩いている事に何となく気付いた。二人は時折止まっては山側

の林を眺め、止まってはダム側の斜面を覗き、身支度は散歩

風だが何かに興味があるように見える。

私達と緩く追いつ追われつ、有る程度の時間が経過し、先を行っ

た親子が林道の端でしゃがみ込んでいた。そして暫く動かず、二

人で足元を見ながら何かを話している。「何か あるんだな」と直

感したので離れた位置に止まる。

「しゃがんだ二人の足元に、ニホンリスがいますよ」双眼鏡を覗い

ているRさんが私に知らせる。すぐに望遠レンズを向けて見ると、

ニホンリスだ。足元にいる。向こう向きなのでリスが何をしている

かは解らない。暫くすると二人は立ち上がりその場を離れた。リス

もすぐ前の茂みに入ったらしい。

「茂みの中に リスがいる」Rさんが呟く。

レンズで探して見るとリスがいるのは解るが、細かな枝葉があって、

写真にならない。リスはオニグルミの実を抱え、実の凌をかじってい

る。時々休む様だ。リスは枝から降りると地上を走り去った。

この日は、ナガバノスミレサイシン、ユリワサビ等が印象的だった。

ミミガタテンナンショウは 春の兆し。

崩れた山の斜面に ナガバノスミレサイシンの群落が。

ヨゴレネコノメの花が キレイ。

ユリワサビの 花が目を引いた。

見透視のよくなった向うの岩場に ハルユキノシタが。

ニホンリスが オニグルミの実を。

 


  No.1632 ~ 2匹のアナグマ ~

2019年04月29日 | 野生動物

観察月日  2019.3.27.晴 18℃

観察場所  厚木市 不動尻

「Sensei!!」10m程先を歩いていたRさんが、私が顔を

向けるよう、抑えた声で送ってきた。

その時の私は、林道の脇に溜まった落葉の中に育ったフデ

リンドウが蕾を付けていたのでそれをカメラで狙っていた。

私は頭を起し、Rさんの方に目を向けると、早急らしい手の

合図は目に映ったものの、Rさんのすぐ横を走って行くアナ

グマに、引かれる様に焦点が結んでいた。

それは動画の様にゆっくりと走り行く後ろ姿で、相撲取りの

様な丸々としたお尻を振りながら短い足で去って行く姿であ

った。私はその姿を記録しようとカメラを向けた。

ところがその時、「それではないの、こっちに来て」とRさん。

私は去り行くアナグマを目で追いつつ、Rさんの所へ走り寄

った。

するとどうだろう!。山側の斜面の上に、鼻のつんと、顔に

茶色の2本の帯、そこに焦げ茶色の円模様、そして2個の小

さな目が光り、もう1匹のアナグマがいた。

「1匹が先に行ってしまったので、この子は私がいたので着い

て行けず、どうしようかと思案に暮れているのよ」とRさん。私

が2~3コマシャッターを切ると、アナグマはゆっくりと斜面を

登ると、土の中に姿は消えた。そこには巣穴があったのだ。

ついて行けなかったアナグマは、若いらしく、毛並みがキレ

イ、優しい顔に見えたので雌ではないだろうか。

アナグマはキレイ好きの動物の様で、林道から巣穴までの

けもの道は平に均されていて、落葉や木枝、小石等ない。

それと、アナグマの出産は3月中旬から4月上旬と言われる

ので、もしすると、巣穴に可愛い子がいるのかもしれない。

フデリンドウの蕾を撮影していた。

Rさんが 私を呼んだ。

山側の斜面に アナグマが!

ついて行けないで 困っている。

キレイに している けもの道。

その後 不動尻へと向かった。


No. 1620 ~ 「はっと」 すること ~

2019年02月01日 | 野生動物

観察月日  2019.1.14.20.晴 8℃

観察場所  厚木市 七沢 (自然環境保全センター)

 

 私はミニ観の人達と、刈られたススキの広々とした原に立っている。

そこは、樹木見本園の北側の所だ。ここが昨年はススキの原では無か

った様に思うが、記憶が曖昧だ。と言う事は、ミニ観にとっては左程意

味の無い場所だったのだろう。

 それが、1月14日ミニ観日誌をめくった所「刈られているので原型は

崩れているが、多くの(?)の巣の跡があった」と。“ミニ観にとって、最

高の材料だ。”

 この広場は、みずきの会では毎月訪れている。本年度最初に興味を

引かれたのは、5月4日 白い花で一面が覆われ、ハルジョオンの花園

が出現した時の事だ。

 それが、6月17日には、ヒメジョオンの白い花にバトンタッチされ、ベ

ニシジミが吸蜜に訪れていた。

 7月27日、その後の変遷が気がかりになり、一人訪れてみた。広場

一面、膝丈程に成長したススキが風にそよぎ、ショウリョウバッタが葉

陰に融け込んでいた。ヒメムカシヨモギ、オオアレチノギクが背丈ほど

に伸び、小粒の花を付けていた。

 8月19日にはススキは一層成長し、原の中には入り難くなり、アレチ

マツヨイグサの黄色の花が目立った。

 その後11月17日、伸びたススキの穂波が揺れ、その美しさに心を引

かれたが、他の変化には気づかなかった。

 1月14日、20日、ミニ観の人達と刈られて横倒しになったセピア色の

ススキの原へ入った。「これかしら!」何本かに束ねたススキの上方に

葉を丸めて作られた巣を抱えた人がいた。それをきっかけに、見付けた

喜びを味わった人が何人もいた。

 その上で、「どうやって、作ったのか」「構造はどうなっている?」「柔ら

かくしたワラが出て来た」「これ糞だよね」・・・・“誰の巣だったのか”結論

が出た。

 それにしても、約半年来ていたのに、何も気付かなかったのは不思議

だ。人は自然に始めて出会った時、それは名前ではなく、「はっとした」気

に打たれる筈です。それを、失っていたのであろうか。

刈られたススキの原に 立っていた。 1月14日 20日

5月4日 ハルジョオンの花園。

6月17日ヒメジョオンにベニシジミ。

の原

7月27日の原

ショウリョウバッタ

膝丈程に成長。

1月14日 20日のミニ観でススキの刈られた原へ入った。

ススキを丸めた形が!

みんなで見つけて、みんなで考える。

誰の巣 だろう?