一顆明珠~住職の記録~

尽十方世界一顆明珠。日々これ修行です。いち住職の気ままなブログ。ときどき真面目です。

逆境のすすめ――板橋禅師の話

2007年01月05日 | 自己啓発
正直、ネタに困ったときの板橋禅師です。。。

著書に面白い話が載ってました。

『最近はうなぎの稚魚をカナダから飛行機で輸入するそうですが、空輸中に八割か九割は死んで、日本につくそうです。
 ところが、その水槽に一匹のなまずをを放すと、日本に到着するまでに、二割の稚魚は食べられてしまったが、八割はいきいきとしているそうです。
生物は住みやすい環境で生育するよりも、むしろ逆境に育つと、活気が出るようです。』(『坐りませんか。』板橋興宗 PHP)

このうなぎの話が人間にもそのまま当てはまるかどうかは分かりませんが、逆境が人を強くするということについていささか思い当たることがあります。

私が思い起こすのは、例えば、明治、大正生まれの年配の方の昔の思い出話を聞いていると、当然ながら、現代とはまるで生活様式が違うわけです。

薪を焚いて炊事をし、風呂を沸かす。
自動車もない。
洗濯機もない。
冷蔵庫もない。
いわゆる電化製品なるものがない・・・。
当然、コンビニもない。

今ではおよそ考えられない暮らしを経験してきています。
彼らにほぼ共通するのは、生命力が強いということ。
いわゆる気骨が半端ではありません。
ちなみに先代住職は、その典型でした。

彼らは、一様に当たり前のように大変な苦労をしてこられています。

いや、「苦労」というと、主観的要素が混じります。
むしろ「環境負荷」と言い替えてももいいかもしれません。

なぜなら、彼らは昔の生活を苦労とはあまり感じていない節があるからです。

したがって、生物も、人間も、適度な「環境負荷」があったほうが、強くいきいきと生きられるのではないかと思います。

現代、物質的には、これ以上ないほど便利になり快適な生活が送れるようになりました。
しかし、便利・快適=身心の健康、には結びつかないのが現実。
現代人の身心はどんどん軟弱になっているような気がします。

逆境やストレスを乗り越えていこうとすることで、私たちの生きる力は鍛えられていくのでしょう。
ヌクヌクとした、ぬるま湯のような暮らしは生命力を弱らせる。
ひいては、感受性も鈍らせる。

「可愛い子には旅をさせろ」。

「若い頃の苦労は買ってでもしろ」。

それは、生きる力を養うということにほかありません。


<補足>
ここで、以下のような反論が予想されます。

「昔話をする老人たちは、生命力が強かった結果として「いま」存命しているのであり、生命力の弱いと思われる同世代の人たちはすでに亡くなっているのだから確かめようがない」、という考えです。

これも確かに一理あると思います。

しかし、そうは言っても、総体的にみて、現代人は彼らに比べて身心両面で弱体化していると思うのですが、いかがでしょうか。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
年賀 (zazen256)
2007-01-06 04:58:27
 あけましておめでとうございます。
 昨年はいろいろとご指導頂きまして真にありがとうございました。
 今年もなにとぞよろしくお願いします。
 私も人生の後輩の方々に何かを語り、役に立てるよう頑張りたいと思います。そのためには佛教を勉強するのが最も良いと信じて、今年も佛教を学んで行きたいと考えています。
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zazen256さんへ (りょう)
2007-01-06 23:25:46
あけましておめでとうございます。
こちらこそ、いつもコメントを通していろいろとご教示いただきありがとうございました。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
人生の先輩の話、特にそれが仏教の話であれば、なおさら若者のためになることでしょう。
いま、若い人たちに大乗仏教を語っていくことが、もっとも必要なことだと思っています。
私も精進したいと思います。
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