一顆明珠~住職の記録~

尽十方世界一顆明珠。日々これ修行です。いち住職の気ままなブログ。ときどき真面目です。

「水の星」 詩人茨木のり子さんを悼む

2006年02月20日 | 
詩人の茨木のり子さん死去 (朝日新聞) - goo ニュース

幼い2人の園児が殺害された。

人間はいったいどうしたというのか・・・。

なぜこんなふうになってしまったのか・・・。

何かがおかしい、どこか狂っている。

こころが痛む。

では、自分はどうか?

私は大丈夫だろうか?おかしくないか?

時代の空気に汚れてしまってはいないか?

自問してみる。

今日、詩人茨木のり子さん(79歳)が亡くなった。

詩集をひも解いたら、こんな詩がありました。


 
 水の星      茨木のり子


宇宙の漆黒の闇のなかを
ひっそりまわる水の星
まわりには仲間もなく親戚もなく
まるで孤独な星なんだ


生まれてこのかた
なにに一番驚いたかと言えば
水一滴もこぼさずに廻る地球を
外からパチリと写した一枚の写真


こういうところに棲んでいましたか
これを見なかった昔のひととは
線引きできるほどの意識の差が出てくる筈なのに
みんなわりあいぼんやりしている


太陽からの距離がほどほどで
それで水がたっぷりと渦まくのであるらしい
中は火の玉だっていうのに
ありえない不思議 蒼い星


すさまじい洪水の記憶が残り
ノアの箱舟の伝説が生まれたのだろうけれど
善良な者たちだけが選ばれて積まれた船であったのに
子子孫孫のていたらくを見れば この言い伝えもいたって怪しい


軌道を逸れることもなく いまだ死の星にもならず
いのちの豊饒を抱えながら
どこかさびしげな 水の星
極小の一分子でもある人間が ゆえなくさびしいのもあたりまえで


あたりまえすぎることは言わないほうがいいのでしょう

            (ポケット詩集Ⅲ 童話屋より) 


地球、この上なく美しい水の星に生きるわたしたち。

人類は、不思議に満ちた奇跡の惑星に生を享けた。

だが詩人からみた地球が、どこか寂しげなのは、なぜだろうか・・・

その理由は、わたしたち人間のあり方にあるのではないだろうか。

私たちは、地球の美しさからかけ離れてしまっているようだ。

なぜ私たちは、この美しい星に生まれたのか。

考えたい。


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4 コメント

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ノアの箱舟 (風月)
2006-02-21 13:30:45
茨木のり子さんの詩には心打たれる詩が多いです。珠玉の言葉を紡いでくれた方が一生を燃焼なさったのですね。

ノアの箱舟に乗せてもらった人たちの子孫であることを、伝えて参りましょう。
返信する
風月さん、コメント有り難うございます (りょう)
2006-02-21 21:59:15
>風月さん

私も何篇か茨木さんの詩を読みましたが、心に響きました。虚飾や偽善を排する、真っ直ぐな精神の方ですね。

こうした詩人のメッセージを後世まで伝えていきたいものですね。
返信する
ちょっと詞とは違いますが・・・ (*のんの*)
2006-02-22 01:09:27
 余りにも日常の忙しさや都会の雑踏に埋もれると、地球の美しさなど大きくゆったりと自分を見つめる心の余裕が無くなってしまう気がします。



 私の心の洗濯は、沖縄です。

沖縄時間(のんび~っり)待ち合わせの集合の1時間くらいは遅刻なんて言わない位です。

それに離島なんて行くと、船が出た後は島から出る事は出来ません。本当に真っ暗になる夜に月の灯りの下で波の音・・・。

自然の雄大さ、人間のちっぽけさを思い知らされ、気持ちをリセットしてくれる気がします。

そう言う、ぬちぐすいって大切ですよね。



こんなヌチグスイのコラムページも有るので、

良かったら!!!おすすめします。

http://www.churashima.net/nuchigusui/index.html

長々と失礼いたしました
返信する
*のんの*さん、コメント有り難うございます。 (りょう)
2006-02-22 19:37:57
>*のんの*さん

そういうのウチナータイムって言うんでしたっけ(笑)

聞いたことあります。



沖縄いいですよね!

高校のときに行ったきり。

ゆるやかな時の流れの中で、大自然と一体になる。そこにすむ人々も自然におおらかになるんでしょう。

鹿児島に半年住んだことがありますが、やっぱりみんな、のんびりしていておおらかでした(笑)

ヌチグスイ?・・・塗り薬・・・違うか・・・(笑)

*のんの*さんは相当の沖縄ファンのようですね!

改めてリンクからお邪魔してみます。
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