一顆明珠~住職の記録~

尽十方世界一顆明珠。日々これ修行です。いち住職の気ままなブログ。ときどき真面目です。

甘き憂い ゲーテ

2006年11月26日 | 
 
 甘き憂い

憂いよ、去れ!――ああ、されど、死すべき人間なれば、
生ある限り、憂いは去らず。
避けがたきものとあらば、来たれ、愛の憂いよ、
他の憂いを追いて、なんじひとりわが胸を領せよ!

『ゲーテ詩集 新潮文庫』


凡夫のみならず、この娑婆世界(人間界)にいる限りは、たとえ菩薩であっても心の憂いが晴れることはない・・・。

一切衆生を救い尽くすまで菩薩は憂いを抱いてやまないのだから。

それを「大悲」と言う。

「他の憂いを追いて、なんじひとりわが胸を領せよ!」

ゲーテが言う愛の憂いとは、世俗的な色恋の憂いを含んで包摂した、人と人が交わることの根源にある憂いに違いない。

それは、この上なく甘き憂い。

胸に満たされる愛の憂い。

だが、詩人と違うのは、菩薩はいつまでも甘い感傷には浸っていないのだ、きっと。

<追記>
良寛さんの憂いについて書いた過去記事があったので張っておきます。
「君看よや双眼の色 語らざれば憂いなきに似たり」


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