飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム 花、あふち(センダン)

2011年01月20日 | 更新情報
(写真更新しました)


妹が見し楝(あふち)の花は散りぬべし
我が泣く涙いまだ干(ひ)なくに
   =巻5-798 山上憶良=


 妻の死を悲しみ、私の涙がまだ乾かぬうちに、妻が生前喜んで見た庭の楝(=栴檀)の花も散ってしまうのだろう。という意味。

妻を亡くした大伴旅人に奉った歌。作者の山上憶良(660~733年)は、百済からの渡来人であり、藤原京時代から奈良時代中期に活躍した。漢文学や仏教の豊かな教養をもとに、貧・老・病・死、人生の苦悩や社会の矛盾を主題にしながら、下層階級へ温かいまなざしを向けた歌が収められている。

「楝の花」は古名で現在の栴檀(せんだん)の花のこと。センダン科センダン属の落葉高木。街路樹や公園などによく見かける。5~6月、新しくのびた枝の葉腋から長さ10~15㌢の複集散花序をだし、淡紫色の小さな花を多数開く。果実は薬用にし、核は数珠の玉に使う。
ちなみに、「栴檀は双葉より芳し」(せんだんはふたばよりかんばし)の諺はよく知られるが、これはセンダンではなくビャクダン(白檀)を指すらしい。
万葉集には「楝の花」の歌は4首ある。

私の息子が通っていた幼稚園が、松戸市千駄堀にある「栴檀幼稚園」。
当時はなんと変わった名前だろうと思っていたが、しばらくしてセンダンの木の名前だとわかった。栴檀の木をみると当時を思い出す。

 この万葉歌碑は名古屋の東山動植物園内の万葉の散歩道に置かれている(2010/12/24写す)。

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