妹が門 いや遠そきぬ 筑波山
隠れぬほとに 袖は振りてな
=巻14-3389 東歌=
あの娘(こ)の家がますます遠く離れてしまった。筑波山が隠れずに見えているうちは、袖を振ろう。という意味。
筑波山は男体山・女体山の双峰からなる山ということで、男女が歌をやりとりし互いの相手を見つける集いの「歌垣」の場になっていた。筑波山の万葉歌には恋歌が多いのも想像できる。若い男女がお互いに恋の歌を取り交わした4首の中のひとつである。
名所江戸百景は、浮世絵師の歌川広重が安政3年(1856年)から同5年(1858年)にかけて制作した連作浮世絵である。広重最晩年の作品でもある。
筑波山が描かれている絵は、隅田川水神の森真崎(向島から隅田川の対岸の真崎と水神の森を望んだ)からの風景である。水神は現在の隅田川神社であるが、当時より北方(周辺は東白鬚公園)に移転している。
この歌碑は、筑波山麓の「つくばテクノパーク大穂」に建っている万葉集20基のうちのひとつである。
安蘇 美加保
伊香保嶺