飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム~花、すみれ

2012年05月24日 | 更新情報
       (写真文書を追加しました)

春の野に すみれ採(つ)みにと 来しわれぞ
野をなつかしみ 一夜寝にける
   =巻8-1424 山部赤人=


 春の野にすみれを摘もうとやって来たが、野の美しさに心惹かれ、一晩過ごしてしまったよ。という意味。

 スミレを若い娘ととらえて、娘と一夜寝を共にする、といった解釈をする人もいるが、自然派の赤人が詠んだのだから、そのような思いで歌ったのではないと思う。

 古代ではスミレは薬草として使われていたようで、赤人のすみれ摘みは「薬草狩り」ではなかったかとの説があり、私もこの説に同感だ。薬草のためにはたくさん採集しなければならなかったので、「一夜寝にける」まで居たのであろう。このほうが自然派の赤人らしい歌になる。

 山部赤人は奈良時代の初期から中期にかけて作歌がみとめられる宮廷歌人(生没年未詳)。『古今集』仮名序には、高く評価される赤人の代表作として、この歌が挙げられている。

 スミレはスミレ科スミレ属。和名の由来については、花を横から見ると大工道具の墨入れに似ているとの牧野富太郎が唱えた説がある。
万葉集にはスミレの歌は4首ある。


この写真の万葉歌碑は千葉県木更津市馬来田の武田川・妙泉寺下右岸畔に建てられている。
馬来田の里山の雰囲気はまだまだ万葉の頃の息吹が感じられるようだ。
山部赤人は千葉県上総山辺郡(現在の東金市と周辺)生まれであるという説があり、東金に赤人塚もある。

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