飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム(奈良):橿原市雲梯町 河俣神社

2015年05月18日 | 万葉アルバム(奈良)


思はぬを 思ふといはば 真鳥(まとり)住む
卯名手(うなて)の杜(もり)の 神し知らさむ
   巻12-3100 作者未詳=


愛していないのに愛していると言ったなら、あの立派な鳥が住んでいる雲梯の森の神様がご存知で、罰を与えられるでしょう、私は嘘は言いませんよ。という意味。

「真鳥(まとり)」は「立派な鳥」の意だが、多くの場合、鷲(わし)のことをいう。「真(ま)」は「完全な」「真実の」「立派な」「美しい」などの意味を添える接頭語。
「雲梯(うなて)の杜(もり)」は現在の河俣(かわまた)神社のこと。神奈備の杜として信仰されていた。 
 

(左手に万葉歌碑、右が曽我川)

 この万葉歌碑は、奈良県橿原市雲梯町689番地に鎮座する河俣神社に建つ。河俣神社の主祭神は鴨八重事代主神。式内社で、旧社格は村社。
『出雲国造神賀詞』に皇室を守護する神として「事代主命の御魂を宇奈提の神奈備に坐せ」とあり、この「宇奈提」は「雲梯」のことであるとして『延喜式』神名帳に記載される式内大社「大和国高市郡 高市御坐鴨事代主神社」に比定されている。


 春には桜並木、秋には紅葉の美しい曽我川の堤。近鉄坊城駅から北へ曽我川に沿って歩く道は、坊城の美しい自然を堪能できる格好の散策路。この曽我川の東岸、駅から歩いて15分ほどのところに鎮座するのが河俣神社である。川に沿うように細く長く続く参道は、堤に植えられた桜と境内の木々とが日陰をつくり、夏でも涼しい風が渡る。