飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム(奈良):橿原市地黄町 人丸神社

2015年07月10日 | 万葉アルバム(奈良)


秋山の 黄葉(もみぢ)を茂み 惑(まと)ひぬる
妹を求めむ 山道(やまぢ)知らずも 
   巻2-208 柿本人麻呂=


秋山の黄葉の茂みに迷ってしまった妻を探し求めるのだけれど、道が分からないのです、という意味。

この歌は柿本朝臣人麿が軽の地にいた妻が亡くなった際に詠んだ挽歌で、巻2-207の長歌に付けられた反歌二首のうちのひとつである。
妻が亡くなったのが黄葉の鮮やかな時期だったのであろう。
万葉集の時代の挽歌には、この歌のように「亡くなった人を呼び戻しに行きたいけれど道が分からない」との表現がよく見られる。
それも死者の魂や死後の世界の存在を常に身近に感じており、呼び戻せることもできるのだ、という思いがあった。
 
 

 この万葉歌碑は、橿原市地黄町人丸神社に建つ。

 橿原市地黄町人丸神社は、葛城市新庄の「柿本神社」から分祀したと伝えられ、江戸時代以降、「人丸神社」・「柿本人麻呂大明神社」と称していた。