2011年06月05日 グランフォンド富山に出走してきた。
何故出走しようと思ったのかはよくわからないが、「海抜ゼロメートルの富山湾から世界遺産・五箇山へ」というキャッチフレーズの通り、海と山の両方に接することができるというところがポイントだったのかも知れない。まあ、普段は山ばっかり眺めているから、海を見ながら走るというのは滅多にないことではある。それに、確かに観光地化はされていて木曽路の妻籠や馬籠と同じような雰囲気はあるのだけれど、五箇山は結構好きなところである。去年第1回が開催されたときに、出走を迷っているうちに締め切られてしまったという痛恨のエラーをしていたので、今年はそこそこ早めにエントリーしておいた。それも、ロングコース180km。
しかし、ここで私は一つ大きなミスをしていた。それは、私の住む安曇野から富山までの時間距離である。地図だと隣の県だから、と、ほとんど気にしていなかったのだが、よくよく考えてみると結構時間がかかりそう。多分高速を使った方が遠回りでも早くは着きそうだが、それでも250kmはあるから、3時間切ればいいところか。180km走るよりも安曇野-富山往復の車の運転の方が辛そう。
結局、早寝早起きで早朝2時出発。当然家族は皆寝ている。明らかに遠回りなので解せなさが噴出してくるのだが、仕方ないので高速使って長野~直江津経由で富山に向かう。富山競輪場の駐車場に着いたのは5時少し前。まだ車は多くなく余裕だ。受付をして準備をして朝食を食べる。
スタート地点は富山競輪場。受付テントの前の広場で開会式。このゲートをくぐってスタートする。20人位ずつの時間差スタートで、私がスタートしたのは6時50分頃。競輪場の入り口のすぐ脇に踏切があり、いきなりそこで列車に遮られた。以前子供と岩瀬浜の海水浴場に来たときにはこの線路は「富山港線」だったのだが、今は「富山ライトレール」で路面電車然とした電車が走っている。
しばらく海沿いを走る。スタートからずっと曇り空で、やや肌寒い。(この時点では)貰った(参加賞?)アームカバーでもしてくればよかったかな、という気もしてくる。道はド平坦なので展開がばらけるわけもなく、集団で25~30km/hで巡航。足洗潟公園、海老江海浜公園、新湊漁港あたりも子供と来て遊んだところ。思い出せば6年前か。懐かしい。昼飯を食べた新湊漁港の食堂は、市場の2階から独立して小さいながらも別の建物ができていた。庄川を渡るところで万葉線の電車が来た。こっちは完全な路面電車。写真を撮ろうと思っても、集団走行だからここで止まると自分より後の人に迷惑をかけてしまいかねないので止まれない。その辺辛いところ。
庄川沿いの道もほぼ平坦。困ったことに液体の廃棄物を投棄したくなってきた。まだ最初のチェックポイントまでは30km程あるのだが、ペースはあまり伸びない。弱った。交差点で前の集団に追いついて大集団になってしまう。更に弱った。車が比較的少ない堤防道路になったところで後方からいいペースで前に上がっていく数人がいたので、その列車の後につかせて貰う。緩い登りが現れ始めたあたりでペースが落ちてきたので、前へ出てマイペースで進む。徐々に日が出てきて、気温が上がってきた。この状態だとアームカバーは不要だ。そればかりか、それを通り越して何となく蒸し暑い。山に近いところに来たなあ、と思っていたら、第一CPの庄川水記念公園に着いた。ここでバナナとあんパンとスポーツドリンクの補給。
これまでのロングライドの経験から、私はどうも補給地点での休みが長すぎるのではないかと思われたので、あまり休まずに先に進むことにした。幸い、ここまではほぼ平坦だからまだまだ疲れは出ていない。
しばらくは緩いアップダウンの道。こんな風景が広がっている。のんびり走るにはいい道だ。
なのだが、この道から国道304号に入ると上り坂になった。登坂車線もある結構急な登りだ。まだまだ100km以上あるのだから無理はできないし、ヒルクライムレースでもないから、と、抑えめで登るが、だんだんペースが落ちてきた。日差しが強く、暑い。まだ汗が目に入ってこないだけマシではある。途中「展望台」が見えたときにはそろそろサミットか、とちょっと喜んだのだが、その直後に「9%」の勾配標識を見たときには心が折れた。トンネルが見えたときにはほっとした。
この先の五箇山トンネルが長大な為、ここは先導車と最後尾にバイクをつけて集団で走る。トンネルから出てきた車のドライバーがやや険悪な顔で「責任者は?」と言っているのが聞こえた。去年はクレーム多発で途中中止の危機もあったらしいというのを思い出したが、何かあったのだろうか? 休んでいたら、近くにいた人が「このトンネルは下りではない。この先にも下っているようで登り坂なトンネルがある」と言う。嫌なことを聞いてしまったと思う。しかし、それは事実で、五箇山トンネルは結構な長さ、上り坂だった。トンネルの後は結構快走できる下り坂。あっという間に下って、相倉の合掌集落に着く。
思わず観光客して結構写真撮ってしまった。ここで再び補給。補給食にますのすしが出たのは富山ならでは。
ここでも休憩は短めに、でスタート。庄川まであっという間に下ったらまた登り。このあと、繰り返しやってくる上り坂に大いに苦しめられることになる。結構蒸し暑い感じがする。山の中で風が吹いているときはいいが、日向で風がないと暑さで消耗してしまいそうだ。
山の神峠の登りは、かなり脚を痛めつけた。トンネルを抜けると下り坂が見えてほっとした。遙か眼下に利賀村の集落が見える。そこまで下るのだが、その向こうにはまた山が見えるので、また登り返さなければならないということか。
道の脇でこの白い花(ニセアカシア?)が目立っていた。
利賀川まで下り、また登りに耐えていると道の左側に休んでいる人たちがいる。エイドポイントのようだ。子供たちが手渡してくれるおしぼりが非常に気持ちいい。生き返る。ここが昼飯ポイントか?と思ったがそうではないようで、「ここから30km位先」という。で、見えているのが急な登り。心が折れそうになるのを、手持ちのどら焼きを食べて何とか持ち直させる。
急な登りはそれほど長くなかったのが幸いして、何とか耐えられた。トンネルを抜けたら「八尾」という標識が目に入った。おおー、これで飯が近づいたぞ。前の方に小集団が見えたので追いつこうと思うが、その前には先導のバイクが。小集団はバイクぺーサー状態で非常にいいペースでなかなか追いつかない。やっと追いつきかけたところでまた急な上り坂。どんどん前が離れていく。
栃折峠のサミットを過ぎたらまた「八尾」の文字が見えるが、誘導はそれとは逆のほう。かなり山深くに入っていくような感じで、どこに向かっているのかわからなくなる。ダムはあるが対岸の道が見えない。おまけに単走になってしまって、今度はミスコースの不安までやってくる。そのうち、川の対岸に急坂を登っている人が見えた。道は間違っていなかったのは良かったが、嫌なものを見てしまった。
何とか登りに耐えたら、今度は狭い道の急な下り。ガードレールがなかったりもするから、下る方も大変。そのうち国道472号らしい道に合流したら、道が良くなった。それに、下り基調だから脚を休めながらそこそこ快走。利賀村の後は、道案内にミニスカポリスやバニーガールやメイドさんが立っていたりする。元気回復。と思っていたら、今度は誘導がチャイナドレスだ。と、そこが昼飯ポイントだった。
おこわと豚汁の昼飯。おいしかったです。おこわのおかわりは無理そうだったけど、豚汁はどんどん追加していたのでおかわりした。元気が出たところで再スタート。スタートするときにしばらく止められたので、ここでもスタート制御をしているみたいだった。まだ
14時前だ。ここが130km過ぎなので、残り距離を考えたら15時台にはゴールできるかも知れない。
と、思いながらスタートするが、雨がぽつぽつとやってきた。うわ、最後に来て雨というのもかなわんなあ。急いで先に、と思うが、結構脚にダメージが来ていてなかなかペースが伸びない。雨は降ってもぽつぽつくらいで、本降りになってこないのはラッキーだが、大沢野から上滝駅に向かう道が緩いながらも登り基調で、それが非常に辛い。集団の後の方で切れそうになりながらも何とか耐えて前につく。立山橋で常願寺川を越えると平坦~下り基調になって息を吹き返す。
最後のエイドポイントを過ぎ、ペースの合いそうな集団を求めて単走で走っていると、後から猛然と抜いていく二人組があった。これについて行ければ早く着くかも知れん、と思い、後につかせて貰う。しかし、ペース激速。平坦だと40km/h前後、緩い登りでも33km/hは出ていて、ついて行くだけで精一杯。ずっと付き位置でも辛くて後ろを見たら私の後に一人いる。ここで千切れたら後の人に迷惑かかるな、と思い、耐えに耐えて前について行った。そのうち浜黒崎海水浴場が見えた。ここも子供と遊んだところだったので見覚えがある。このあとは海沿いの道をひたすら岩瀬浜を目指す。
競輪場のゴールには、サプライズが待っていた。というのは、入場ゲートのような所から中に入り、バンクを半周してゴールだったのだ。競輪場に来ること自体久々のことだったのに、バンクを走れるとはかなりびっくり。写真を撮らなかったことが悔やまれる。
所要時間は休憩込みでほぼ9時間。15時台に戻って来たのは、私にとっては意外な早さだった。最後に前を引いてくれた人にお礼を言って少し話す。私は普段は単走なだけに、集団走行はいい経験だった。競輪場宿舎の風呂が使えたのはありがたく、汗を流す。ラウンジでアイスを引き替えていたら、雰囲気はどうも今日は場外発売をやっているようだ。車券買えるかな、と思ったが、モニターを見たらレースが始まるところだった。
帰りは辛いかな、と思ったが、風呂でさっぱりした効果もあったか、ノンストップで往路よりも短い所要時間で家に着いた。
海から山から、平坦あり山道ありの、なかなかいいコースだったと思う。長いコースで所要時間もかかるので、スタッフの方は大変そうだ。しかし、本当にいいサポートだった。来年も参加したいと思うが、その前に、家からのアクセス問題を何とか解決しないとなあ。それに、翌日休めないと辛いな。