昨年に続き、今年も参加してしまったグランフォンド糸魚川。昨年初参加して、海と山両方楽しめるコース、スタッフや沿道の人のサポートなど、非常に好印象を受けたのと、最後の坂で足が攣って1km歩いてしまったことが非常に悔しくて今年もエントリーを決めていた。しかし、エントリー後、前日が保育園の運動会であることが判明。雨で流れたら出走不能となるリスクを負いつつ、その日を待った。
10月3日が近づくにつれ、気になりだしたのは3日の天気。長期予報は2日は好天を予想し続けたが3日の予想は日を追うごとに悪化し、2日前の時点で遂に降水確率70%の「曇一時雨」となった。保育園の運動会が流れることはなさそうだが、グランフォンド糸魚川は雨の気配。雨の日にあの坂を下るのはやだな、と思うが、天気には勝てない。
10月2日、保育園の運動会は無事終了。雨と寒さに備える準備をして翌日を待った。
10月3日、未明2時半出発。上空には星が見えている。国道147号~148号は時々ペースカーに遭うが、そこそこいいペースで5時頃には駐車場として指定された能生海水浴場に着いた。既に十数台の車が停まっているのが見えた。隣接の倉庫に明かりがついていて受付設営中と思われたが、案内には受付は6時からと書いてあったので仮眠を取ることにするが、人と車の動きが激しくなったのを感じて起きてしまった。時計を見ると30分程しか寝ていない。外に出たら風が生ぬるい。既に受け付けを開始している雰囲気だったので、さっさと受付をすませて朝食にする。
そのうち空が明るくなってきた。雲は多めだが晴れている。天気予報を聞いたら、いきなり好転していて夕方までは天気もちそうな気配だ。
山の端には朝焼けの雲
真上には細い月が見える。
そのうちどんどん明るくなってきて弁天岩に陽が当たってきた。駐車場にいてもすることが無くなってきたので、準備をしてスタート地点である道の駅に移動する。晴天前提の装備でいいし、できるだけ持ち物を軽くしたかったが、最近パンク癖があるので予備チューブを多めに持ったのと、第一エイドの補給がかなり軽くなっていることが告知されていたので補給食を多めに持ったので、荷物が多くなってしまった。駐車場から道の駅まではすぐに着いた。しかし、道の駅に着いてから参加賞(今年も蟹!)の引換券を忘れたのに気付き、もう一往復してしまった。まあ、ウォーミングアップということで。
スタート地点には既に自転車が多数並んでいたが、去年よりはかなり前に並ぶことができた。1時間近くぼーっとしていたら開会式になった。「自己責任」を強調していたが、それなりに運営者の居るイベントであってもそれは当然のことだ。開会式後、スタート。
名立まで久比岐自転車道。かつての北陸本線の線路跡で、アップダウンはあっても緩い。やや下り基調ということもあってか、妙にハイペースで進む。海が非常にきれいだ。しかし、写真を撮っている余裕がない。
名立からは方向を変え、名立川に沿った緩い登りがしばらく続く。ここも何故かハイペースだ。最初の大きな登りである母袋峠は、オーバーペースで消耗しないことに気をつけて登ったが、去年よりも楽に越せた。
峠を越えると棚田が見える。
そして、その向こうは海。素晴らしい景色だ。
峠を下って集落(高倉?)に入ったところで、防災無線か何かのアナウンスが聞こえた。よくわからないが峠にいる間に地震があったようだ。走っているときは気付かなかったが、「今後の情報に注意」と言っているということは、大きな揺れだったのだろうか。更に下って第一エイド。去年エイドステーションだったところは工事をしていた。道理でチェックポイントにもエイドステーションにもできないわけである。バナナがあったので、食べる。しかし、下っているときには「エイドステーションでは持参の補給食を食べよう」と思っていたのだが、それをすっかり忘れていた。
さっきは名立川だったが、尾根を一つ超えて能生川の流域になった。ここも田んぼが広がる谷間だ。去年はちょうど稲刈りをしているか稲刈りが終わったタイミングだったが、今年は田んぼの稲はもとより、稲はざにかけて干してあるのもほとんど見かけない。
これは珍しく残っていた稲はざ。何段も作って背の高い稲はざにするのがこのあたりの特徴のようだ。この作り方は松本平や安曇野、伊那谷ではまず見かけない。木曽谷では見たような気もする。
グランフォンド糸魚川のコースから見える山の形も特徴的。低い山なのに妙に険しそうに見える。この山は、鹿島槍や常念のような形に見える。
能生川を少し遡り、須川橋で折り返すようにして下流に向かう。しばらく緩く下って90°向きを変えると島道川に沿った登りになる。これがこのコース最高点こえど越えへの登りである。この登りは傾斜が急なところも多いが、時々緩くなるところが現れる。去年は何とか耐えることができたのでまあ何とかなるだろう、と思って登り始めた。のだが、峠まで残り4kmあたりで妙に空腹を感じ始め、空腹感が急速に強まっていった。そして、それと同時に急速に脚が動かなくなっていった。さっき補給を取り忘れたツケがここで回ってきた。この登りには、遙か上にこれから登る道が見える極悪ヘアピンがある。そこで遙か上の道に自転車が見えて心が折れる。
動かない脚を何とか励まして頂上に辿り着く。「辿り着いた」という表現が本当に的確な状態だ。遙か向こうに登ってきた道が見える。峠が給水所になっていたので水とスポーツドリンクを貰い、持っていた固形の補給食(銅鑼焼き2個とバウムクーヘンと菓子パン)を全部食べて、漸く空腹感は落ち着いた。
少し下ると、これから下る早川沿いの谷が見えるところに出る。なかなかいい景色なのだが、その向こうにその後越えなければならない山が見えて、心が折れそうになる。でも、これを下れば第二エイドで食料が待っている、と、自分を励ます。