肝硬変の6割がアルコールの取り過ぎであるのが欧米人である。これに対して日本人は肝硬変の原因の2割しかアルコールが占めていない。日本では圧倒的にウィルス感染が肝硬変の原因で7割を占める。
原因はともかく肝硬変の死亡率は西日本の方が東日本よりも多い。国立水俣病総合研究センター所長・滝澤行雄氏によれば、日本酒を飲む地域の方が蒸溜酒を飲む地域に比べて肝硬変になる比率が小さいという。同氏によれば、日本酒にガン細胞を死滅させる効果があるという。大腸菌・赤痢菌・サルモネラ菌などにも日本酒は抑制効果があったという。
肝臓が1合のアルコールを完全に分解するには3時間もかかる。
酒を飲んでいると肝臓の本来の燃料である脂肪酸を燃やさず、アルコールを燃やしてしまう。燃えなかった脂肪酸が肝臓の表面にくっついて脂肪肝になるのである。
ところが、近年、日本酒には「グルタチオン」という脂肪肝を予防する成分があることがわかった。これは、「還元型グルタチオン」という肝臓薬として市販されている。またこれは発ガン性物質と結合する性質をもっていて、発ガン性物質が細胞をガン化させる働きを抑制する効果ももつ。酵母中に含まれているので「にごり酒」、「搾りたて酒」がよい。酵母を大量に含む酒粕もよい。
酒は静かに飲めばよい。ただし、告白する。酒で得た友人の数の数倍の友人を私は失ったことを。ほどほどに諸氏の達人的酒の飲み方を祈念する。