消された伝統の復権

京都大学 名誉教授 本山美彦のブログ

野崎日記(233) 新しい金融秩序への期待(178) システム崩壊を生み出したもの(11)

2009-10-26 04:03:54 | 野崎日記(新しい世界秩序)

質問15 副島隆彦さんの著書等についてどう思われますか。

本山先生

 知り合いです。アポロ十一号、九・一一。副島さんらしくあれは陰謀だということでありますけれども、まぁ、奇才というか、大事にしておきたい人です。『連鎖する大暴落』いまベストセラーになっていますね。あの若さで、あそこまで書けるのはすごいなぁということです。個人的に知っていますので、ここでやめておきます。次々と問題作を出す人であります。

質問16 ガイトナーら、アメリカの三悪人が紹介されたが、これを受け入れた日本側の三悪人はだれですか。

本山先生

 分かるでしょう。ある郵政民営化の旗をふった元大臣の母校に講演に行きました。彼がその高校の出身者だということを知らないで、悪口を言うと、ものすごくうけました。校長先生から「ご存知でしたか」と言われて、「知らなかったー」なのですが。そのときの高校生はものすごくたくさん京都大学をうけてくださいました。彼の陣容はお友達だけ、お友達陣容なのであります。財政諮問委員会を見ても全部お友達であります。個人攻撃になりますけど、私は京都大学に四十年おりますが、祇園で飲んだ事は一度もありません。何で彼らは新地でのめるのか。そういうお友達ばっかりつるんでいます。

質問17 ソ連邦が崩壊し、今、アメリカが破綻して、十八世紀原始資本主義に逆戻りしたということでしたが。

本山先生

 そう、この質問、ものすごくいい、嬉しい。いいですか、つづきます。「そうであるならば勤労者は原始労働者の魂をよみがえらして、ふんどしを締めなおして闘っていくべきだと思います。リーマンに潰された京品ホテルの労働者の闘いなんてお手本」。本当に嬉しい、そうです。昔の労働者は闘ったのだと。闘うしか家族を守れなかったのだと。この闘いが激しいからこそ修正資本主義に戻ったのです。今は闘いが無いから、労働組合は金が余って、余って。

 ストライキ斗争を伝承しよう。ストライキを起せと言ったって、ストライキの起し方を知らないのです。ストライキを起して自分が首になったときに、どういう裁判闘争を起していいかがわからない。そのためにもストライキをおこさなアカン。そのとき若い子に、ストライキはこうするのだぞとか、当局側とはここで摩擦を避けるのだぞとかを伝えていかなくてはいけない。今の労働組合の幹部は絶対ダメですよ。知識の伝承を全て切った。だから若い人たちは腹が立つけどストライキをおこせない。ここのところが問題なのです。暴れましょうよ。暴れて、暴れて、フランスを見習いましょうよ。ものすごいのだから。(会場拍手)。本当に頑張りましょう。嬉しいです、この質問は。

質問18 自分たちの手にお金を取り戻し、地域で流通されるようなシステムに戻ってゆくために、これから弊害となりそうなことはありますか。

本山先生


 法律の枠であります。NGO銀行を作ろうとしたときに、サラ金二法案ができました。わずかなお金でやっていこうというときに、五千万円以上の資本金がなくてはいけないという。サラ金は怪しからんが、サラ金をおさえることによって生まれてくる地域の芽がつぶれるのだ。そういうことを一生懸命勉強しなければならない。法律というものは諦めてはいけない。法律というものは、本当はあっても何の意味も無いものです。判例法なのです。法律があるときに、その法律に即して有罪になった、無罪になったということになるので、判例をつくるほうにいかなければいけないのです。

 裁判員制度導入の問題点

 日本も裁判員制度などといういい加減なものではなくて、陪審員制度をつくれと私は言っているのです。判例を作ることによってものすごく大きな力をつくることができる。素人集団で殺人罪にするかしないかをやれというのが今の裁判員制度。そんなことをやったらアメリカの思惑通りです。ロバート・レッドフォードのような格好いい弁護士が現れ、みんなが「そう、そう、素敵」となってきて、この弁護士に頼むとみんな無罪になる。裁判員制度はこれからそうなります。プロ集団が必死になってやり、そして素人集団と懸命につき合わせて判例をつくっていくという、陪審員制度を日本でもつくるべきだと私は思っております。陪審員制度の議論もしないで、裁判員制度を導入するとは何事かと私は思います。判例作りに頑張りましょう。判例を作るためには運動をしなくてはいけないのです。障害になったときに、その法律は修正しろと、判例を引き出してきたらいいのです。名古屋で自衛隊イラク派兵違憲だとやってくれたときの影響はものすごかったでしょう。ああいうものをわれわれはつくるべきだということです。とにかく頑張らなければイカンということです。

質問19 おろかな定額給付金には反対ですが、社会的に有意義な活動に寄付しようと思っています。本山先生の地域活動に受け皿になっていただけますか。

本山先生

 チョッとむずかしいですね。いま一番の問題は医療・介護でしょう。そこにこれだけのお金は注ぎますということをやらなければいけないので、みなさん、何か作りましょうよ。受け皿を作って、「みなさん、二万円はここに振り込んでください」と。こういう活動をやりますということをやれば、確かに違ってきます。具体的にはあちこち、公営住宅が空いている。そこを借り入れて、非正規の解雇された人たちを住まわすとか、私が結婚式を上げた公会堂。全国でもうボロボロになっている。使われないといって高い高いホテルに立て替える。なぜあんな事をやるかと思います。生田神社はこれからどうなるのでしょう。それはともかく公会堂を借り上げてこういう集会をやっていくとか、資金源にすればけっこうお金は使えるものです。二万円は大きいです。二万円で一万人いたら、二億円です。すごいことをしてくれているのです。間違っても高速道路に乗らないでください。

質問20 内需拡大がいわれているが、貧困状況を克服するためには雇用拡大が必要だと思う。地域生活圏作りだけで若者が救えるでしょうか。

本山先生

 いや、救っていかなければいけない。内需拡大ということばに踊らされてはダメです。内需拡大というのはトヨタにしても電機メーカーにしても三割が突然おかしくなった。これは何なのだろうか。自分たちの国内需要の二倍くらいのものをつくって、それを借金まみれのアメリカに売っていた。アメリカ人が借金をしても買うかというときは、安いから買うのであって、中国やベトナムで作らせたものは安いから売れるのであります。GMのように、社会福祉費用を取られてしまう、医療費を取られてしまうというところと、派遣社員を散々使って、安い製品を売っているところと勝負するとどうなるか。当たり前です。アメリカが買う能力がなくなったらガタンと購買力が落ちる。こういう会社をなくすことが内需拡大です。少なくともわれわれの内部でわれわれが必要とするものをどれだけ作り出せるかということが一番大事なのであります。

 「国民負担率」の詐欺

一つ例を出させてください。国民負担率という言葉があります。これから医療費が高くつくであろう。国民が負担する比率を少なくしよう、日本はこれから負担率が大きくなるからと。こんな大きな詐欺はありません。日本でいう国民負担率というのは、私たちから徴収した税金、その税金を医療費に使ったものを国民負担率というのであります。私たちが税金をつかわずに、個人的に医療費を払ったら、それは国民負担率の対象にならないのです。私たちの税金の中から、トヨタとかキャノンとか、あの連中たちが経団連会長になってからどの程度、社会福祉関係に金を注いだであろうか。ものすごくカットしてきています。われわれの金だけで医療費をまかなえ。それを小さくすることが大事なのだ。われわれが個人的に払う医療費を増やすこと、これが国民負担率を下げるということなのです。こんな詐欺に多くの人間が引っかかっている。それを野党という野党が気付いていない。情けない。勉強していないのではないか、議員さんたちは。こういうことを一つ一つ解きほぐしていって、われわれは騙されているのだということをいろいろなところで、こういう学習会を開きながら、皆で共有していかなければならない。

 日本の医療制度

 日本の医療制度というのは、もっともわれわれが負担する率が高いのであります。オバマは少なくともアメリカの医療制度に切り込もうとしています。オバマの悪口を言いましたが、もしかしたら、オバマの医療改革というのはいいかもしれない。少なくともアメリカの企業が悲鳴を上げているのは、国民皆保険がないから、労働者をつなぎとめるために民間企業が医療費を払っているのだということです。この一点を重視しなければならない。ところが、そういう負の遺産をGMが負っているから、そうならないために、わが自動車産業はそれをやめましょうねと。全くさかさまの議論が展開されているのです。そういうことの意味も勉強していきましょう。関西にいたら分るのですが、東京の方に比べて、関西の人間として偉そうに言わせてもらうと、経営者が良いのです。労働組合を認知している。東京のように毛嫌いしていません。皆さん、
ホテルに立て替える。なぜあんな事をやるかと思います。生田神社はこれからどうなるのでしょう。それはともかく公会堂を借り上げてこういう集会をやっていくとか、資金源にすればけっこうお金は使えるものです。2万円は大きいです。二万円で一万人いたら、二億円です。すごいことをしてくれているのです。間違っても高速道路に乗らないでください。

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