消された伝統の復権

京都大学 名誉教授 本山美彦のブログ

本山美彦 福井日記 42 酒米

2006-11-02 00:45:32 | 酒(福井日記)

 酒造好適米の最大の出荷県は兵庫県で、全体の27%を占める(19,400トン)。2位新潟県で15%、3位長野県で8%、4位富山県で7%、そしてわが福井県は56%と結構健闘している。

 
有名な山田錦は昭和11年に兵庫県で開発されたものであり、兵庫県下の酒米の8割強を占めている。平成18年で生誕70周年である。

 
品質のよい清酒を決定する機関は独立行政法人酒類総合研究所新酒鑑評会である。出品区分は山田錦が50%未満の第1部と、50%以上の第2部に分かれる。第1部の出品点数は98あり、うち金賞は21点数であった。これに対して第2部は出品点数921、金賞は236点数であった(いずれも平成16年度)、山田錦の圧勝であることがここで分かる。こうしたこともあって、全国でも山田錦は酒好適米の26%を占めている。

 
よく地酒が美味いと簡単に言われるが、酒米は兵庫県の山田錦なのである。

 
食用の米は「うるち米」と呼ばれる。酒米の山田錦はうるち米よりも茎と穂が長い。そのために倒れやすく栽培は難しい。粒も大きく、中央には白い部分(心白=シンパク)があり、これがうま味を作る。酒造米は契約制である。生産者と酒造業者とが高品質・安定供給を契約するのである。村米制度という。とくに灘の酒はこの制度を利用している。兵庫県三木市吉川町長谷には酒造米記念碑がある。

 
福井の酒は確かにうまい。しかし、それはコシヒカリを用いているからではない(特に高い酒は)。残念ながらこのことを確認しよう。


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