はじめに
09年6月1日、ガイトナー米財務長官が訪中した。訪中目的は、建前として、「安定し、均衡のとれた持続可能な成長に向けた両国の経済関係強化」についての協議ということであった(09年5月12日の米財務省の声明)が、実際には米国債購入要請であったことは想像に難くない。
09年5月13日、同長官は、「金融機関救済のための新プログラム構想」(1)を発表したが、そこでは、資金調達がキーワードになっていた。しかし、09年5月7日の30年国債(2)入札は、応募者数が激減し、入札価格も下落した。ガイトナーの訪中は緊急事態であった。
09年2月13日の30年国債入札も不調であった。このときもヒラリー・クリントン国務長官が北京に飛んだ。09年2月20日~22日のことである。その後、中国の米国債買いは弾みがついた。。そして、09年6月1日のガイトナーの訪中である。
09年2月になぜ財務長官ではなく国務長官を国債購入依頼のために派遣したのかといえば、中国政府がヒラリーの夫のビル・クリントンになみなみならぬ梃子入れをしていた実績があるからである。ビル・クリントン政権は中国政府からの献金を受けていたと騒がれたこともある(http://www.pbs.org/newshour/bb/congress/jan-june98/china_5-19.html)(「原田武夫の『国際政治経済塾』、http://money.mag2.com/invest/kokusai/2009/05/post_113.html)。
本来なら急激に価値低下するはずのドルが暴落しない最大の要因は、中国による異様なほどの米国債買いである。