さて、週末です。
どこかへ出掛けても良いのですが、寒いので遠出するのが面倒です。先週中島みゆきのコンサートに行ったことだし、珍しく研究の用事も入っていないので、今日ぐらいは家で寝て過ごすのも悪くないかも・・という感じで昼下がりを布団の中で過ごしています。
日本最長普通列車の旅、その2までで前フリは語りつくしたので、いよいよ今回は滝川から釧路までの乗車記を紹介します。実に長ーい乗車時間でしたよ・・。
午前9時37分、定刻に滝川を出発。「釧路行き普通列車です」の車内放送にちょっと感動・・。
滝川から富良野への線路は、大規模な炭田を有する夕張山地を横切っています。この根室本線も、以前は運炭列車が活発に行き来していたようです。沿線の車窓風景には、今も昔の炭鉱街の名残を垣間見ることができます。写真は茂尻駅近くの旧炭鉱住宅と思しき住宅群です。
芦別駅付近から見えた大観音像。芦別市には、自称テーマパーク(関西基準で言えばパラダイス)の「北の京・芦別」という施設があります。駅の観光名所板にも書かれる由緒正しい施設なのですが、五重塔型や三十三間堂型のホテルを有し、回る聖徳太子像、新薬師寺の北の礼拝所等々、仏教をテーマにした(と思われる)展示が並んでいるそうです。そしてその「北の京」の目玉施設が、写真の「北海道大観音」。高さ88mもあり、内部には多数の仏像が並んでいるのだとか・・。ちなみに宗教法人ではなく、元は健康ランドからスタートした施設だそうなので、一般の人も安心して入れるようです。一回行ってみたいな・・。
滝川を出て約1時間、富良野駅に到着しました。2429Dはここで20分も停車します。滝川で乗車した乗客の半分以上はこの駅で降りていきました。今年7月に富良野駅までは来ましたが、実は列車で来たのは今回が初めてでした。
富良野までは単輌での運行でしたが、この駅でもう1輌増結し、以降は2輌で釧路まで走ります。増結車輛も朱色の国鉄塗装です。
ホームで写真を撮っていると、何やらハエみたいな虫がいっぱい飛んでいるのを見かけました。同行したもう一人の鉄道研究会の部員によれば、いわゆる雪虫とのこと。雪の季節が近付いているんですねぇ。(実際、列車乗車の翌週に初雪が降りました)
富良野を再出発後、列車は大雪山系と日高山脈の間を縫うように山間の空知川沿いを進みました。金山駅を過ぎてしばらくすると、左の車窓に大きな湖が見えてきました。実はこの湖はダムによって出来た人造湖で、「かなやま湖」と言うそうです。根室本線沿線の主要景勝地の一つで、紅葉の盛りには多くの観光客が訪れます。
かなやま湖が車窓から過ぎ去ってしばらくすると、このような駅に停車しました。多くの人にとっては、どこかで見たことがある駅だと思います。かの映画「鉄道員(ぽっぽや)」の舞台である「幌舞駅」です。本当の名前は幾寅駅で、元々あった木造駅舎を映画撮影のために増築・改修し、より古そうに見えるようにしたという面白い経緯があります。
ちょっと分かりにくいですが、駅舎の入口には「ようこそ幌舞駅へ」という看板が掛かっています。さらに、駅前に展示されている保存車輛「キハ12-23」(映画撮影に使われた車輛で、実はキハ40の改造車)の一部も見えていますね。
以前から一度来てみたかった駅でしたが、停車時間が1分も無いため、今回は車窓見学で我慢・・。
幾寅の次の落合駅で12分間停車。この駅は狩勝峠のすぐ西側にあり、ここから先はいくつかのトンネルと巨大ヘアピンカーブで狩勝峠を越え、新得駅まで下っていきます。
2429Dの走行写真を撮影するために車で列車を追いかけている鉄道研究会の残り2人とも、この駅で会えました。お互い無事でなにより。(と言ってもこちらはただ列車に乗っていただけですけど・・)
落合駅を出ると、すぐにトンネルに入りました。いよいよ狩勝峠越えです。
日本最長普通列車の車窓から 狩勝峠
落合から次の新得までの所要時間は25分、この2429D列車の駅間所要時間で最も長くなっています。線路は右へ左へ曲がり、まさに峠越えの風情です。ちなみに、「狩勝峠」という峠名は、根室本線建設のための事前踏査の際に付けられたものだそうです。
日高山脈の山塊を抜けると、線路は大きく南へ迂回して高度を下げていきます。写真の奥に新得の市街地が見えていますが、真っ直ぐ降りれば近そうなものの、ここからでも標高差が100m以上あり、勾配を緩めるために線路はジグザグになっています。
狩勝峠を越えから1時間半ほどで十勝地方の中心都市、帯広に到着しました。2429Dはこの駅で32分間もの長時間停車をします。全線乗車目的の鉄道ファン以外は、ほとんどがここで列車を降りて行きます。(というのも、停車時間の間に帯広発の他の普通列車が先発するため)
私も、せっかくなので途中下車して駅の外に出ました。さすがに大都市だけあって、駅舎は立派な高架駅です。駅前も栄えており、そこいらの下手な地方県庁所在地以上かもしれません。
そして、帯広といえばこれ、豚丼です!駅の構内に専門店が入っており、持ち帰りもできます。私も持ち帰りで頼み、2429Dの車内で食べました。これを駅弁の範疇とするならば、全国でも屈指の美味なる駅弁だと私は思います。とろける肉に、絶妙な風味のタレが絡み、本当に美味しいです。
帯広を14時22分に再出発し、列車はしばらく十勝平野を走り続けます。途中、十勝川水系のいくつかの河川を跨ぎますが、いずれも結構な大河で、ここが平野であることを実感します。
ちょうど秋の収穫期なので、沿線のそこかしこで重機を使った作業をしている様子が見えました。
畑で餌をついばんでいたカラスが、列車の接近に驚いて一斉に飛び立った様子。まるでヒッチコックの映画みたい・・。(余談ですが、先日ニット帽を被って北大の構内を走っていたら、カラスに襲われました。多分小動物と間違われたのでしょう・・。)
厚内駅を過ぎると、列車は太平洋岸に出ました。日本海側から太平洋側まで駆け抜けてきたことを実感しました。
日本最長普通列車の車窓から 音別海岸から馬主来沼
海岸ぎりぎりの線路から見える景色は、まるで高速船にのって海を走っているかのようにも見えます。さすがに日本最長普通列車だけあって、車窓風景も山あり谷あり平野あり海ありで、変化に富みますねぇ。
時間は16時過ぎ。だいぶ空も暗くなってきました。東の山からは月も上ってきて、一層旅愁を誘います。
釧路に近付くと、国道と線路がすぐ隣接しているため、車と並走状態になります。列車の速度と車の速度がほぼ一緒だと、こんな感じの流し撮りが簡単に撮れて面白いです。
大楽毛で最後の長時間停車(12分間)。月もだいぶ高くなってきました。
この辺は既に釧路市内なので、乗客も通学客などの短距離利用が目立ちます。この列車がはるばる滝川からやって来ていることを知っている利用客は果たしてどくれくらいいるのでしょうか。
17時39分、定刻に終点の釧路に到着しました。実に8時間もの長旅でした。普通列車ゆえに座席はけして座り心地が良いものではなく、結構腰が痛くなってしまいました。しかし、これまで特急でしか来たことのない場所に鈍行列車で来たことで、これまで気付かなかったような車窓風景にたくさん出会えたので、より深く列車の旅を味わえた気がします。
2429D列車を滝川から釧路まで通しで乗った人には、もれなくこの乗車証明書がプレゼントされます。改札で滝川からの切符(根室本線経由)を示す必要があり、青春18きっぷなどのフリー切符を使った場合の扱いは不明です。私を含めて6,7人が証明書を貰っていました。
今や8時間もあれば青森から博多まで(1800kmくらい)新幹線で移動できる時代に、同じ時間をかけて308kmを移動するという行為は、一つの場所の風景をよりゆっくりと楽しめるという意味で、とても贅沢なことなのかもしれません。
釧路到着後しばらくして、私たちは車で追いかけて来ていた残り2人の鉄研部員と合流し、釧路市内でご飯を食べたり運炭列車(現役唯一)を見学したりした後、車で夜通し走って札幌に戻りました。(釧路から占冠までは私の運転)
翌日曜日はほぼ一日寝て疲れを癒しましたとさ・・。
どこかへ出掛けても良いのですが、寒いので遠出するのが面倒です。先週中島みゆきのコンサートに行ったことだし、珍しく研究の用事も入っていないので、今日ぐらいは家で寝て過ごすのも悪くないかも・・という感じで昼下がりを布団の中で過ごしています。
日本最長普通列車の旅、その2までで前フリは語りつくしたので、いよいよ今回は滝川から釧路までの乗車記を紹介します。実に長ーい乗車時間でしたよ・・。
午前9時37分、定刻に滝川を出発。「釧路行き普通列車です」の車内放送にちょっと感動・・。
滝川から富良野への線路は、大規模な炭田を有する夕張山地を横切っています。この根室本線も、以前は運炭列車が活発に行き来していたようです。沿線の車窓風景には、今も昔の炭鉱街の名残を垣間見ることができます。写真は茂尻駅近くの旧炭鉱住宅と思しき住宅群です。
芦別駅付近から見えた大観音像。芦別市には、自称テーマパーク(関西基準で言えばパラダイス)の「北の京・芦別」という施設があります。駅の観光名所板にも書かれる由緒正しい施設なのですが、五重塔型や三十三間堂型のホテルを有し、回る聖徳太子像、新薬師寺の北の礼拝所等々、仏教をテーマにした(と思われる)展示が並んでいるそうです。そしてその「北の京」の目玉施設が、写真の「北海道大観音」。高さ88mもあり、内部には多数の仏像が並んでいるのだとか・・。ちなみに宗教法人ではなく、元は健康ランドからスタートした施設だそうなので、一般の人も安心して入れるようです。一回行ってみたいな・・。
滝川を出て約1時間、富良野駅に到着しました。2429Dはここで20分も停車します。滝川で乗車した乗客の半分以上はこの駅で降りていきました。今年7月に富良野駅までは来ましたが、実は列車で来たのは今回が初めてでした。
富良野までは単輌での運行でしたが、この駅でもう1輌増結し、以降は2輌で釧路まで走ります。増結車輛も朱色の国鉄塗装です。
ホームで写真を撮っていると、何やらハエみたいな虫がいっぱい飛んでいるのを見かけました。同行したもう一人の鉄道研究会の部員によれば、いわゆる雪虫とのこと。雪の季節が近付いているんですねぇ。(実際、列車乗車の翌週に初雪が降りました)
富良野を再出発後、列車は大雪山系と日高山脈の間を縫うように山間の空知川沿いを進みました。金山駅を過ぎてしばらくすると、左の車窓に大きな湖が見えてきました。実はこの湖はダムによって出来た人造湖で、「かなやま湖」と言うそうです。根室本線沿線の主要景勝地の一つで、紅葉の盛りには多くの観光客が訪れます。
かなやま湖が車窓から過ぎ去ってしばらくすると、このような駅に停車しました。多くの人にとっては、どこかで見たことがある駅だと思います。かの映画「鉄道員(ぽっぽや)」の舞台である「幌舞駅」です。本当の名前は幾寅駅で、元々あった木造駅舎を映画撮影のために増築・改修し、より古そうに見えるようにしたという面白い経緯があります。
ちょっと分かりにくいですが、駅舎の入口には「ようこそ幌舞駅へ」という看板が掛かっています。さらに、駅前に展示されている保存車輛「キハ12-23」(映画撮影に使われた車輛で、実はキハ40の改造車)の一部も見えていますね。
以前から一度来てみたかった駅でしたが、停車時間が1分も無いため、今回は車窓見学で我慢・・。
幾寅の次の落合駅で12分間停車。この駅は狩勝峠のすぐ西側にあり、ここから先はいくつかのトンネルと巨大ヘアピンカーブで狩勝峠を越え、新得駅まで下っていきます。
2429Dの走行写真を撮影するために車で列車を追いかけている鉄道研究会の残り2人とも、この駅で会えました。お互い無事でなにより。(と言ってもこちらはただ列車に乗っていただけですけど・・)
落合駅を出ると、すぐにトンネルに入りました。いよいよ狩勝峠越えです。
日本最長普通列車の車窓から 狩勝峠
落合から次の新得までの所要時間は25分、この2429D列車の駅間所要時間で最も長くなっています。線路は右へ左へ曲がり、まさに峠越えの風情です。ちなみに、「狩勝峠」という峠名は、根室本線建設のための事前踏査の際に付けられたものだそうです。
日高山脈の山塊を抜けると、線路は大きく南へ迂回して高度を下げていきます。写真の奥に新得の市街地が見えていますが、真っ直ぐ降りれば近そうなものの、ここからでも標高差が100m以上あり、勾配を緩めるために線路はジグザグになっています。
狩勝峠を越えから1時間半ほどで十勝地方の中心都市、帯広に到着しました。2429Dはこの駅で32分間もの長時間停車をします。全線乗車目的の鉄道ファン以外は、ほとんどがここで列車を降りて行きます。(というのも、停車時間の間に帯広発の他の普通列車が先発するため)
私も、せっかくなので途中下車して駅の外に出ました。さすがに大都市だけあって、駅舎は立派な高架駅です。駅前も栄えており、そこいらの下手な地方県庁所在地以上かもしれません。
そして、帯広といえばこれ、豚丼です!駅の構内に専門店が入っており、持ち帰りもできます。私も持ち帰りで頼み、2429Dの車内で食べました。これを駅弁の範疇とするならば、全国でも屈指の美味なる駅弁だと私は思います。とろける肉に、絶妙な風味のタレが絡み、本当に美味しいです。
帯広を14時22分に再出発し、列車はしばらく十勝平野を走り続けます。途中、十勝川水系のいくつかの河川を跨ぎますが、いずれも結構な大河で、ここが平野であることを実感します。
ちょうど秋の収穫期なので、沿線のそこかしこで重機を使った作業をしている様子が見えました。
畑で餌をついばんでいたカラスが、列車の接近に驚いて一斉に飛び立った様子。まるでヒッチコックの映画みたい・・。(余談ですが、先日ニット帽を被って北大の構内を走っていたら、カラスに襲われました。多分小動物と間違われたのでしょう・・。)
厚内駅を過ぎると、列車は太平洋岸に出ました。日本海側から太平洋側まで駆け抜けてきたことを実感しました。
日本最長普通列車の車窓から 音別海岸から馬主来沼
海岸ぎりぎりの線路から見える景色は、まるで高速船にのって海を走っているかのようにも見えます。さすがに日本最長普通列車だけあって、車窓風景も山あり谷あり平野あり海ありで、変化に富みますねぇ。
時間は16時過ぎ。だいぶ空も暗くなってきました。東の山からは月も上ってきて、一層旅愁を誘います。
釧路に近付くと、国道と線路がすぐ隣接しているため、車と並走状態になります。列車の速度と車の速度がほぼ一緒だと、こんな感じの流し撮りが簡単に撮れて面白いです。
大楽毛で最後の長時間停車(12分間)。月もだいぶ高くなってきました。
この辺は既に釧路市内なので、乗客も通学客などの短距離利用が目立ちます。この列車がはるばる滝川からやって来ていることを知っている利用客は果たしてどくれくらいいるのでしょうか。
17時39分、定刻に終点の釧路に到着しました。実に8時間もの長旅でした。普通列車ゆえに座席はけして座り心地が良いものではなく、結構腰が痛くなってしまいました。しかし、これまで特急でしか来たことのない場所に鈍行列車で来たことで、これまで気付かなかったような車窓風景にたくさん出会えたので、より深く列車の旅を味わえた気がします。
2429D列車を滝川から釧路まで通しで乗った人には、もれなくこの乗車証明書がプレゼントされます。改札で滝川からの切符(根室本線経由)を示す必要があり、青春18きっぷなどのフリー切符を使った場合の扱いは不明です。私を含めて6,7人が証明書を貰っていました。
今や8時間もあれば青森から博多まで(1800kmくらい)新幹線で移動できる時代に、同じ時間をかけて308kmを移動するという行為は、一つの場所の風景をよりゆっくりと楽しめるという意味で、とても贅沢なことなのかもしれません。
釧路到着後しばらくして、私たちは車で追いかけて来ていた残り2人の鉄研部員と合流し、釧路市内でご飯を食べたり運炭列車(現役唯一)を見学したりした後、車で夜通し走って札幌に戻りました。(釧路から占冠までは私の運転)
翌日曜日はほぼ一日寝て疲れを癒しましたとさ・・。