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「不都合な真実」

 1月28日の夕刻、ミント神戸の映画館に「不都合な真実」を観に行ってきました。

 アル・ゴア前米副大統領がなぜ環境問題に関心を持つようになり、米議会と米政府でどの様な活動を行い、大統領選挙で敗れた後も草の根の市民集会を行っている姿を描いたものです。固い内容の映画にもかかわらず、6~7割方座席が埋まっていたことに驚きました。

 私は平成14年(2002年)に環境省に出向する迄は、環境問題には関心が薄く、運輸省で国際を担当していた当時(平成7年~10年)は航空・自動車・港運等の分野で米のクリントン民主党政権が日本に強く譲歩を迫ることが多かった時代で、その当時の副大統領でしたので、あまり良い印象はもっていませんでした。1992年の大統領選挙で環境問題と全米ITハイウェー構想を打ち出していたことも、当時の私には、「ITと環境オタクの候補」というイメージしかありませんでした。

 それが、日本でもあっという間にパソコンとインターネットが普及するようになり、私自身も環境問題の重要性を認識するようになって、初めてゴア前副大統領の先見性に脱帽の念を禁じ得なくなりました。

 「不都合な真実」に描かれているゴア前副大統領の地球温暖化についての説明は、グラフや写真、映像を利用してわかり易く工夫されたものでした。広汎なネットワークを活用して、最新の、そして説得力のあるスライドショーに仕上げてあり、感心するばかりでした。
 しかし、説明内容よりもずっと感銘を受けたのは、ゴア前副大統領の環境問題に対する一貫した取り組みです。大学で恩師との研究により、1970年代に地球環境問題の重要性を見抜いた先見性は卓越しています。また、議員となってからも環境問題に対する認識が殆どない状況下で、ぶれることもなく環境問題に取り組んできたその姿勢は賞賛に値します。さらに、2000年の大統領選挙で投票数では上回っていたものの、米独特の選挙人制度によってブッシュ大統領に敗れ、失意のどん底に陥ってからも環境問題への取り組みを続け、全米のみならず世界各地を飛び回っているその強い意思には尊敬するばかりです。

 私自身の政治活動においても「信念をもって、突き進み、取り組まなければならない。」と思いを新たに致しました。

 さて、地球温暖化の問題ですが、ブッシュ政権が発足した直後の平成13年に京都議定書からの離脱を表明して以来、共和党政権は地球温暖化対策への取り組みに力を入れてきませんでしたが、最近変化が見られるようになってきました。米東部の州レベルでは独自の温暖化防止策を導入していますし、大手企業も温室効果ガスの排出権取引を含む温暖化防止策に力を入れてきています。米は産業界の力が強いところですから、来年の大統領選挙の結果にかかわらず、米政府の姿勢が変化する可能性が高くなっているように思われます。

 また、来年2008年から、いよいよ京都議定書に定める温室効果ガス削減の約束期間が始まります。新聞やTVでも地球温暖化について取り上げられる機会が急に増えたように思われます。昨今の集中豪雨や暖冬等の異常気象も地球温暖化の表われであると、多くの国民が肌で感じるようになってきました。地球温暖化は「ひとごと」ではなく「自分自身」の問題です。我々の子供や孫の世代にこのかけがえのない地球を少しでも良い状態で引き渡していけるよう、1人1人ができるところから地球温暖化防止対策に取り組んでいくことが大事なことだと思います。

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