国政報告
平成18年9月26日から12月15日までの第165回臨時国会が終了しました。9月26日に安倍新総理大臣の首班指名、組閣が行われ、新内閣がスタートしました。10月8日の日中首脳会談、10月9日の日韓首脳会談、そして同日の北朝鮮核実験で国会は慌しくなりました。12月14日には教育基本法改正、防衛省設置法が成立しました。選挙も数多く、10月の衆議院補欠選挙、11月の福島、沖縄県の知事選挙、12月の和歌山県の知事選挙と応援に走り回りました。実に盛り沢山の3ヶ月間でした。
また、12月には党税制調査会での道路財源を含む税の議論、予算編成とめまぐるしく続きました。
私が所属する国土交通委員会では耐震偽装疑惑事件による法改正の第2弾として建築士法が改正され、会期末の12月13日には観光立国推進基本法が成立致しました。
私が中心となってまとめたエコツーリズム推進法は残念ながら審議入りできませんでした。次期通常国会で今度こそ成立をめざして行きます。
12月20日には私が議連の事務局長として法律をまとめましたバリアフリー新法が施行され、これにより駅の中のバリアフリーから駅を中心として街全体にバリアフリーが広がっていくことが期待されています。
平成19年は4月に統一地方選挙、7月に参議院選挙があります。間もなく選挙モードに突入すると見込まれます。引き続き自由民主党に力強いご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
観光立国推進基本法
中国の四書五経のひとつ「易経」に「国の光を観るは、もって王たるの賓によろし。」という言葉があり、これが「観光」の語源となりました。「光」つまり、それぞれの地方の文物、政治、暮らし向き、風俗等を観ることが為政者にとって重要であると、古くから認識されていました。
ゲーテが『イタリア紀行』を書いているように、ヨーロッパでも貴族の子弟がグランド・ツアーといって、広く各地を回り、一種の修学旅行をして一人前になる訓練をしていました。また、わが国のお伊勢参りや、キリスト教徒のエルサレム、イスラム教徒のメッカ巡礼等は宗教的活動であると同時に、その道中における観光は当時から楽しみにされていました。
その後、産業革命以降の交通手段の発達、中産階級層の成立等により、一般の市民も各地へ旅行するようになってきました。各国は観光省や政府観光局を設置して観光の振興を図りました。
我が国においても昭和5年に鉄道省国際観光局が設置され、わが国において初めて「観光」を冠する行政機関が誕生しましたが、主に外国人の我が国への受入れを中心に、現在の「YOKOSO JAPAN!」を先どりして行っていました。第二次世界大戦の焼け野原から復興し東京オリンピックを翌年にひかえた昭和38年には観光基本法を作成して、国際親善の増進と国民生活の安定向上を図ってきました。
それから43年、スターや大臣が乗っていたプロペラ機からジェット機になって飛行機は誰でもが乗れる乗りものになり、1ドル360円で外貨規制があったのが1ドル110円くらいとなり、「夢のハワイ」と言われていた海外旅行はあたり前のようになり、観光をめぐる環境はすっかり変わりました。
政府と観光関係者が一体となって平成15年にビジット・ジャパン・キャンペーンを始め、平成16年には「住んでよし、訪れてよしの国づくり」をめざす観光立国の実現をめざすようになりました。
日本各地で創意工夫に富む魅力的な観光地づくりが行われていますが、時代の変化にあわせた観光基本法の改正を行うべく、平成18年1月に自民党観光特別委員会で法改正の検討が開始されました。愛知和男委員長、藤野公孝プロジェクト・チーム座長の下で、精力的な検討を重ね、6月に観光立国推進基本法案として第164回通常国会に提出されました。会期末ということで、第165回臨時国会に継続審議となりましたが、12月7日の衆議院本会議、12月13日の参議院本会議において全会一致で可決され、成立致しました。
観光立国推進基本法にのっとって「国際観光の推進によるわが国のソフトパワーの強化」「観光による経済活性化」「交流人口拡大による地域の活性化」「観光による生活の質の向上」を図り、「人が行き交う、開かれた美しい国づくり」を観光関係の皆様と共に目指していきます。
バリアフリー新法の施行
平成18年6月15日に成立したバリアフリー新法が、12月20日に施行されました。
これにより、駅の中のバリアフリー化から、駅を中心にして駅から区役所、病院等の人が多く集まる施設へと街全体にバリアフリーが広がっていきます。
平成10年度の補正予算で駅のバリアフリー化の補助制度を創設してから7~8年で、相当な数の駅にエレベーターやエスカレーターが設置され、使い勝手が良くなってきました。それでも乗降客の多い駅でありながらバリアフリー化されていない駅はまだまだあります。また、駅の中は良くても駅から一歩出ると歩道がガタガタであったり、横断歩道橋にスロープがなかったりと移動に対する障壁は山積しています。
新法の施行によって、道路や街のバリアフリー化が進んで参ります。県や市と協力しながら、地元の方々のお声を聞いて駅から道路、建物へバリアフリー化を広げています。
また、私が事務局長となっていますバリアフリー推進議員連盟はバリアフリー新法の施行も踏まえて、垂直移動を中心とするバリアフリーから、「誰でもいつでも使える」ユニバーサルデザインを目指して、12月21日にユニバーサル社会推進議員連盟に名称を変更致しました。
これからは垂直移動だけではない、観光振興も含めた街のユニバーサル化、公共交通のユニバーサル化、ユニバーサル社会推進のためのITイノベーション、自律移動支援等についての検討を進め、街づくりの観点からユニバーサル社会の実現に取り組んで参ります。