地域のつながり
今年も5月の3~5日に東灘区で、13日に灘区で地車(だんじり)のパレード等が行われました。青年、壮年だけではなく、お年を召された方も子供も、男性も女性も、地域の方全員が心を一つにして地車の運行に協力しておられることは素晴らしいことだと思います。地車が地域の絆を強める大きな役割を果たしています。
フランス人は「モン・カルチエ(mon quartier)(私の地区)」と言って、生まれたところや、住んでいる地域を誇りにしています。お国自慢なのですが、「僕の生まれた所はこういうところなんだ。」「住んでいる地区にはこのような店がある。」「隣の人はこういう人で、、、」と胸を張って地域の良いところを話してくれます。「一度案内して下さい。」と行きたくなってきます。
自分の地域を誇りに思えるということは素晴らしいことではないでしょうか?一番大事なものは家族で、次に大事なものは地域ではないかと私は考えています。
昨年3月11日の東日本大震災後、暴動も略奪もなく、東北の皆さんがじっと我慢してみんなで協力して助け合ったことを世界は称賛しました。狩猟民族ではない農耕民族である私たち日本人の良いところは、みんなで協力をして支えあうことであると思います。地域のつながりが、徐々に希薄になりつつある昨今ですが、東日本大震災は私たち日本人の長所、強さを改めて教えてくれました。
神戸では地車やお祭り、婦人会の催しなどを中心にして地域の活動が活発に行われています。活動を通してお隣やお向かいの方だけでなく、地域の色々な方との交流の輪が広がっていきます。家族、そして地域あっての私たちの暮らしです。
「神戸っ子です。」「神戸に住んでいます。」と誇りを持てる地域づくりに私も加わって参ります。
高速ツアーバス
連休がスタートしたばかりの4月29日(昭和の日)に、関越自動車道で乗客7名が死亡し38名が重軽傷を負うという、運転手の過労による居眠り運転を原因とする高速ツアーバスの重大事故が発生しました。
平成19年2月にも同様の居眠り運転によるスキーバス事故が大阪府吹田市で発生しており、平成22年12月に国土交通省に設置された「バス事業のあり方検討会」が安全性確保等を盛り込んだ報告書を本年4月にまとめたところでした。
このような事故が発生する背景には平成12年、14年のバス事業規制緩和後の競争の激化、バス事業者の経営悪化、運転手の労働条件の悪化があります。
規制緩和を進める立場の方は「運賃や参入規制等の経済規制の緩和と安全性・労働条件の確保等の社会規制の維持とは別物であり、経済規制は撤廃すべきである。」と主張されていましたが、現実はそのように理論的に割り切れるものではありません。いかにして安全な運行サービスを提供し、交通関係従事者の労働環境を維持・向上させていくかを考えながら交通事業行政を進めていかなければなりません。
今回の事故は、バス事業者と旅行業者の責任のあり方にも大きな課題を投げかけました。現在、事故原因の解明が進められ、運転手、バス事業者、ツアーバスサービスを提供した旅行業者の責任が明らかにされつつあります。関係当局による捜査の結果が待たれます。
事故原因の究明にもまして重要なことは、規制緩和による法規制の網をかいくぐるような事業形態がなぜ出てきたのか、どうすれば安全な輸送サービスを確保できるのかを早急に検討し、乗合バス事業、貸切バス事業、旅行業の現状を変えていくことです。規制緩和によるメリットを否定するものではありませんが、自由な経済競争を追及することだけが正義であるということでは、規制の存在そのものが悪であり、行政は不要であるということになりかねません。弱肉強食の自由競争に任せていては欠けているところがあり、困っている人のために手を差し伸べる必要があるからこそ、政治と行政が存在するのです。
一日も早く誰もが安心して利用できるバスサービスに変わっていくことを期待しています。