ルルドの泉で
同級生の堀忠君が運営しているミニシアター元町映画館で「ルルドの泉で」を見ました。カトリックの聖地であるルルドへの巡礼ツアーに参加したメンバーの心の中の光と闇を描き、考えさせられた2009年制作の映画でした。
映画に描かれている光景を見て、以前に家内に連れられてルルドへ行ったことが思い出されました。
ルルドはスペインとの国境に近いピレネー山脈の麓にある人口約15,000人のフランスの田舎町です。1858年に貧しい粉屋の娘ベルナデッタが薪拾いに行った洞窟で聖母マリアに18回も会ったことから、聖地となったものです。ベルナデッタはマリアの指示に従って泉を見つけるのですが、この水を飲んで体を洗うと腕の麻痺が治ったり、様々な奇跡が起こったということで、現在では年間に約600万人の人が訪れる巡礼地となっています。
ルルドには小さな国際空港があります。便が多くないので、私達はワインで有名なボルドーからレンタカーを運転して行きましたが、たっぷり1日かかりました。そのような辺鄙な山裾の町に世界各国から大型バスなどで敬虔な信者が集まってくるのです。
(写真)大型バスで到着した信者の方々
日中のミサとロウソクを持つ夜間のミサに参列しましたが、バチカンに比べて参列者の身なりは質素で病気の方や、車いすの方、障害をお持ちの方が多いように感じられました。私たちも洞窟の壁にさわり、泉を見て、聖なる水を頂戴しましたが、「聖なる水」で何とか病気を治癒したい、藁にもすがりたいという巡礼者の願いがひしひしと伝わってきました。
(写真)ロウソクを持つ夜間のミサ
(写真)蛇口がズラッと並ぶ水飲み場で聖なる水を頂戴する信者
(写真)聖なる泉の洞窟
教会を一歩出ると、お土産物店等がぎっしりと立ち並ぶ典型的な観光地(門前町)です。商店もレストランもホテルも、この教会があるからこそ成り立っている、聖と俗の対比がはっきりとしている町でした。よくこんなところにこのように立派なカテドラルを建立し、水飲み場、水浴場等を整備したものだと信者の方々の熱意に感心しました。
フランスに行かれる機会があれば、足を伸ばされてみてはいかがでしょうか?映画をご覧になれば、きっと皆様も行ってみたいと思われることでしょう。
観光立国
――「観光がこれからの日本経済の起爆剤」となる――
○我が国製造業の空洞化
昨年は3月の東日本大震災と東京電力福島原子力発電所爆発事故により、東北地方は大きな打撃を受けました。関係者の皆様のご尽力により予想を上回るスピードで生産拠点の復旧が進みつつありますが、自動車等の日本国内の生産は減少しました。秋にはタイで洪水により多くの工場が浸水して生産が止まり、その影響は日本にも及び、東日本大震災同様に日本製品の生産を支えるサプライチェーンは国内だけでなく世界各地域に広がっていることが改めて認識されました。さらに欧州危機による世界経済の停滞とそれに伴う円高により、日本の経済環境は大変厳しいものとなり、平成23年の日本経済は第二次石油危機にみまわれた昭和55年以来31年ぶりに貿易赤字(約2兆5千億円)に転落しました。
第二次大戦後の我が国経済を牽引してきたのは繊維、鉄鋼、船舶、電気製品、自動車等の製造業でした。しかし日本経済の発展と共に円高が進み、1ドルは360円だったものが今では70円台後半と約5倍の評価を受けるようになっています。日本企業は円高の影響を回避するため、賃金の低い海外、特にアジア諸国へ進出して工場を建設し、我が国製造業の空洞化が進んでいます。
○日本経済の牽引役は製造業から第三次産業、その中でも観光へ
これからの日本の主役は第三次産業、中でも観光です。先端的技術分野や、ファッション、アニメ等のクール・ジャパンといわれる知的分野では高い評価を受けています。平成22年にGDP世界第二位の地位を中国に奪われたものの、平和・安全・民主主義・清潔・勤勉・高い技術・独自の文化・美味しい日本食と、ジャパン・ブランドに対するあこがれ・イメージは大変高いものになっています。
「日本に一度行ってみたい」とあこがれている人は多いのですが、国際観光客到着数でみると、日本は世界第30位(平成22年)であり、アジアでは中国、マレーシア、香港、タイ、マカオ、韓国、シンガポールよりも少ないのが現状です。
実際に日本に来て、緑豊かな自然・美しい海を見て、神社仏閣・日本文化に触れ、夜でも安心して歩ける街で買い物をして、日本食を楽しみ、温泉につかった外国旅行者は、訪日前よりも「日本に旅行して良かった」と感じているということが訪日旅行者調査から明らかになっています。海外に対しての日本観光のPRが不足していると感じます。
今後の経済成長、人口増加の中心はアジアです。世界の中心が欧米からアジアに移ってくるということは、アジアの観光客が増加し、観光の中心になっていくということです。
これからの日本において観光は有望な分野であり、また伸ばしていかなければならない分野です。多くの方に日本にお越しいただいて、日本のファンになっていただきたい、それが世界の中での日本の地位を高めることにもつながっていきます。
「観光がこれからの日本経済の起爆剤」となるのです。
平成18年12月には「観光立国推進基本法」を二階俊博先生のイニシアティブで、平成19年6月には「エコツーリズム推進法」を愛知和男先生と共に、私は議員立法で成立させました。現在は、大学で観光政策について若い方々と議論し、世界遺産登録後の小笠原の観光と環境の両立に関する委員会の座長を務めています。これからも国内・国際観光の振興に邁進してまいります。
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