両院議員懇談会の開催と自民党の結束
7月12日の東京都議会議員選挙が終わるまで、麻生総裁や細田幹事長等の執行部に対する不満が抑えられてきました。ところが都議選敗北の翌日(13日)に、麻生総理が「7月21日解散、8月30日に投票」と発表したものですから、党内の執行部に対する不満が極度に高まりました。
14日(火)の総務会では、午後一時から始まる本会議の直前まで一時間半以上にわたって、執行部の責任について各先生から発言がなされました。多くの総務の先生方のご意見は、「今の段階で麻生総理は交代すべきではない。皆でしっかりと支えて一致団結していこう。」というものでした。ただ、党内に様々な意見があることに鑑み、笹川総務会長に両院議員総会の開催を要請し、笹川総務会長や細田幹事長も「両院議員総会を開催するよう総理に伝える。」という前向きの回答をされました。ところが、夕刻になっても夜になっても両院議員総会を開催するという連絡は入りません。
そうこうしているうちに、中川秀直元幹事長、武部勤元幹事長、加藤紘一元幹事長らが中心になって両院議員総会の開催と執行部の責任問題を強く主張されるようになりました。
私は「心がバラバラになった衆、参両院議員が一致結束して行動するためには、麻生総裁や細田幹事長は自民党の全議員の前で、反省の弁を述べ、来たるべき総選挙に向けて一致団結を求めるべきである。」と考えていました。それは、これ迄の自民党の政策や党運営について十分に各議員の意見を聞かなくては、とてもこのバラバラになっている自民党の議員を一枚岩の様に結束することはできない状況となっていたからです。ですからこそ、両院議員総会の開催を求める動きに私も同意したわけですが、15日(水)になって、中川元幹事長らが麻生おろしのためにこの両院議員総会を利用する動きをとられました。
それは今回の両院議員総会開催を求めた約130名の議員の総意ではないということで、21日(火)午前に党の意思決定機関ではない両院議員懇談会を開催するということになりました。総選挙が目前に迫っている現在、この様に党内が割れるような動きをされることについて大変残念に思います。また、党執行部もその様な動きを恐れず、16日(木)か17日(金)にでも両院議員総会を開催して、これまでの政策や党運営に対する反省を表明し、党内の結束を求めてほしかったと感じました。
21日(火)の両院議員懇談会で、各議員は意見を忌憚なく表明し、その後一致結束して選挙戦に臨むことを心より期待しています。
「骨太の方針」(社会保障費の削減)
小泉内閣以来続けられてきた毎年2200億円社会保障関係費を削減する政府の方針が6月30日の閣議決定でやっと変更されました。
ここに至るまで道のりは大変なものでした。政府全体の支出に占める社会保障関係費が1/4と他の支出に比べて群を抜いて大きくなっており、今後の少子高齢化の進行によって更に増大が見込まれています。財政再建の観点から抑制を図りたいという気持ちは理解できるものの、医療費や年金等の社会保障関係費の重要性を全く無視して、機械的に毎年削減していくことには賛同することができません。
国の財政再建は重要ですが、国民の健康、安全・安心の暮らしの実現の方がもっと重要です。経済的判断だけでなく、何が大事であるか、その本質を良く考えていかなければなりません。
本年度政府予算案を編成した昨年暮れの自民党総務会で、尾辻先生や私は強く反対したのですが、「実質的には困らないようにするから・・・」という麻生総理の発言で、「社会保障関係費を削減する」という文言は残ってしまいました。
そのため、「これ迄の閣議決定にしばられるから変更することはできない。」「財政再建の錦の御旗を降ろすことはできない。」と今回も最後まで政府は抵抗しました。
それに対して尾辻先生や私は「政権交代しなければ閣議決定の変更ができないのか」「既に破綻している医療制度をこれ以上悪化させるのか」と政府に対して主張しました。
ぎりぎりの段階でやっと党が政府を押し切ることができたわけですが、今回の件でつくづく財務省、内閣府の頭だけでモノを考え、ソロバン勘定を優先し、実態を見ようとしない対応に腹がたちました。
22年度予算において社会保障関係費の自然増が1兆900億円にのぼることをとっても野放図に増加させられないことはあきらかです。しかしながら、財政の観点だけで国の政策を決めてはなりません。必要なところには必要な予算を手当てし、歳入増加策を併せて考えていく弾力的な対応が何より望まれます。