フランス環境担当大臣との会合
大きな国際会議では、会議期間中に様々な所で二国間の会合(「バイ会合」といいます。)を行い、自国の主張を伝えて、自国の立場に理解を求め、相手国の動きをさぐることが通例です。
今回のG8神戸環境大臣会合では出席中の仏の環境担当大臣が「日本の国会議員が日本政府の行動や大臣会合についてどの様に見ているか知りたい。」ということで、5月25日に私と15分間のバイ会合を行いました。
ナタリー・コシュースコ・モリゼ大臣は前年のハイリゲンダムサミットからの数値目標等の具体的進展がないことに対する失望と政治的決定をする意思が重要であると主張し、私からは、日本の中でも様々な立場があり、また、先進国間における立場の違いから鴨下環境大臣は議長として精一杯の議事運営がしているのではないかと発言しました。仏国大臣からは日本の主張するセクター別(分野別)アプローチに理解を示すものの、国別の総量規制が必要であり、2050年までに何を、これから10年、20年後まで何をするという短期・中期の数値目標が重要で、その合意がなければわざわざ日本まで来た意義がないとの率直な発言がありました。
私からはG8の先進国だけではなく、中国、インド、ブラジル等の途上国も含めて、バラバラにならず、一つの方向性に向かっていくことが重要であり、今回の会議で日本は議長国としてその点に腐心して努力している。また、数値目標等の重要な政治決断は各国首脳が集まる洞爺湖サミットの場でなければ合意することは困難であり、今回はそのための準備会合であるので、サミットでの合意に向けて足並みを揃えることが重要であると発言しました。仏国大臣からはフランス国内でも様々な主張があり、方針を一本化することは困難であるとの発言があり、私から、それら立場の違いを乗り越えて途上国を含む各国が合意できるよう日仏で協力しましょうと発言し、会談を終了致しました。
神戸環境サミット(G8環境大臣会合等)
今年のサミット開催地が洞爺湖に決まってから約2週間後の昨年5月上旬、各種準備会合の開催地、開催日が発表されました。 その中で G8環境大臣会合は本年5月下旬に、私の選挙区である神戸で開催することとなり、嬉しく思うと同時に、何としても成功させなければならない、お手伝いしなければならないと思いました。
と申しますのも、前回の総選挙に出馬する直前の3年間は環境省に勤務しており、特に京都議定書が発効する前後の1年間は地球温暖化対策等を担当していたからです。私の最後の出張は2005年7月の英国グレンイーグルズサミットで、そこでは、「主要20ヶ国による対話を開始し、2008年日本でのサミットに報告する。」ということが決定されました。また、洞爺湖サミットの主要議題は地球環境問題とも発表されましたので、今年のサミットの準備会合の中で環境大臣会合は例年と異なり、重要な大臣会合になります。政府の決定に心から感謝した次第です。
さて、お手伝いしようと思いたっても、環境大臣会合は各国の大臣等による政府間会合ですので、一般の市民はアプローチすることができません。そこで私は、市民の方々に参加して頂ける機会を作り、環境問題に対する関心を深めてもらおうと考えました。
環境省と兵庫県、神戸市に相談して、折角の環境大臣会合を有効に生かせるよう昨年7月に連絡調整を行う委員会を発足させ、20年度予算概算要求の準備を進めました。また、国、県、市以外の多くの関係者にも協力を求め、事業内容の企画、事業規模、資金負担等それぞれの事業毎に関係者が毎週集まって、ひとつひとつ計画を練り上げて検討を進め、名水サミット、エコカーワールド、子ども環境サミット、環境フェア、気候変動と水のシンポジウムの5つの行事を開催することができました。
この一年間、準備に忙殺される毎日でしたが、これら5つの行事がそれぞれ予想以上の成果を挙げることができ、ホッとしています。これらの行事を通して市民の皆様に少しでも環境問題について認識を深めて頂くことができれば、これに優る喜びはありません。(これらの行事の詳細は別の稿にまとめますのでそちらをご覧下さい。)
G8環境大臣会合は5月24日から26日まで神戸ポートピアホテルで開催され、3日間共、私はグローブ・ジャパン(気候変動に関する超党派の国会議員の議連)のメンバーとして出席致しました。
昨年のノーベル平和賞がアル・ゴア前米国副大統領とIPCCに授与されたように、地球温暖化対策はもう議論する時期ではなく、待ったなしで行動する時期になっております。英国の環境大臣が「地球は沈みかけている船だから、今は誰が船底に穴を空けたのかを究明するのではなく、皆で力を合わせて水をかい出すべきだ。」と途上国にも協力して欲しいと要請しても、ブラジルの大使は「それは違う。地球は落下している気球だから、重い荷物を持っている気球の乗客がその荷物を捨てるのが先だ。」と先進国の行動がまず必要であると反論し、先進国と途上国の利害が対立して、なかなか合意を得ることはできませんでした。
その様な状況の中、鴨下環境大臣は議長としてねばり強く会議を進め、「生物多様性」「循環型社会の構築(3R)」「気候変動」の3つのテーマについて各国の共通認識を整理した「議長総括」をまとめられました。その中には、気候変動について今回の会議のフォローアップのための活動と主要国の対話を行う「神戸イニシアティブ」という提案も含まれています。さらに、「神戸・生物多様性のための行動のよびかけ」や「神戸3R行動計画」といった合意文書も作成されました。「昨年の独ハイリゲンダム・サミットからの進展が全くない。神戸まで来た意味がなかった。」と酷評する参加国大臣もいましたが、洞爺湖サミットに向けて前進できたことに大きな意義があると思いました。
我が国の中でも各分野の調整は困難ですが、久しぶりに国際会議に出席して世界各国のエゴとエゴがぶつかりあう国際会議の場での参加国の合意形成の難しさを改めて痛感した次第です。
6月9日には福田総理が「低炭素社会の構築に向けて」大胆な発表をされました。また、6月11日は自由民主党の地球温暖化対策推進本部による中間報告が、6月16日には地球温暖化問題に関する福田総理を囲む懇談会の提言がまとめられました。世界の中で日本が存在感を発揮できるよう、日本がリーダーシップをとっていけるよう、私もこれらの議論に参加し、貢献できるよう全力を尽くして参ります。
国政報告
6月21日に169回国会が閉会しました。衆参ねじれの結果、いわゆるガソリン税等道路関係税制について、4月の1ヶ月だけ暫定税率が適用されずガソリン価格が下がり、5月になるとまた上がるという国民生活に混乱をもたらす事態となりました。
また、これに関して衆議院での採決を阻止するため、河野衆議院議長の入場を阻む実力行使等国会議員としての品位を貶める残念な行為が野党の議員によってなされました。
早速に提出されるかと思われた福田内閣への問責決議案でしたが、世論のご批判を懸念されたのでしょうか、会期末まで提出されず、衆議院、参議院両議長のあっせんにもかかわらず、それまで野党の審議拒否によって進まなかった審議が進み出し、何とか内閣提出法案の約7割を成立させることができました。
問責決議案は会期末の6月11日に野党の党内事情で提出され、参議院で可決されました。しかし、翌12日に福田内閣信任決議案が衆議院で可決され、その意味を失うことになり、かえって参議院の存在理由が問われることとなりました。
衆議院では自民党が第一党であり、参議院では民主党が第一党であるというねじれ状況では、自民党も民主党も相手の協力なしには、自らの主張、政策を実現することはできません。
原油、鉄鉱石等資源・エネルギーの高騰、穀物・肉・魚等の不足による食糧問題等、我が国が対処しなければならない課題は山積しております。
党利党略による審議拒否等によって、国民生活に悪影響をもたらすようなことは許されません。建設的議論をたたかわせ、内外の諸問題を乗り越えていくことが国会に求められています。