海運造船対策特別委員会・海事立国推進議連
海運造船対策特別委員会・海事立国推進議連の幹事長・事務局長として、海運・造船・船員対策に携わっています。
昭和52(1977)年4月に運輸省に入省して配属されたのが海運局総務課で、右も左もわからない中、油濁損害賠償保障法や海事振興連盟を担当しました、翌年には同局監督課に異動し、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の改正やタンカー備蓄を担当しました。昭和56(1981)年3月からは、パリに本部がある経済協力開発機構(OECD)のMaritime Transport Divisionに派遣され、外航海運や造船政策を担当し、それ以降も、海運・造船対策を何度も担当して参りました。
海運も造船もマーケットの変化によって運賃の上昇下落、船価の高騰低迷の荒波に揉まれてきていますが、戦後日本の経済復興を支え、世界をリードしていた造船業は存亡の危機に瀕しています。技術指導等を行った中国、韓国の後塵を拝する状況になっているのです。世界の工場である中国は、その貨物を輸送する国営の海運会社が国営の造船会社に船舶を発注するので今では世界一の建造量を誇っています。韓国は世界貿易機関(WTO)のルールを無視して、倒産した造船会社に対する助成を行うことによって、世界第二位の建造量を確保しています。
日本の造船業は中国・韓国との価格競争に打ち勝つことが出来ず、受注量が減り、三菱重工や川崎重工等の大手造船メーカーは祖業である造船部門を切り離したり、合併して何とか存続を図る状況となっています。このまま手をこまぬいて、仮に日本の造船所が無くなる事態になると、日本の海運会社にとっても船舶を海外に発注しなくてはならなくなりますし、海上自衛隊や海上保安庁の船舶を中国や韓国に発注せざるを得なくなるという状況にもなりかねません。
新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けている海運業、存亡の危機に瀕している造船業を支援するため、私の3代後にOECDに派遣された大坪海事局長と共に、海運・造船支援策をまとめ、法案を今国会に提出し、「海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律(令和3年5月21日法律第43号)」を成立させました。
5月25日(火)に海事立国推進議連・海運造船対策特別委員会合同会議を開催し、同法成立の報告を受け、海運・造船に関する決議を行い、5月27日(木)に下村博文政調会長に決議の申入れを行いました。
今後とも造船対策、海運対策を強力に講じて参ります。