「鉄道政策―鉄道への公的関与について」
このほど「鉄道政策―鉄道への公的関与について―」を出版しました。
私は運輸省・国土交通省在職中に海運、自動車、航空等、色々な分野の仕事をさせて頂きましたが、何度も携わった分野は鉄道でした。
落選中に神戸大学大学院に通い、専攻の国際法以外にもう一本論文を提出しなければならないとのことで、どうしようかと悩み、これなら書けるかなと思ったのが鉄道の採算性についての論文でした。時間が限られていましたので、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)の採算性について3か月程でまとめて提出しました。
第一論文(国際法)よりも力が入ったので、旧知の正司健一神戸大学理事に持参したところ、「国際法とダブルで書いたら良いじゃないですか」とのお返事を頂いたことが、この論文を書くきっかけとなりました。
昨年3月に何とか博士課程後期課程を修了し、少しゆとりが生まれたので、正司教授に論文を受け付けて下さるか伺い、それではやってみるかと書き出しました。基本的な骨格は修士論文と変わらないのですが、文献にあたり、国会の議事録を探したりするのに、思いの外時間がかかりました。あっという間に年が暮れ、4月に消費税が上がると運賃・料金が変わりますし、国会が始まると時間が自由にならなくなりますので、あわててまとめて提出したのは、通常国会召集直後の1月27日でした。
あれを記述すべきだった、これに触れるべきであった等と反省点は多々ありますが、この論文をまとめるために、古い資料等を見直して、鉄道政策の変遷について考え直すことができたことは、私にとって何よりの収穫であったと思います。からかわれたのかもしれませんが、論文作成の発破をかけられた正司教授には心より感謝しています。
我が国の鉄道政策は、明治時代以来の鉄道国有化を昭和62(1987)年の国鉄分割・民営化によりほぼ180度変更しているのですが、今後の少子高齢化等を踏まえると、国や地方公共団体による公的関与を強めていかなければならないのではないか、これが「鉄道政策」のポイントです。
鉄道にご関心のある方は是非ご一読下さい。ご指摘・ご教示を頂けると幸甚に存じます。
私費出版ですので、ご希望の方は私の事務所宛ご連絡ください。早急にお届けさせて頂きます。
「鉄道政策」 創英社/三省堂書店(本体2,800円)
以下、神戸大学学位授与式(平成26年3月24日)
昨年は博士(法学)の学位を頂き、今年は博士(商学)の学位を頂きました。
神戸大学 学長 福田先生と六甲台講堂前にて
国会審議の流れ
さる3月20日に、平成26年度予算が成立しました。平成24年末、平成25年夏の衆議院、参議院選挙で、有権者の皆様から自公政権に信任を頂き、歴代政権が苦しんできた衆参のねじれが解消したため、このように順調に年度内に予算を成立させることが可能となりました。
また、予算が成立したお蔭で、3月末に、スーパーコンピュータ「京」の100倍のエクサ・スケールのコンピュータの開発が神戸で進められることや神戸を含む関西のエリアが国家戦略特区に指定されることが決定され、神戸の活性化に向けて新たなスタートを切ることができました。
現在は、予算関連法案を中心とした審議が行われていますが、ここで国会の審議の流れについてご紹介したいと思います。
国の会計年度は4月に始まり3月に終わりますので、年度内に予算を成立させることが通常国会の最優先課題となります。通常国会は1月末に召集され、まず総理大臣の施政方針演説(その年一年間の政府の基本方針や政策についての姿勢を示す演説)がなされ、各党代表からの代表質問が行われます。その後、予算案(今年の場合は平成25年度補正予算案をまず審議してから平成26年度予算案を審議しました)の審議がなされます。憲法第60条の規定により、予算はまず衆議院で審議され、衆議院で可決後、参議院に送付されます。同条第二項により衆議院で可決後30日を経過しても参議院で議決しない場合には衆議院の議決が国会の議決となるため、年度内の予算成立を目指して2月中に予算を衆議院で通過させられるかどうかの与野党の攻防がなされます。
予算が成立しても、その予算を執行するための法律を制定する必要があることが少なくありません(そのような法律は予算関連法案と呼ばれます)。そのため、予算成立後、直ちに予算関連法案の審議に入ります。予算関連法の審議が終了すると、非予算法と呼ばれる予算とは関係のない法案の審議が行われるのです。
私は現在法務委員会等の3委員会の理事を務めています。例えば法務委員会では、予算審議の合間をぬって2月21日から予算関連法案等の審議を行っていますが、法務省からは11本の法案が提出されているため、全法案の成立を目指すには毎週1本の法案を審議して(会期は150日ですので1月24日から6月22日まで)成立させなければなりません。
このように、衆議院・参議院では毎日のように数多くの法案審議をしているのです。ご関心のある方は、審議の傍聴に是非国会にいらしてください。