真珠振興法の基本方針
~セルポート「永田町より一筆啓上」掲載記事より~
「真珠振興法の基本方針」
「真珠の日」である昨年の6月1日に成立した真珠振興法の基本方針の検討が、農林水産省と経済産業省を中心に進められています。
昨年の秋以降、関係者と何度もヒアリングを重ねて、愛媛県、長崎県、三重県等を中心とする真珠生産サイドの課題、神戸を中心とする加工・流通サイドの課題を把握して、その原因を分析し、それらの課題への対策を検討しているところです。
昭和40年代には世界の真珠の独占的供給国であった日本ですが、現在では白蝶真珠と黒蝶真珠を合わせた南洋真珠の生産量が日本のアコヤ真珠の生産量を凌駕するようになっています。真珠の生産現場では他の産業以上に高齢化が進んでいますが、その背景には人手不足、後継者の問題があります。真珠養殖業がより魅力のある産業となるよう、地域振興の観点も含め、対策が求められています。
加工においては、日本の加工技術、選別技術、穴あけ・連組のノウハウ等の技術が優れていますので、世界中の真珠の7~8割が神戸に集まっています。しかし、流通においては、中国の経済発展に伴い、巨大市場である中国の玄関口に位置する香港マーケットの取引が増加し、世界の真珠取引の中心であった神戸の地位が脅かされるようになっています。自由港である香港に対抗できるような、課税の特例を設ける等、神戸の競争力を強化する対策が求められています。
現在検討中の基本方針を、来月にはパブリックコメントに付して、遅くとも連休明けには、決定・公表できるよう、関係者と協議を重ねております。
この真珠振興法を活用して、「日本と言えば真珠、真珠と言えば日本」と言われる状況がこれからも続き、我が国の真珠産業が益々発展するよう、対策に力を入れていかなければなりません。
「パールシティー神戸」と呼ばれる神戸にとっても、真珠産業の発展は重要であり、これからも神戸が真珠の加工・流通の世界の中心地であり続けるよう、真珠政策に全力で取り組んで参ります。
なお、我が国の真珠政策についてご関心をお持ちの方は、これまでの経緯・現状と課題についてまとめました、盛山正仁著『我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法』を出版致しましたので、ご覧頂ければと存じます。
盛山正仁の本<我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法>
この度、創英社/三省堂書店から『我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法』(定価¥2,778税別)を出版致しました。
本書は、昨年6月に山本公一環境大臣をはじめとする真珠振興議員連盟の議員と、大月京一日本真珠振興会会長をはじめとする真珠関係者が一致結束して成立させた真珠振興法の解説書です。真珠振興法を成立させることになった我が国の真珠産業・真珠政策の背景、真珠振興法の解説、今後の課題等について、まとめたものです。
真珠振興法は成立しましたが、その内容の具体化はこれからです。まず、基本方針を定め、真珠生産現場の課題の解決、香港等の海外に対する我が国の加工・流通の競争力を高める施策等に取り組むことになります。しかし、我が国のアコヤ真珠の白蝶真珠・黒蝶真珠に対する魅力の向上、我が国の真珠市場の拡大を図ることは、決して容易なことではありません。
真珠業界は勿論のこと、農林水産省と経済産業省を中心に政府全体として新たな真珠政策が遂行されることになりますが、当然のことながら、私が事務局長を務める真珠振興議員連盟もお手伝いして参ります。
本著によって少しでも我が国の真珠産業の理解が深まり、優れた真珠政策が推進されるようになることを願っています。
ご関心をお持ちの皆様に、お手に取っていただけると幸甚に存じます。『我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法』(盛山正仁著、創英社/三省堂書店)は書店でもお求め頂けますが、盛山正仁事務所でも販売致しております。
『我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法』
盛山正仁 著
(2017年、発行 創英社 / 三省堂書店)
定価¥2,778(税別)、¥3,000(税込)
ご関心をお持ちの方は盛山事務所までご連絡下さい。
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