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富本憲吉記念館が今月いっぱいで閉館してしまう!

2012-05-19 | 奈良が好き!

今から57年前、第1回の重要無形文化財保持者(平たく言えば人間国宝)に認定された富本憲吉は
明治19年(1886)、奈良県生駒郡安堵村(現 安堵町)の、旧家の長男として生まれました
東京美術学校で建築図案を学び、イギリス留学中 ウィリアム・モリスの工芸思想 に影響を受け帰国
バーナード・リーチと交友を深めて行く中で、陶芸に興味を持つようになり、独学で作陶を始めました
「模様から模様を作るべからず」を信条として、作家自身の個性的な形・模様を打ち出すことを主張し
作品には身近な風景や植物などを図案化したものが多く、常に独創的な意匠・造形を追求し続けて、
晩年には色絵磁器に金銀彩を加えた華麗な作風を大成しました
代表的な常用模様には「大和川急雨」「竹林月夜」「四弁花」「羊歯」などがあります


富本憲吉記念館入口は安永年間築の、生家の長屋門です

同じ像が対になって廟の道の両側に並んでいたであろう朝鮮半島の石像


井戸の向こうの樫の木に絡むテイカカズラの花は意匠として常用された
石像ばかりの所になぜヤカン?この羊も向かい合って対になっています

大和民家様式の本館(1974年竣工)

安永年間築の、生家の土蔵を展示室にして大和時代と呼ばれている初期の作品が展示されている
土蔵の展示室一階

土蔵の展示室二階

90年も前に作られたとは思えぬ砥部焼のモダンな白磁八角コーヒーセット
1914年築の土蔵を大阪から移築し第二展示室とする
一階は東京時代、二階は京都時代の作品を展示
第二展示室前の用水桶と甕

色絵金彩四弁花模様陶筥(四弁花はテイカカズラを図案化したもの) 東京時代(1927~1945)の作品
安堵村の生家付近の大和川の風景を描いた壷を陶板の図柄としている 東京時代(1927~1945)
第二展示室二階、ここには京都時代(1946~1963)の作品が展示されている
磁器色絵 大和川風景と四弁花角瓶 1949年頃の京都時代の作品


本館の奥にある富本憲吉が晩年愛用した離れ屋、生家の建物で安永年間築

外遊後、大和安堵村の自宅でくつろぐ憲吉 ↑ の写真の部屋です

安堵の町の花でもあるテイカカズラは富本憲吉の作品に意匠として常用されています


富本憲吉記念館 は富本憲吉没後11年の1974年、安堵村出身の前館長・辻本勇氏が私費を投じて
富本家から生家を購入・改修した後、開館した個人美術館で、辻本氏自身のコレクションを展示し、
富本ファンや研究者のために貢献してきました
3年前に辻本館長が亡くなられ、遺族から奈良県や安堵町に移管されるよう申し出があったようですが
どこも受け入れることはなかったのか・・ 結局、館蔵品の1/4が兵庫県陶芸美術館へ、あと1/4が
大阪市立美術館へ寄贈されて、記念館に残ったのは半分になってしまいました
近代陶芸の父にして人間国宝の富本憲吉氏の記念館が不況下とは言え、こんな扱いでいいのでしょうか
非常にさみしい現実です

※ 富本憲吉記念館は平成24年10月より富本憲吉文化資料館として毎週土・日曜の週2日だけ開館されることが決定したようです



'12奈良旅行