読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

開催迫る!第19回宮崎映画祭、超個人的みどころポイント

2013-08-08 22:19:13 | 映画のお噂
今年で第19回目となる宮崎映画祭。今月24日の開幕まで、いよいよ2週間あまりを残すのみとなってきました。
街中にはそこここで映画祭のポスターを見かけるようにもなり、映画祭に向けての期待感が徐々に高まってきております。

上映作品の詳細や、ゲストおよびチケットなどの情報は、映画祭公式HP→ http://www.bunkahonpo.or.jp/mff/ をぜひともご参照いただくことにして、上映される16作品を、ここで列挙しておきましょう。

『アルゴ』(2012年、アメリカ)
監督=ベン・アフレック 出演=ベン・アフレック、アラン・アーキン

『ムーンライズ・キングダム』(2012年、アメリカ)
監督=ウェス・アンダーソン 出演=ブルース・ウィリス、ビル・マーレイ

『スカイラブ』(2011年、フランス)
監督=ジュリー・デルビー 出演=ジュリー・デルビー、エリック・エルモスニー

『ルビー・スパークス』(2012年、アメリカ)
監督=ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス 出演=ポール・ダノ、ゾーイ・カザン

『ニッポンの嘘 ~報道写真家 福島菊次郎90歳~』(2012年、日本)
監督=長谷川三郎 出演=福島菊次郎

『映画 立川談志 ~スクリーンで見るシネマ高座&ドキュメンタリー~』(2012年、日本)
監督=加藤威史 出演=立川談志 ナレーション=柄本明

『クイーン ライブ・イン・ブダペスト’86』(2012年、ハンガリー)
出演=フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ロジャー・テーラー、ジョン・ディーコン

『カリフォルニア・ドールズ』(1981年、アメリカ)
監督=ロバート・アルドリッチ 出演=ピーター・フォーク、ヴィッキー・フレドリック

『オープニング・ナイト』(1978年、アメリカ)
監督=ジョン・カサヴェテス 出演=ジーナ・ローランズ、ベン・ギャザラ

『アルバート氏の人生』(2011年、アイルランド)
監督=ロドリゴ・ガルシア 出演=グレン・クローズ、ミア・ワシコウスカ

『転校生』(1982年、日本)
監督=大林宣彦 出演=小林聡美、尾美としのり

『この空の花 長岡花火物語』(2011年、日本)
監督=大林宣彦 出演=松雪泰子、高嶋政宏

『横道世之介』(2012年、日本)
監督=沖田修一 出演=高良健吾、吉高由里子、綾野剛

『ネオ・ウルトラQ』(2013年、日本、テレビシリーズより3本を上映)
監督=入江悠 出演=田辺誠一、高梨臨、尾上寛之

『まほろ駅前番外地』(2013年、日本、テレビシリーズより3本を上映)
監督=大根仁 出演=瑛太、松田龍平

『命のあしあと』(2013年、日本、テレビ作品)
演出=佐々木知範 出演=陣内孝則、高岡早紀

上映作品の中から、わたくしが個人的に気になる作品をいくつかピックアップしてみることにいたしましょう。

まずは『アルゴ』。1979年にイランで起こった米大使館占拠事件を題材にした作品で、今年のアカデミー賞で作品賞、脚色賞、編集賞を受賞しました。一方でイラン国内では反発の声が上がり物議も醸すなど、昨年から今年にかけての話題をさらった映画であります。が、宮崎ではまだ劇場公開されていませんでした。今回の映画祭で、ようやく大スクリーンでの鑑賞の機会が得られるのは嬉しい限りです。
その他の新作では、フランス映画『スカイラブ』が気になります。ちょっと変わった大家族が織りなす、フランスらしい小粋なコメディが楽しめるのではないかと期待しております。
旧作では、ロバート・アルドリッチ監督最後の作品となった、女子プロレスを題材にしたスポーツ映画『カリフォルニア・ドールズ』がなかなか面白そうです。また、『グロリア』(1980年)の名コンビにして夫妻でもあった、ジョン・カサヴェテス監督×ジーナ・ローランズ主演の『オープニング・ナイト』にも注目しております。

例年、ドキュメンタリー作品も積極的にフィーチャーしている宮崎映画祭。今回は3本のドキュメンタリー映画が上映されるというので、ドキュメンタリー好きとしては誠にありがたいのであります。
終戦直後に広島を取材したのを皮切りに、安保闘争や成田闘争、公害問題、原発事故などなど、日本社会を反権力の立場で見つめてきた反骨の報道カメラマンを主人公にしたのが『ニッポンの嘘 ~報道写真家 福島菊次郎90歳~』。センシティブなテーマを内包した作品ではありますが、わたくしは一人の突出した個性と生き方をしている人物の姿を追った人間ドラマとして観てみたいと思っております。
こちらも突出した個性と才能の持ち主だった故・立川談志師匠を、秘蔵ドキュメンタリー映像とDVD化されていなかった高座の映像とで描いたのが『映画 立川談志』。高座は「やかん」と「芝浜」を収録。特に、十八番だった「芝浜」の、これまで観ていなかった高座の映像はぜひ観てみたいところです。なお、上映後には談志師匠のお弟子さんにして、大の映画好きでも知られる立川志らく師匠による高座もあるというので、こちらも楽しみであります。

大林宣彦監督の新旧2作の上映も期待大です。名作『転校生』は、ずいぶん前にテレビで観て以来となる、スクリーンでの再会がとても楽しみです。そして『この空の花 長岡花火物語』は、新潟県長岡市の皆さんと大林監督との絆が生み出した2時間40分の大作。こちらもじっくり観てみたい作品です。

今回の映画祭では、テレビ作品からも3作品が上映されます。中でも個人的に一番嬉しいのが『ネオ・ウルトラQ』の上映。今年1月から3月にかけてWOWOWで放映された、『ウルトラQ』(1966年)の47年ぶりとなるセカンドシーズン。わたくしはWOWOWが観られないので(泣)、今回の映画祭での上映はありがたい限りであります。全12話の中から、『サイタマノラッパー』シリーズなどで知られる入江悠監督の作品3本がピックアップされます。かなり楽しみです。
『まほろ駅前番外地』は、三浦しをんさんの小説を『モテキ』(2011年)などで知られる大根仁監督がドラマ化したものです。大根監督がセレクトした3本を上映し、大根監督もゲストで来られます。
そして『命のあしあと』。3年前に宮崎を襲った口蹄疫をテーマにした、NHK宮崎放送局製作のドラマです。今年1月にBSで放送後、宮崎県と九州沖縄では地上波放送されました。映画祭では、全国での地上波放送もされる31日に上映され、ドラマ本篇に加えてスペシャルプログラムも上映予定です。また、出演者の一人で宮崎県出身の温水洋一さんがゲストで来られます。本作のみ入場は無料です。未見の方はぜひご覧いただきたいと思います。

宮崎映画祭は、映画をこよなく愛する宮崎の市民による実行委員会とボランティアスタッフが、毎年手弁当で運営している映画祭。手づくり感覚がありながらも、その中で実に質の高い作品を上映し続けています。映画館の数が少なく、映画の上映環境に恵まれているとは言いがたい宮崎にとっては、まことに得がたい映画祭なのです。
今回も、そんな有志の皆さんに敬意と感謝を持ちながら、映画を観ていきたいと思っております。
時間のやりくりが難しいところもあるのでコンプリート鑑賞は厳しいのですが、できれば最低でも10作品は観たいなあ。

映画祭期間中は当ブログでも、鑑賞した映画についての感想等を綴っていきたいと考えております。