さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。300回を越えるそのレギュラー回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、約3ヶ月のブランクがございましたが、久しぶりに12回目をお届けしたいと思います。
シリーズの詳しいご説明などは
【その1】に譲ることにして、今回は第141回から第155回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しております。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。
(141)ドラム缶ができるまで
スチール製(一般的な容量200リットルのやつ)とファイバー(木材の粉から作られたクラフト紙製)のドラム缶、それぞれの製造過程が紹介されています。スチールドラム缶ならではの胴体の出っ張り(輪帯)は、中から機械で押し広げてつけるんだねえ(「ビーディング」と呼ばれる工程)。輪帯には強度を保つとともに、タイヤのように転がりやすくする働きもあるのだとか。落下テストや水圧テストなど、さまざまな検査が入念に行われているところにも感心いたしました。
(142)たいこ(長胴太鼓)ができるまで
実に見どころが多く面白い、大型の長胴太鼓の製造過程です。
推定樹齢800年、直径3メートル、長さ4メートルもの原木を切り出していく過程からして、実に引きこまれるものがございました。特に圧巻だったのは、内側をくり抜いて円筒状にする「胴ぐり」のところ。両側からくり抜かれた木材の芯が、フォークリフトで押し出されるところでは、見ていて思わず声が出ました。「革ばり」のところで、張った皮を伸ばすために作業員4人が皮の上をぴょんぴょん跳ねている場面は、なんかユーモラスな光景で笑えました。
(143)さきイカができるまで
お酒の良き友、さきイカの製造過程。茹でて味つけしたあと、乾燥させて焼いたスルメイカの胴体部分を、回転するツメ(万が一巻き込まれでもしたらかなり痛そう)で引き裂いて、それをさらに乾燥させることで、あの独特の食感が生まれるんですねえ。・・・裂く前のこんがりと焼いただけのイカも十分うまそうだったけど(笑)。
(144)バウムクーヘンができるまで
見どころはなんといっても、バウムクーヘンならではの年輪模様が生み出されていく過程であります(「バウムクーヘン」という名前も、ドイツ語で「木の菓子」という意味)。円筒形に並べられ、回転する金属製のめん棒につけられた生地が炉の中で焼かれていき、それが少しずつ太くなっていくさまを、食い入るように見入ってしまいました。見ていると甘い香りが伝わってくるようで、なんだか無性にバウムクーヘンが食べたくなってくるのう。
(145)かりんとうができるまで
洋菓子バウムクーヘンのお次は、和風菓子であるかりんとうのできるまで。とはいえ、生地の段階ではパンとほとんど変わらない感じがいたしました(イーストを入れて発酵させてるし)。揚げは一回だけでなく、まずは表面だけをサッと揚げ、次の釜で表面に色がつくように揚げ、そして3つめの釜で芯までカラッと揚げるという具合に、三段階に分けて揚げていってるんだねえ。
(146)瓦(かわら)ができるまで
空気が入って、焼いた時に割れてしまうのを防ぐために、原料の粘土を2段階に分けてしっかりと練っているのがよくわかりました。瓦に水玉の模様をつけるとき、網に塗った釉薬を内側から空気を不規則に吹き付け、全部違う模様にしているのが面白いですねえ。焼くときには、台車の上に瓦をズラッと直立させてやっていて、よく倒れないもんだなあと妙なところに感心。
(147)こんにゃくができるまで
通常の板こんにゃくを中心に、玉こんにゃくやしらたきの作り方を紹介。原料となるこんにゃく芋は寒さや霜に弱いということで、冬季は畑から温室に移して保管したりして、3年かけて収穫するとか。しらたきの元となる白こんにゃくが、細い穴から押し出されるところはそれこそ白い滝のようで、なかなか絵になりますねえ。
(148)消防ホースができるまで
ポリエステル繊維の内側に、ウレタンによるコーティングを施して作られる消防ホース。放射状に張り巡らせたポリエステル繊維の糸を、中心部で織り上げていく自動織り機の映像は、なかなか美しくて目を見張りました。織っているときには熱が発生するので、風で冷却しながら織り上げるとか。ウレタンをコーティングされ、裏返しの状態になっているホースを、機械で圧力をかけて水とともに押し出してひっくり返すところも面白かったな。押し出されるとき「ヒュルルルルル〜」という感じの音が鳴ったりしてて。
(149)塩ができるまで
おなじみ「伯方の塩」の製造過程。原料となる海水を濾過して釜で煮詰め、水分を抜かれた塩を自然乾燥させるための簀の子に使われているのが、竹。金属だとすぐに錆びたり、木だとすぐ傷んでしまうのに対して、竹は丈夫な上に水はけが良いからだそうな。なるほど。そうやって4〜5日かけてゆっくりと乾燥させることで、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル分がバランスよく残るのだとか。
(150)たわしができるまで
スポンジたわしに亀の子たわし、金たわし、そしてトイレ用たわしといった、さまざまなタイプのたわしの製造工程が紹介されています。スポンジたわしのもととなるウレタンフォームが形成される実験のプロセス(ポリオールやイソシアネート、水などを混ぜて化学反応させることによって炭酸ガスが発生し、固まりながらふくらんでいく)が興味深かったですね。その一方で、手作り感漂う亀の子たわしの製造風景もよかったねえ。
(151)まんじゅうができるまで
福岡県の銘菓として知られるひよこ型まんじゅう「ひよ子」の製造過程であります。中身のあんこを生地で包んで押し出していく「包あん機」の仕組みや、ひよこ型に成形されたまんじゅうの向きを、製造ラインに合わせて後ろや前に向けたり横向きにしたりする工夫に感心いたしました。その一方で、余分な粉を払うブラシの絶妙な動きや、熱したニクロム線でひよこの目を焼きつける機械の名がズバリ「目付け機」だったのには、思わず笑いを誘われましたな。
(152)ブリキロボットができるまで
ゼンマイ仕掛けで動く、昭和レトロ感たっぷりのブリキロボットの製造過程。表面の塗装に使われる塗料は粘り気のあるものを使うことで、成形の時に表面が伸び縮みしても色がひび割れないようにしている・・・という、細かい工夫がいいですねえ。歯の数が違う2つの歯車と電池式モーターを用いての、ロボットのギミックを詳しく解説した後半部分も、なかなか勉強になります。
(153)冷凍ぎょうざができるまで
「大阪王将」ブランドの冷凍ぎょうざの製造工程。丸く打ち抜いた生地の中に具を乗せ、それをつぶすことなく、きれいにヒダをつけながら1分間に170個のぎょうざを包むまでの工程をこなす「成形機」が優れモノでした。でも、なによりも目を見張らされたのは、冷凍ぎょうざを入れる箱をものすごい速さで組み立てる人たちの驚異的な手技!機械もスゴいけど、人間もなかなかスゴいねえ。
(154)将棋盤ができるまで
撮影場所はなんと、わが宮崎県の照葉樹林の里・綾町。宮崎産のカヤの木は夏と冬の気温差により、くっきりした美しい木目がつくのだとか。そういえばたしかに、綾町には将棋盤などの木を用いた工芸品の製造販売所がいくつかあったなあ、ということを思い起こしました。
表面をていねいにカンナがけするところから始まり、第三者の助言を許さない(口無し)という意味から、くちなしの実をかたどって作られる脚の彫刻工程、そして盤面にマス目を入れていくところなど、手仕事の醍醐味を存分に味わうことができます。とりわけ、日本刀でマス目にうるしを盛る「太刀盛り」のところではBGMも消され、張り詰めるような緊張感がじんじんと伝わってまいります。
(155)コーンフレークができるまで
個人的には、朝食というよりチョコフレークのベースとして馴染みのある、コーンフレークの製造工程であります。砕いたコーンに圧力と蒸気を加えて炊き上げ、それを乾燥させた上でローラーでプレスし焼き上げることで、あの独特の食感が生まれるんですねえ。焼き上がったフレークがラインを流れるときのサラサラした音が、なんか耳に心地いいですねえ。
これまでご紹介した回については、以下のページにリンク集と内容のもくじをまとめておきました。新しくアップした内容を追加しながら更新していきますので、気になる回をお探しになるときにお役立ていただければ幸いであります。