一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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マンション購入のチェックポイントと高齢者の親(3)

2007年05月28日 20時41分43秒 | 住宅ノウハウ・実例
みなさん、こんばんは。遅くなりました、ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

マンション購入のチェックポイントと高齢者の親(2)の続きをコメントすることにしました。

初めての方は、2007年5月25日のブログにある質問を、まずお読み下さい。


5月26日のブログで回答しましたが、界壁の厚みだけが気になるとのことでした。

「隣接したお隣との壁の厚みが136ミリです」とのことでした。変な数字です。


「ホームページでそのマンションの内容が見れるなら教えてください」とお伝えしていました。メールで再度返信がきました。重要ですので追加で回答です。


この相談のマンションは、立地の住環境も利便性も申し分ない、高層高級マンションでした。

この隣接の壁等の??を除いては、申し分のない素晴らしいマンションです。


私は、界壁(隣の住居との壁)のコンクリートの厚みは、高遮音を望むなら200ミリ欲しいと述べました。通常は150ミリから180ミリで遮音を売りにするマンションは200ミリ以上だからです。これ以外の要素もあるのですが、あくまで目安です。

ところが、この返事では、136ミリでした。おかしいなぁと思い、ホームページを拝見すると、コンクリートの界壁は無く、スタッドという軽鉄にグラスウールと石膏ボードを張ったものでした。

ワンルームマンションなら、この壁がブロックということはありますが、鉄筋コンクリートの高級マンションで、界壁がこの構造ということは、私にはショックでした。



わかり易く言いますと、軽量鉄骨のプレハブアパートの界壁と同等です。
しかも、外壁も125ミリのALC版ですから、ますます???でした。ホームページの内容を良く見てある結論に達しました。


免震構造までも採用している高級マンションですが、高層マンションでもあるので、構造的に有利なように軽量化を優先しているためと思います。

床や天井のコンクリートの厚さや構造は問題なく、その他の発信されている内容もすべて優れていてOKです。

総合的に考えれば、大変良いマンションです。この隣接住戸の壁の遮音性能だけを考えて、購入を止める必要は無いのですが、もし隣接の音が特に気になる方で、それが一番心配という方の場合は、注意が必要です。


性能表示も表現されているようですが、遮音については等級も出ていませんので、遮音については性能表示の申請をしていない可能性が高いです。これを取得して結果を約束してくれるなら問題ないでしょう。それだけの遮音性能を出せる設計も工事も自信があるということになるからです。


この界壁の構造で、「耐火遮音間仕切り」と表現しています。表現に間違いはありませんが、床や天井との取り合い部分の工事方法がわかりません。実際の工事がキッチリ工事なされていないと、実験通りの遮音性は得られないはずです。

もし、私が設計者なら、重量を軽くする必要があったとしても、この界壁の両面に少なくとも遮音シートを入れさせますし、天井や床との取り合い部分に設計でも工事でも、特別に注意して工事をさせます。このホームページを見ると、少なくとも遮音シートは入っていないようです。


最近、コンクリートの壁の厚みは150ミリで、その両側にグラスウールの圧縮パネルを設置して高遮音性能を得られる特別な工法を採用しているマンションもあります。

当初136ミリの厚さと聞いたとき、コンクリートの厚みが136ミリで、その両側にグラスウールパネルで遮音性能を高めている、この工法かと思いました。
しかし、実際は肝心のコンクリートの壁がありませんでした。


最後にまとめますと、マンションも戸建ても総合的に判断すべきですから、この隣接の壁の遮音性能だけを考えて躊躇する必要はありませんが、契約前に書面で確認していた方が、より安心でしょう。

得られた情報から判断すると、すべて優れていますが、ひとつの点だけ他と比べると劣っている可能性がある懸念事項があったということです。


総合的に見ると大変良いマンションで、お勧めできるマンションです。念のため。




ミタス 一級建築士事務所のホームページ  




コメント
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