一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

「住宅最大のトラブル転じて福となす」(完結編)

2006年12月21日 17時56分58秒 | 住宅最大のトラブル転じて
こんにちは、遅くなりました。ミタス一級建築士事務所の清水です。

このテーマを初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。


無事引渡しも終わり、大人しくて行儀の良い娘さんがいらっしゃるご家族がご入居されてのご感想は、

「想像以上に居心地も良く快適です。子供も喜んでいるのが良くわかります。友達を連れてきては楽しそうに遊んでいます。」

とのことで、ほっとしました。

ミタス一級建築士事務所では、次から次へと難題を与えられ、すべて幸運にもクリアーして乗り越えることはできましたが、一番ハラハラドキドキの連続で想い出に残る住宅でした。結果的には施主のためにもより良い住宅となりました。


この12話の話を通して、皆さんにお伝えしたいことがあります。

住宅は皆さんが大変な思いで決断され、通常一番高額で生活に最も影響を与える買い物です。どんなに順調に購入されたように見える方でも、実際にはいろいろ苦労されているようです。

途中で、様々なトラブルや予想外の出来事に合うことが普通なのですが、冷静に前向きに検討し、話し合い、ベターだと思う選択肢を選んで行動していけば、最悪の状態だけは避けられるはずです。

今回の「災い転じて福となす」のように、最悪から結果的には良い方向へ転んでいくこともありますが、それは必ず前向きな考え方と行動から生まれるものだと私は感じています。住宅を購入される方も注文される方も、何かトラブルがあれば思い出して頂ければ幸いです。


もし対処方法がわからない、どうしていいのかも誰に相談すればいいのかもわからないという方は、メールでもコメントからでも構いませんのでご相談頂ければ、こちらがわかる範囲でアドバイスさせて頂きます。


お勧め書籍を紹介しておきましょう。アマゾンなどで検索してください。

☆新築される方には… 「我が家を手に入れる前に読むQ&A80」 



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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(11)

2006年12月20日 11時59分31秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。

このテーマを初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。

この後は工期の制限がネックで問題が起こるのですが、当時は姉歯さんの偽装問題が発覚し連日マスコミをにぎわしていた時期でした。民間の検査機関も批判を浴び、そのことで検査機関が慎重になり過ぎたり、審査期間がかなり長くなったり、過剰な要求などをしてくるようになってしまいました。


問題になったのは、今回のプランの屋上へ上がるペントハウス階の階段の解釈の議論でした。役所はもちろん、他のどの検査機関、同じ検査機関の他の担当者も問題ないと言っていて、建築基準法上も根拠が無いのに、「これは、認めない。」と我々の検査機関の担当者だけは言い張るのです。指摘の内容も通常、指導を受ける内容の逆のことを言い張るのです。

スタッフに対応させていましたので、私が指示をして法的な根拠を述べてもらうようにと伝えても、あれやこれやのつなぎ合わせとご自身の解釈で譲ろうとはしないのです。

「11月末に着工できないと、この工事は受けません。」と特別に安くしてもらった業者も再度宣言していました。審査機関を変更すれば問題なくOKになるのですが、それをしていると審査が最初から始まりますので、とても間に合わないのです。

止むを得ず、不本意でしたが設計変更して再提出でOKをギリギリのタイミングでもらいました。

その後の中間検査でも、構造体がより安定するよう梁の掛け方を1箇所変えるように指示していたのですが、構造体を大きく変更したという解釈され、全く最初からすべての構造計算のやり直しを命じられました。

通常の木造2階建ての筋交い計算ですと、たった2枚ですし、その提出さえ不要なのです。

今回は3階建てで特殊な工法を一部使用していますが、それとは全く関係の無い箇所で、より安全側に掛け直したことは、誰が見ても明らかでした。そのことは検査員も認めてはいましたが、なんと400ページに渡る膨大な構造計算をすべて新しくやり直しさせられ、再提出して再審査となってしまいました。

通常は軽微な変更で一枚書類を出せば済むことなのですが、姉歯さんの問題で、検査機関が、万が一でも責任が来ないように一様に慎重になったためでしょう。


その他、初めての工務店でしたから私の細かい要求をお願いするのに、現場での苦労はいろいろあり、完成の最後の問題として登記とローン実行の支払いのタイミングなどでもハラハラしながら調整させて頂き、何とか予定通り完成引渡しの検査までたどり着くことができました。




「住宅最大のトラブル転じて福となす」(完結編)へ続く

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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(10 )

2006年12月19日 10時38分36秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。

このテーマを初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。


新しい業者が提示してくれた金額は、こちらの予算より10%ほど高めでした。かなりがんばってくれた方だと思いますが、まだ足りません。お願いするしかありません。「実は、予算は○万円なんです…。」

今度は、先方が沈黙…。(笑)

「先生、3月末完成引渡しで代金もすべてそれまでには頂く条件なら、何とかやってみますが、大丈夫ですか?」と逆に質問されてしまいました。そして、「着工は、最低でも11月末までに行えることが条件です。」とのことでした。

私は、「大丈夫、何とかしますから。」と答えました。次の日に金額的にはOKとなったのです。

その後、何度かの打ち合わせを経てついに2回目の請負契約。
ラッキーなことに設備的には当初の計画より良くなりました。

床はいつも使う厚さ3センチの無垢材フローリングに自然塗料仕上げ、屋根はガルバ鋼板横葺、柱はすべて4寸角の杉無垢乾燥材、石膏ボードは15ミリ厚強化石膏ボード、壁と天井は紙クロス、IHヒーターはもちろん、エコキュートのオール電化、基礎は「こんな凄い基礎は住宅では初めてだ…。」と年配の工事職人が驚いた通常の3階建て木造とは思えない鉄筋だらけの基礎、家の内部に車を取込むためのラーメン構造併用、準防火3階建て仕様、バルコニーは3箇所でうち2箇所がルーフバルコニーです。

ちなみに工事面積で照明器具、外構工事まで入れての総工事費用を割ると…この内容で坪当たり僅か○○万円でした。(匿名とはいえ、プライバシーに関わるので、金額の公表は止めにしました)世間にある通常の木造2階建てと比べると、坪20万円は完全にアップしている内容でです…ビフォーアンドアフターと同じように、これは完全な例外ですので、間違わないで下さい。(^^;)

結局、業者が変わることによって、契約内容は良くなりました。しかも、最初の業者が倒産という非常事態でのことが無ければ、この内容でここまで価格が下がることは有り得ませんでした。これが、「トラブル転じて福となす」としたテーマ名の大きな理由ですが、私を悩ませることは、まだまだ続くのです。

建築確認申請の提出へと手続きを進めていったのですが、この11月末までの着工、3月末引渡しの工期の問題があることにより、いくつかのピンチが私に降りかかってきて、脳を全開してフル回転でスタッフにも指示をして立ち向かっていくしかありませんでした…。




次回、 「住宅最大のトラブル転じて福となす」(11)へ続く

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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(9)

2006年12月15日 09時24分45秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。

工事業者から予算を聞かれましたが、今回のような特殊なケースでも、事前に予算を述べることはいたしません。初めてお願いする業者ならなおさらです。
設計図書を一式渡し、

「概算でも良いから、いくらくらい掛かるか教えて下さい。ハッキリ言って申し訳ないほど、予算は少ないです…。設備機器など既製品は、同等品であればそちらのメーカーやシリーズで変更しても構いません。価格のわかりにくい部分は別途にしてもらっても構いません。コストを落とせる提案も、内容を教えて頂ければ考慮します。」とお願いしました。


価格は、設備機器や既製品の商品の場合、メーカーやシリーズ、オプションなど細かく指定するば指定するほど、通常は割高になります。そこそこの戸数をこなして、合理的に工事を行おうとしている会社ほど、通常より安く仕入れることのできるメーカーやシリーズを持っています。こだわりの無い場合で、価格を少しでも抑えたい場合は、どういう内容のものを欲しいかだけは細かく指定しても、メーカーやシリーズまでは指定しない方が良いでしょう。こちろん、これしかないというこだわりのある物は、それを指定して下さい。

例えば、キッチンで言えば、長さ2700、IHヒーター、食洗器、ステンレス天板、引き出しタイプ…くらいの指定はしても、メーカーやシリーズなどはこだわりが無ければ任せるということです。


皆さんが、ハウスメーカーに頼むときも同じです。年間数量契約をしていますので、標準品は信じられないくらい安く仕入れています。しかし、標準品以外のオプションを選ぶと途端に驚くほど高くなります。選択するときには既に、契約後ですので高くなってもこだわってオプションを選択するか、我慢して標準品で我慢するかという決定になります。

ですから、ちょっとこだわって選んでいくと、ハウスメーカーで坪45万円のはずが計算すると坪80万円、90万円、100万円となってしまっているのです。

ローコスト住宅でも同じで、坪29万円のはずが、結局計算すると坪70万円以上で契約したという話を何度か耳にしました。この場合は坪29万円の内容では、家としてとても満足に住めるような内容ではなかったようです。例えば網戸さえもオプションなど…。


話を戻しましょう。そのようにお願いをして、見積もりをしていただく事にしました。後日、何度か質疑応答があり、変更などを承認したり、変更不可などの指示を経て、最終的に見積が出来上がったとの電話がありました。見積書を持って行って説明したいとのことでしたが、

「いくら、いくら?」とすぐに聞いてみました。
「消費税入れて、○○○○万円です。」とあっさり返事が。
「う~ん…………………、実は…」うなった後、長い空白の時間を置いて私が答えました。





次回、 「住宅最大のトラブル転じて福となす」(10)へ続く

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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(8)

2006年12月14日 07時06分50秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

昨日は、かなり以前から決まっていた都内のセミナーに朝から晩まで出席しており、アップできませんでした。本日は、早めにアップしておきます。


初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。


業者が倒産して、私が行うべきことは二つですひとつ目は何とか安く工事ができるよう、様々なところに声を掛けました。特に、業者を紹介してくれた大手グループの方には何度もお願いしました。取締役の方も来社してお詫びされ、真剣に対応して頂き、可能な限りの実質的な協力をしてもらう約束も頂くことができました。

もうひとつは、倒産した社長の行方です。私は人を見抜く眼はある方で、誠実で決して悪い人間では無いと感じました。しかし、そういう状況に追い込まれると仕方が無いのかもしれません。社長が潜んで居る可能性のある場所についていくつか情報を得ましたので、住所を地図で探しながら足を運んでみました。

たどり着いたところは、夜はあまり歩きたくない、とある繁華街の雑居ビルでした。この部分は、建築とは関係ありません。小説家ならハラハラドキドキのやり取りと状況を面白く書けるのでしょうが、簡単に流して結論を申し上げます。

信じられないことに、その社長とその社長をバックアップするつもりだという人物にそのビルで会うことができ、腹を割って必死の交渉をした結果、なんと契約金が、施主宛にそっくり返ってくることになったのです。半信半疑でその場を去りましたが、本当に後日、Aさんに全額返ってきました。

倒産して社長が行方を隠している会社から、そういうことは有り得ない話です。裁判で整理をして時間が掛かって、せいぜい5%とか10%が戻れば良いほうです。私にとっては非常に幸運だったということですし、その社長はやはり本当は誠実な方だったということです。またバックアップしたいという人の存在が無ければ無理だったでしょう。

普通は、避けたい人ですが、そんなことは施主のために言ってられませんでした。必死の思いが伝わったのだと思います。

このときのやり取りや交渉は、後日談も含めて実はいろいろとありました。
簡単ではありませんでしたし、相手の言うことを鵜呑みにすると
またトラブルになったはずです。油断できませんでしたので、その後も慎重に交渉しました。

このあたりの内容は、雑居ビルの交渉と同じく、公開するには問題があります。

次に話を進めます。結論として私はできるだけ予算に近い工事をしてくれる業者を探さないといけません。

すると間もなく、その特殊な工法の材料や木材を納品している業者から連絡があり、工務店を紹介したいとのことでした。ミタス一級建築士事務所の事務所にお越し頂き、お二人とお話いたしました。若いですが工事業者の営業部長でした。作業着を着ていて一見すると『露天商のおにいちゃんかな…』というようなイメージの方でした。(失礼!(^^;))

いろいろお互いの話をした後に、その方が「自分はこだわりのある住宅をしたいんです。先生に協力させて頂いて学ばせてもらいたいと思います。予算を教えて下さい。」と聞いてきました。




次回、 「住宅最大のトラブル転じて福となす」(9)へ続く

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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(7)

2006年12月11日 10時04分04秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。

今回の問題は、この工事業者が倒産するということです。
『最悪の場合はどうなるのか?』
私が深刻なトラブルや問題にぶつかったときには、まずこのように自問自答します。

そして、少しでも早く最悪の事態に対しての覚悟を自分自身にさせるのです。
最悪の状況に陥ることに対しての覚悟さえできたなら、後はそれを好転させるために
自分に何ができるかを考えることに時間を費やし、考えられることを前向きに
実行していくよう努力をするだけです。
いたずらに恐怖心や不安な気持ちのままでズルズルと時間を過ごすことほど、悪いことはありません。

今回の場合、まず業者が倒産することは間違いなく、契約金は帰って来ない。
工事金額も他の業者との新たな契約では、予算オーバーとなり、完成時期も延びる。

契約金はAさんが支払ったもので、業者とAさんの請負契約ですから
本来は設計事務所は関係ありません。

でも、「法的には責任がありませんから」と言えるでしょうか?
私を信じてすべてを任せてくれた施主に対して、とても言えませんし、
それを言うくらいならミタス一級建築士事務所の経営理念とかけ離れていきますから、
設計事務所を畳んで勤め人になった方がましです。代表になるべきではありませんね。

第一の覚悟は、まず契約金は私が負担しようと決めたことです。

Aさんご夫婦は、「3階の屋上などあきらめますから」とまでおっしゃって頂きましたが、
そういう心優しい方には、なおさらこちらが責任を取らなくては申し訳ありません。

さらに、この金額で行ってくれる業者を探さなければなりません。その方が今回は難しそうでした。
私の第二の覚悟は、Aさんご夫婦にもスタッフにも「私がすべて責任をもって最後まで行い、
差額が出たものや延期による家賃分も負担させて頂きます。」と宣言してお詫びいたしました。

実際はこんなことをしていると、工事業者と違い薄利で行っている設計事務所です。人件費や事務所経費を考えると、自宅でひとりで行っているならともかく、どの設計事務所も良心的な設計事務所ほどギリギリの状態ですから、すぐに潰れてしまいます。

でも、このように覚悟を決め、宣言したらあとは少しでも好転させるべく
前向きに行動していくだけで済むのです。

結局、業者は倒産しましたが、あれこれもがき続けたところ、
驚くことに次から次へと思いがけない方向へと事態が好転していったのです。




次回、 「住宅最大のトラブル転じて福となす」(8)へ続く

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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(6)

2006年12月09日 10時28分39秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。


初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。

電話の内容は、「紹介した業者が1回目の不渡りを出した。」という内容でした。
いつわかったのかと聞くと、「昨日です」ということでしたので、早く教えてくれれば何とかなったのに…と思いました。

まだ、倒産したわけではありませんが、1回目の不当たりを出したら、2回目は期日がくればほとんど自動的に倒産です。私は、「月末には2回目を出すね」とその担当者に伝えました。当然ですが、工務店の社長とは携帯を含めて連絡が付きませんでした。


完成保証が付いているので、工期は延びても工事前でややこしくならずに済んで良かったと思い、「完成保証が付いているから、他の業者を紹介してくれるんですよね?」と聞き返してみたら、意外にも「いや、あの制度はもう無くなりました…。」とのことでした。

「え~~~!それがあると聞いていたから安心していたのに…。そうならそうと早く言ってくれないと…。」予想外の展開に焦りました。


ここで、2つ問題があります。契約金はおそらく返ってこないことと、同じ金額で工事をやってくれるところが見つかるのかどうかということです。


私を信じてすべて任せると言って頂いたAさんのために、私は覚悟を決めました。




次回「住宅最大のトラブル転じて福となす」(7)に続く

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「住宅最大のトラブル転じて福となす」 (5)

2006年12月08日 09時54分16秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。


今回は「住宅最大のトラブル転じて福となす」(5)ですので、初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。


さて、契約にあたっての最後の注意は支払い条件です。会社によって異なりますが、黙っていると、契約時3分の1、上棟時3分の1、引渡し時3分の1とか、注文住宅の場合は上棟時に既に60%~80%の支払いをさせられる場合も多いようです。

これについては、事前にお話をして拒否します。(笑)

今回も契約時には最低20%は欲しいと業者に言われましたが、契約時には10%に抑えました。そのかわり解体が終わって、基礎工事が終わったらあと10%というようにしました。契約時はゼロは難しいですが、そのあとは後追いで出来高払いに近い形で、支払い回数を増やすようにしました。

完成保証が付いていても万一の場合は、管財人が出てきて現場が凍結されてしまって時間が掛かったり、予想外の多額の支払いを命じられてそれに対抗するのに時間と手間が掛かるからです。

いろいろ調整して、ようやく契約となりました。こちらの希望金額で予想以上の内容を織り込むことができ、お客様の要望もミタス一級建築士事務所の品質へのこだわりも組み入れることができたのです。

業者との請負工事契約をミタス一級建築士事務所の事務所で双方に来て頂いて行い、後日お客様が契約金を銀行へ振り込みました。祝日が絡んでいたので、契約から3日経ってからの振込みでした。

そして、その次の日の4日目にその特殊な工法の特許を持っている工事業者を紹介してもらった大手グループ会社の担当者から、私宛に電話が来ました。そこから、ショックな電話がかかってきました。ある意味、いつもリスクは覚悟しているのですが、今回は思いがけない誤算がありました…。




次回「住宅最大のトラブル転じて福となす」(6)へと続く


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「住宅最大のトラブル転じて福となす」 (4)

2006年12月06日 10時43分36秒 | 住宅最大のトラブル転じて
みなさん、おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。

2006年11月30日

2006年12月2、 4、 5日からの続きです。

初めての業者の場合、必ずその会社を確かめに行きます。
信用調査のデーターを見る方法もありますが、あまり役に立ちません。
小さな工務店ではデーターがなかったり、古かったりします。
赤字で大丈夫かと思うようなところでも、工事中はもちろん
アフターも素早く完全に対応してもらっている工務店もあります。

何を見るかというと、トンネル会社や単なるマージンを撥ねる営業会社ではないか、
作業場を持っているかどうか、会社の雰囲気などを見に行きます。

この会社も社長が打ち合わせに来ると申し出ていても、
そちらへ行くついでがあるからお寄りしますと断って
確認方々打ち合わせに行きました。

車の数や社屋の大きさ、サンプルや打ち合わせ室、机の数なども
確認して、『通常に工事をしている会社』と思いました。

最終的に工事内容や私が検査する項目などを確認して、
金額も大工などの職人は社員でいるから安くできるという
言葉に甘え、ド~ンと安くしてもらいました。

ここまできても、私はさらに慎重に契約します。
それは、契約条件について話し合うのです。

皆さんは、工事金額の合意さえなされれば、
契約書を提示されてそのままで契約してしまいますね。

今回は、完成保証が付いているのですが、やはりそれでも
慎重に次のように指定するのです。




次回、その(5)へと続く…



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「住宅最大のトラブル転じて福となす」 (3)

2006年12月05日 09時35分42秒 | 住宅最大のトラブル転じて
みなさん、おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。


2006年11月30日

2006年12月日からの続きです。


実施設計はかなり詰めた内容でした。予算オーバーはわかっていたので、こだわらない部分は、先方が安く入手できる設備メーカーやシリーズを優先して使いました。法規的に非常に難しい問題をいくつもクリアーし、構造計算書は数百ページに渡るものです。やっとたどり着いたのですが、見積もりはまだ2割オーバーです。この段階では、皆さん以上に私の方が愛着が湧いています。こだわりの部分を残したまま実現するため、さらに価格を下げるために業者の社長に教えを乞い、お願いしました。

すると…意外にも…「先生、何とかできると思うんですよ。協力させてもらいますから。」との返事でした。

『えっ、ホント???安くしてくれるのは、うれしいが…。』そう願ったのですから。しかし…、安過ぎるというのは怖いですね。皆さんが頼むのと異なり、こちらは細かい図面を描いていろいろ決めていますから、手抜きはしにくいし、粗悪品も使えないのですが…。

残るは、経営が危ないのではないか、下請けの職人にとんでもなく安い値段で値切り、トラブルになることはないか…。

前者は、この工法を開発して販売しているところの紹介で、そのグループの完成保証が付いているので、最悪の場合は、工期は遅れても何とか変わりの業者で完成までは可能。

後者は、私が監理するのでいざとなれば工事をストップさせてでもやり直させることができる。

ということで、本当に何とか安くしてくれるなら…ともかく光が見えて良かった~♪と喜んだのです。

しかし、それでも安心はできません。念のため必ず行わなければならないことがあります。




次回、その(4)へと続く…



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「住宅最大のトラブル転じて福となす」 (2)

2006年12月04日 09時36分24秒 | 住宅最大のトラブル転じて
みなさん、おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。


先日、2006年11月30日、2006年12月2日の続きです。

見積もりを取ると、やはり予算の2割以上オーバーです。コストダウンしながら細かい実施設計を決めてからの2割というのは、かなりきついです。ミタス一級建築士事務所としてのこだわりの品質の部分は落とせませんし、ご主人の3階の屋根、すなわち4階部分にあたるルーフバルコニーや、書斎など「あきらめます。」とおっしゃって頂きましたが、せかくの夢ですから何とか叶えてあげたい…。

そこで業者と交渉です。相見積もりを取るという選択肢がありますが、今回の工法は木質ラーメン工法の特殊なもので、しかもそれを部分的に使用しコストを下げる認定工法なので、工事業者も指定の業者でなければなりません。


また、以前は相見積もりを行っていましたが、ミタス一級建築士事務所のような設計事務所の見積もりは非常に時間が掛かるので、一度断ると次からは、「また相見積もりで負けるかもしれない…」と本気で見積もりをしてこなくなるのです。

そのため、普段でも、一度行った業者で問題の無い場合には、単独で行い、予算が合わなければ指値をします。予算は事前には伝えません。指値でその業者が無理ですと言えば、他の業者に見積もりをしてもらいます。OKであれば、その指定した価格で契約です。いつも、あれこれとプラスしていくので、予算オーバーとなりますが、何とかまとめて行うことができるのも、このためです。

初めての業者の場合には、相見積もりにしていますが、こういうパターンの方が、こちらも何度も行って相場はわかっていますから、本気で何とか受注しようと誠実に安くしてくれることがわかりました。

今回のケース、この業者に交渉するしかありません。見積もりをもとに、「社長は職人だっただけに工事も詳しいし、誠実そうで丁寧にやってくれそうなので、ぜひお願いしたいが、予算が無いのでこのままだと計画が流れてしまう。何とか協力して欲しい。予算は○○ですが、知恵を貸して下さい。何とか方法はありませんか?」とお願いをしてみました。



次回、その(3)へ続く



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「住宅最大のトラブル転じて福となす」 (1)

2006年12月02日 15時10分10秒 | 住宅最大のトラブル転じて
みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

先日2006年11月30日の「住宅最大のトラブル転じて福となす」の実例をお話いたしましょう。

ご主人様が事務所にお越しになり、建替えについてのお話をいていました。ミタス一級建築士事務所の設計監理やその他を依頼ご希望の方や、話を聞ききたいとご希望の方には、土日を含めて時間を予約して頂いて、事務所にお越し頂いています。

一度の話し合いでお決めになる方も多いですが、何度も話し合って決めることもあります。

この方の名前をAさんとしておきましょう。
予算的には通常の2階建て木造でも難しい状況の上に、準防火地区でご要望を満たすためには3階建て、ラーメン構造が必要でした。これであれば、通常の木造2階建てと比べると坪あたり10万円以上はアップします。

普段は、「あといくらくらいないと無理です…」と申し上げるところですが、

Aさんは「すべてお任せします。」「どんな家になっても良い」「内装仕上げが無くてもかまいません。」とまでおっしゃったので、

私も『以前行ったビフォーアンドアフターの建替え版のつもりで楽しんでやってみようか…』という気になってしまいました。(^^;)


スタッフからは、「え~!その金額では無理ですよ」と言われましたが、いつもの品質を確保した上でコストダウンをどこまでできるか試してみたくなりました。

どんなものでも良いとご主人様が言われても、奥様がどう思われているかがわかりません。その次の機会にお話をさせて頂きました。やはりお化粧無しでは抵抗があったようでした。通常の化粧程度はご希望でした…。当たり前ですね…。(^^;)


とにかくお受けし、すべての要望を満たして、さらにミタス一級建築士事務所としてのこだわりの品質は落とさず、床材は厚さ3センチの無垢材、屋根もコロニアルは使いませんので、ガルバニウム鋼板横葺、断熱材もいつも通りこだわり、バルコニーは2階、3階、両方付けて、最上階のペントハウスからはご主人様のご希望の屋上バルコニー、車は家の1階部分に2台止められて、中2階には天井高1.4Mですが大きな納戸、木質ラーメン構造、準防3階建て仕様の設計が完成しました。

一体いくら掛かるのか…、予想金額はありましたが、いよいよ業者からの見積もりを取ることになりました。



次回、その(2)へ続く



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