一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

狭小地と建物の大きさ

2015年06月15日 17時00分35秒 | 質問回答
▲地下室のために掘り下げて、
廻りを鉄骨と板で崩れてこないように囲って、
工事を行います。



ブログ、忙しくてすっかり更新が遅れていました。
更新クセがなくなると、ずるっといってしまいます。

メールできた質問について、

回答をみなさんとシェアしましょう。


ご質問は、

1. 土地30坪/建物30坪程度

2. 土地10坪/建物25坪程度の狭小住宅(地下室も検討)

両方、対応可能か?

という内容です。

………………………………………………………………


まず、最初の 1 は、土地の建ペイ率50%、容積率100% であれば
2階建てで可能になります。

40%と80% といった土地では無理ですが、これは、分かりやすいですね。


問題は 2です。土地の建ペイ率や 容積率をクリアしていたとしても
実際の工事をどうするかです。


まず、住宅の地下室を造る場合を考えましょう。


実際の工事や将来の防水メンテナンスを考えると

隣地から、グルリと1メートルくらい離して
地下室の壁がくることになります。

これは、山留めといって、隣地が崩れないように
工事をする必要があることと、

将来、防水が問題になった場合、
掘り起こして防水処理を再度行うためです。

防水処理は、住宅でなければ、
また多少防水が破れても壁を2重にして
処理をする方法をとれば、
掘り起こすスペースは不要になりますが

あまり、お勧めできません。

いずれにしろ、山留めのスペースが
必要になるので、1メートルは取れない場合でも

90センチとか80センチといった隣地との
距離が必要になる場合が多いです。

特に隣地に建物がギリギリに立っている場合は
機械の関係でも必要です。



土地の形状にもよりますが、

仮に土地の間口4.5メートル、奥行き7.5メール
土地面積が33.8m2(約10坪)とした場合、

工事を行える広さは、

間口2.5メートル→無理しても2.7メートル
奥行き5.5メートル、

建物のワンフロアーが、これで約15m2ですから


地下1階、地上2階ですと3フロアで
45m2、約15坪程度にしかならない

ということになります。

10坪の土地では、地下室付きでも建物25坪は難しいですね。
土地が17~18坪は必要です。

さらに地下室が付いた場合、そこを部屋として
使うなら、ドライエリアが欲しいです。
光と風、万が一の避難通路としても必要です。

この場合だと、ドライエリアのために
土地を1.8坪は必要とします。


地下室無しの3階建てであれば
最初の土地で、できれば65センチくらい隣地から離して
(足場や配管スペースが必要)

間口3.2メートル、奥行き6.2メートルの建物で
約20m2、約6坪で3フロアーで建物が18坪です。

この場合でも、建物が25坪になるには、
土地は15坪くらいは必要です。

といっても、都心の密集地では、
外壁の足場を立てず、内側から外壁を積み上げていく方法を取り
配管も建物の中で処理する方法を取れば、

約10坪の土地で、地上3階建てで建物25坪は
無理に造れば、不可能ではないということになります。

道路斜線や防火関係の検討なども必要なので
他の条件次第ということもありますし、

実際には、もう少し余裕が必要ですしょう。

ギリギリの狭小地での考え方の参考にしてください。



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無垢フローリングのDIYなら

2014年09月02日 16時42分32秒 | 質問回答
▲マンションリフォームで無垢フローリングにしました
質感が良いですよね。 



 

メールでの質問です

「築30年のマンションに住んでいます。

フローリングの上に自分で無垢床を敷こうと考えていますが
注意点があれば教えてください。

無垢材の下に防湿シートを貼るという記載も見たことがあります、
必要なものでしょうか。」




答えとしての注意事項は、書ききれないくらいあります。

もし、質問者がプロの職人であれば、20分くらい、
いろんなケースについてお話すれば
注意事項を伝えられれるかもしれません。


一般の人なら1時間くらいは、時間を頂かないと伝え切れません。

合板の状態がどうなっているかが不明ですが、
それによっても異なります。

表面は合板フローリングでも、築30年というと、
その下はいくつかの工法が考えられます。

すべてを想定して伝えきるのは不可能なので、
いくつかピックアップして、最小限でお答えします。

完全ではありませんので。


結論その1

 今回、もし、ご自身で無垢フローリングをされるなら、
「ジークリップ フローリング」をお勧めします。

(類似品もあります。これでなくても、もちろん構いません)

釘も接着剤も原則不用です。通販でも購入できるようです。



欧米の先進国でも、ホームセンターで見かけます。

無垢フローリングだけでなく

合板フローリングタイプもあり、金物は使いません。
これは価格も安く、賃貸アパートで
自分で安く合板フローリングにしたい人にも、便利です。



結論その2

「防湿シート」は、完全に間違いです。いけません。

上記のジークリップフローリングなら、
接着剤を使わないので、

「透湿シート」を下に敷くのは、良いことです。



結論その3

どういう方法にしても、一般の人が行うなら
多少床鳴りがすると思いますが、それは承知で行ってください。

それがあまりひどいと、下階から文句が出る可能性もあります。


結論その4

もし、通常の無垢材を接着剤を主体で張るつもりなら
透湿シートは、邪魔になります。



結論その5

梅雨時や湿気の多い夏は、無垢材は膨張します。

コンクリートの壁などに押し付けるように隙間無く
敷いてしまうと、その時期に床材がせりあがる可能性があります。

壁には、少しだけ余裕を持たせる程度でよいです。



結論その6


厚みがあるので、既存の床の上に敷くと
建具のドアーがぶつかって開かなくなることがあります。

キッチンとつながっている場合など、床の段差の処理を考えて
見栄えだけでなく、つまづかないように工夫してください。


結論その7

一般の人が張るなら、
できるだけ長さは短い床材寸法のものを選んだ方が
いろんな意味で良いです。


以上、簡単ですが、参考にしてください。



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メールの質問から 「300年住宅」

2010年05月20日 04時11分36秒 | 質問回答
本日まで出張中ですが、こんな質問?か嘆き?をメールで頂きました。


「10年ほど前から300年住宅を造りたいと思い色々な建設業者にお願いしてきました
ほとんどの方から変人扱いに近い対応で話は進みません。
どうして理解してもらえないのでしょうか?そんなに難しいことでしょうか?
建築に携わる方たちの考え方がよく分からなくなってきました。」というご質問でした。



私は5年前にイタリアから、
「地震にも強く断熱性も高い石造りのような耐久性のある建物を造りたい」と
願いながら帰国しました。

幸運にも300年住宅と出会い、依頼者と出会いましたが
設計が終わっても、工事を行ってくれる工事業者はいませんでした。

それで止む無く「株式会社300年の家」という会社を設立して
工事を行いました。

戦後の日本では、「平均寿命30年で建て替えられてしまう住宅」が
造られています。

「30年で倒れる家」ではなく、
「住まい手や買い手に30年で価値無しと思われて
建て替えられてしまう住宅」というのが正しい表現でしょう。

それで良いのだと日本の住宅産業に携わるほとんどの人が考えていますし
疑問に思っている人は少ないのようです。

現在の高品質?なはずのハウスメーカーの製品も
本質的な考え方は全く変わらず生産され続けています。
ですから、日本の住宅が先進国に輸出されることはありません。


ダヴィンチの石造りの生家は500年以上経っていました。

フィレンツェの街中に建っている
ほとんどの建物が同様に数百年かそれ以上の年月建っています。

但し、手入れ不要ということではありません。
ダヴィンチの石造りの生家は市が管理をして、
手入れをしています。

他の一般の建物でも、外装や窓、内装、設備といった手入れや
改修は、当然行っているのです。

300年住宅も、同じように手入れは必要です。
その点は世界共通ですので、誤解されませんように。


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サッシの耐風圧力について

2010年02月24日 19時19分17秒 | 質問回答
メールで質問が来ました。

ブログを利用してお答えしておきましょう。

「 家にある窓についてなのですが、例えばサッシにはまっているガラスに風の力が
加わった時のサッシ+ガラスの強度というのはどうやって計算しているのでしょうか? 」

というような質問です。


回答は、

建物の外壁や屋根にどのような風圧力が掛かると想定すべきか
それを計算する場合の数値や方法は、建築基準法で決められています。

そして、サッシとガラスがどの程度の強度を持っているかですが、

サッシメーカーが独自にテストをして、カタログに商品ごとに掲載しています。
これは、JIS規格に基づいて表示されています。

耐風圧性 S-1~S-7まであります。

その他のサッシの性能として

気密性、水密性、遮音性、断熱性もそれぞれの等級があり
遮音性に関しては、ガラスの厚さや種類によって変わります。
これらも掲載されています。

ご質問の耐風圧性に関しては、ガラスの厚さには関係なく性能が決まります。
ガラスの種類の指定はありません。
ガラスに関係なくということです。

ですが、サッシの大きさによって
ガラスの厚さは変えています。

防火指定などの無い場合、単体ガラスで3ミリ~6ミリ
のガラスが通常の選択範囲です。

どのガラスを使うかは、サイズにより決まりますが
心配な場合は、より厚いものを最初から指定することはあります。

但し、ペアガラスや防犯ペアガラスなどの登場により
ガラスの組み合わせは非常に複雑になっています。


基本的に、通常の台風でサッシやガラスが耐えられないということは
ありません。



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