一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

住宅トラブル相談の考え方

2007年05月08日 11時10分02秒 | 住宅検査・トラブル相談
みなさん、こんにちはミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

連休中にあった電話相談のお話をいたしましょう。考え方を参考にして下さい。


夜の8時過ぎに事務所の電話が鳴ったのですが、内容は

「ハウスメーカーで建築条件付のものを建設中で、洗面化粧台を入れる場所が、
ぴったり入る予定だったのが、5センチ空いていることと、窓を少し移動しないと洗面化粧台がかぶってくる」というものでした。

やり直しや建て替えの要求はできますか?という相談でした。

私の答えは、「やり直しの要求は当然できますが、先方がそれに従うかどうかは、別問題で話し合い次第です。また、第三者の私が言った言わないという設計の内容に口出しはしない方が良いでしょう。」

建築の品質のことであれば、第三者として具体的なアドバイスも可能ですが、設計が思ったものと違ったという場合は、

「相手にやり直しの要求は当然できますし、納得いかず話し合いが付かなければ、調停でも裁判でも可能ですが、思うような結果になるかどうかはわかりません。」

「今回の場合で言えば、建て替えは無理でしょう。例外として、それがなされていないと家を建てる意味がないということを、裁判官が認めてくれれば可能になることもあると思います。」


「設計の打ち合わせでお願いしたことが、なされていないのは、良くあることでしょうか?」
というご質問がありましたが、「良くあることです。」とお答えしておきました。

そして、必ずといっていいほど相手にも言い分があります。片方の話だけを聞いていると、どちらが被害者かわかなくなるくらい食い違いのある場合もあります。この言い分が正しいものかどうかは別ですし、勝手にウソ八百並べている場合もあるかもしれません。ですが、それは第三者には簡単に判断できないこともありますから、裁判や調停でもスムーズに思ったようにはいかないでしょう。

相手は「構造的に窓を動かすことは無理だと言っている」とのことでしたが、この建物はプレハブ系の独自の工法で内容や計算方法を公開していませんので、第三者がその真偽を確認することは、先方が資料を提出しない限りできません。また、出された資料の中でしか判断できないのです。




別の話でかなり以前のことですが、デザインが売りの設計事務所に設計を依頼して、バルコニーへ出るときに、「屋根の庇が下に下がってきて、高さが1.7メートルしかない。欠陥だから、何とかして欲しい。」と相談に来たご夫婦がいらっしゃいました。


図面にもハッキリ寸法が描いてありますし、その建物の意匠としては、深い軒を特徴としているので、打ち合わせの経緯もわかりませんし、これが瑕疵とか欠陥とは、第三者に判断できることではありません。

設計打ち合わせで、もしそういったことの話し合いがなされて、1.8メートルにするとか何かがあれば良いのですが、デザインのことはお任せだったようです。

そういったことを解決するには、お互いの話し合いで解決するしかありませんが、無理なら裁判や調停ということになります。関係のない建築士が「これはいけない。」と言える筋合いの内容ではありません。


そのため、そういう場合はお話の間に入っても意味がないばかりでなく、何の権限もありませんから、かえって両者の関係が悪化する可能性の方が高いので、考え方のアドバイスはさせて頂きましたが、お断りいたしました。


連休中のお電話の方も、「電話ではなく、事務所に行って話をしたいので聞いて欲しい。」と言われましたが、理由を説明して、お断りしたしました。お互いの時間が無駄だからです。


設計上で言った言わないということや、設計が思ったものと違うということはできるだけ当事者同士の話し合いで決めるのが良いので、考え方だけをお話しています。

建築の品質や性能、瑕疵、欠陥の部分に関係することは、第三者としてのアドバイスは可能ですし、判断材料の参考にもなるでしょう。





ミタス 一級建築士事務所のホームページ  






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする